カラ元気
2. カラ元気
経歴が悪くはなくこっちでは期待していたのに、期待外れに終わった。後で考えて思ったのだが、ひょっとすると「採用されない」のを本人は願っていたのかも知れない。技術分野に特化した経歴書を改めて眺めて、彼の気持が判る気もした。
その日、晩御飯を食べながら配偶者へ面接結果を話した:
「今日は期待外れさ、不採用だ。元気が無くてね、セールスマンへ応募のくせに、とても暗いんだーー、アンナンじゃだめ。まるで、どうぞ採用しないで下さい、みたいな感じさ。長生きしたいのに、歳は取りたくないと言うのと同じだよ。最悪のパターンさ」
あにはからんや、七つ年下の女は社長をたしなめた:
「何を偉そうに言ってるのよーーー」
「ーーーー?」
「四十過ぎて失業した頃、貴方もそうだったわ」
「ーーーー」
「応募しても、何十社と断わられ続けたら、落ち込んで誰だってそうなるものよ。カラスだって、カアともよう鳴かなくなるわ」
「ーーーー」
筆者は気の抜けたサイダーみたいに、女の記憶力の前に脆くも崩れた。
☆教訓①: 面接を受けようとする者は、仮に何十社と断られ続けても、カラでも「カラ元気」を出し給え!
つづく