入社試験
69. 入社試験
営業職への応募者へ、ウチの社では面接と同時に筆記試験を実施することにしている。こんな問題が出題される:
★問題:
顧客を訪問して話をし、営業マンAさんは手持の商品を一通り説明し終えた。辞去する段になって、話の最後をこう締めくくった:「ーーーですからお客様、説明しました通り、当社には五種類の製品があり、それぞれ特徴があります。どの製品をお見積りしましょうか?」
ここで質問:
Aさんの、先の「締めくくりの言葉」は営業マンとして「適正か」、それとも「適正でないか」? 適正でないと思うなら指摘し、貴方流の「締めくくり」を述べなさい。 もし適正と思うなら、その根拠を述べなさい。
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過去十数年の沢山の数を採点した結果から、応募者の答案は概ね以下の四つに分類される:
① 人類愛派
営業マンAさんの締めくくり(=どの商品をお気に入りですか?)は、「当然正しい」。何故なら、判断材料としてAさんは商品を充分説明したのだから、顧客は商品をよく知悉した。であるからして、複数ある製品の中で、どれがベストか押し付けがましくならないように、顧客の意見を尊重する姿勢こそ、自由と博愛の精神である。
② 民主派
いや、Aさんは「間違い」である。正しくは最後をこう締めくくるべきだった:「お客様、比較検討出来るように5種類の商品全部の見積書を、明日持参致します」
素早い行動こそ大事で、見積書を元に、顧客が社内で充分論議を尽くして、決めてもらうのが民主主義である。何せ、数百万円と価格の高いものだから間違いが起きないように熟考してもらう。
③ リーダー選出派:
いやいや、前述の二つの答えは両方とも「間違い」だ。顧客が迷わないように、営業マンAさんは商品を一つに絞り込んで、こう言うべきだった: 「5種類の中で、「Bの商品」が御社にぴったりだと思いますから、B商品の見積書を明日持参しましょうか」
商談を決するには、一点に絞り込んだリーダー的商品の選出が大切だ。
④ 強制連行派
先のいずれもダメ。こう締めくくるべきです:「お客様、御社にはD商品が必要ですから、Dを買いなさい、外はいけませんよ。社に戻ったら価格を知らせします」
これは相手に有無を言わせず引きずってでも、警察へ連行する命令形タイプ。「逮捕されたがっている人」は世の中に案外多いから、そんな心理を活用する。
①~④は、どれも同じではない。セールスマンの思考過程の違いが判るから、面接官はこの違いを峻厳に区別して、採用の合否を決めるのである。




