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亀が空を飛ぶ方法 (第二作)  作者: 比呂よし
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将棋倒しの定理

40. 将棋倒しの定理


 ドングリ目君のお陰でもう一つ面白い「定理」を発掘したから、続いて紹介しておきたい。意外と、重要。

 二ケ月もすると、筆者のPRが実り受注を得て、ドングリ目君の売り上げがかさ上げされる事になった。先の通り商品は値が張るから、一セットでも決まると、彼の月間売り上げがグンと跳ね上がった。その内に社内で一番になる月さえあった。驚いたのは彼の直接の先輩氏である:


「お前、幽霊みたいなメーカーに車で送り迎えまでされて、最近一体何を売っとんのや?」 多少やっかみが籠っている。

「門前で経を覚えて、コレを売ってまんねんーーー」と大阪弁で応えて、ドングリ目君は先輩氏へウチの商品を紹介した。


「あのケツの青いドングリ目より、ワシの担当している工場の方が規模が大きくて需要があるはずだから、済まんが、同行して一緒に回ってくれんか?」

 美味しい情報が、向こうから頭を下げてやって来た。数ヶ月で、先輩氏の売り上げも社内で目立ち始めた。


 面白い事に、これを見て二番目の先輩氏・三番目の先輩氏がアプローチしてきた。その店にはドングリ目君を入れて五名の営業員がいたが、次々に寄って来たから筆者は大もて。みんなで筆者を奪い合う始末になった。

 いやいやーーー、中に変コツな例外が一人いた。営業マンEさんは、どういう訳か筆者をいけ好かなかったようで、一人だけ頑なに見向きもしなかったのである。この後、Eさんに何が起きたかーーー? なに、当たり前の事件が起きただけ:


 営業課長のフカが課内全体の売り上げを上げたいと考えていたのは、言うまでもない。出世したくてウズウズし、次長席を虎視眈々と狙っている野心家なのだ。部下のEさんを呼んで、フカが噛み付いた:

「オイ! あの車付きのアッシー君と、何でお前は一緒にヤラねえんだ! ヤレねえのは、インポでも悪化したのか? 裸になった積もりで、全力を突っ込んで直ぐヤレ!」 


 裸で突っ込めとか、ヤレ・ヤレとけしかける大阪湾のフカは女が好きな上に、ガラが悪い。Eさんは女嫌いだったが、上司の命令となれば仕方が無い。渋々こっちへアプローチして来て、一緒にヤル事になった。ついに筆者は全勝! その店で五人の「そっくりな筆者」を作る事に成功したのである。この経過を振り返って、ノートに三つの定理を書き足した:


1.八方美人禁止の定理:

 販売店に複数の営業マン(例えば五名)が居る時は、初めは一人だけにアプローチして、五名と同時に付き合おうと欲張るな。


2.フレッシュマン優先の定理:

 この時五名の中で一番にアプローチすべきは、(その方が熱意が高いからなのだが)入社したての新人(=新入りの学卒や、他からの転職者)を選べ。先のドングリ目君のように。


3.将棋倒しの定理:

 その新人の売り上げを、目立つ程引き上げてやれ。そうすれば、放って置いても残りの四名は、頭を下げて寄って来る。


 これらの仕組み三つをまとめて「将棋倒しの定理」と筆者は名付けた。

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