第三章 販売方程式の解法(後編)
57.第三章 販売方程式の解法(後編)
(1)「定理の数々」
筆者達は仕事を分担した: 三百円の賽銭で女が神を脅す一方、筆者は押し掛け渡航した先のドイツで、相手を脅しはしなかったが丁々発止とやりあった。けれども、どんな風にドイツ人を「たぶらかしたか」のスリルある話は、読者に興味がおありとは思うが、敢えて順番として後へ置く事にしたい。何故なら: その部分は「方程式の解法」の上で、最も大切な意味を含んでおり、しかも前後に話の関係する部分もあるので、後へ回した方が説明が判りやすいからだ。
そんな訳で暫く辛抱頂いて、「解法の手順」を先に進めたい。今回から販売方程式の「実践編」となります。
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結果としてドイツ側からの投資と協力を得て、女と筆者は二人で「会社を起業」する事になった。これは、10円の投資で60万円儲けた先の安井親分の上を行くようなものであった。起業当初は、筆者が社長業兼任のたった一人のセールスマンだったが、やがて一人・二人・三人ーーーと営業マンを増やして行った。
とこう書けば、如何にも順調に会社が大きくなったように聞こえるが、現実はそう甘くは無かった。それを書く前に、先ず「販売方程式の解法」のポイントを整理してみよう:
①
先ず、図書館から出る勇気を持った事 ② 大手工場A造船所の門前にたどり着き、立ちん棒をやって観察し、
③
出入り業者のS工業を発見
④
翌日には、そこの安井親分と男同士の愛をはぐくみ、
⑤
翌々日には、門番を「ウッス!」の呪文でたばかった。
⑥
これを一ヶ月間繰り返し、
⑦
見栄えのする訪問レポートを安井親分へ回付して、彼の上司を「舞い上がらせ」、
⑧
親分に命じられると、「任しとき!」と筆者はシベリアの奥地へまで飛んで行った。
⑨
受注したら親分の店へ2割のマージンを落としてやった結果、
⑩
「10円の電話代で60万円も儲ける販売店なんて、泥棒だ!」と筆者は上司になじられた。
⑪
同じ事を他の大手工場でも活用して、
⑫
やがて門前の小僧に経を教えて、「第二・第三の私」を作り、
⑬
結果として「熊手みたい」に販売見込み情報をかき集め、
⑭
こうして、筆者はトップセールスマンとなった。
読めば分る通り、これらの手法に特に難しい部分はなかった。にも拘わらず、前の会社では「同僚の誰一人」筆者のマネをしなかったのは、既に書いた。販売の天才と筆者を褒める位なら、なぜマネをしなかったろうかーーー? 真似をしなかったのは罪ではなかろうか。この「不可解さの解明」こそが、後編の主要テーマである。




