オラン・ハングバートン以外の現状
僕はハングバートン家の長男で次期領主のレトだ。僕には最も可愛がっていた弟がいる。今では家で最も話さない弟だ。これには理由もある。弟のオランは僕や次男や妹達のような神様からの天物を貰えなかった。ソレがオランにとってはコンプレックスだったらしい。それを理解してから少し離れる事になった。それに追い討ちを掛けることになった事がある。僕と次男に子供が生まれた事だ。今までは末のオランが可愛がられていたが皆、子供にシフトしてしまったのだ。そのせいでオランは暗い性格になり僕らと話す言葉も変わってしまった。子供が生まれて起こってしまったけど僕らも両親も執事も侍女もオランへの対応に困ってしまったのだ。
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朝食を終えてからオランを見つけたので久しぶりに話してみよう。
「オランよ。元気にやっているか」
「まぁまぁです。オラン兄様」
「兄様と言うのは止めてくれないか?昔のようにオラン兄さんとは呼んではくれないのか?」
「オラン兄様は父様から領主を引き継がれる方です。5男坊のオラン・ハングバートンはそのような呼び名は出来ません。私は図書館に用があるので失礼します」
毎回こうなのだ。昔は兄さんと呼んでくれたのに他人行儀のようになってしまったのだ。他の弟妹に聞いても同じ様な言葉で返されるらしい。本当なら追い掛けたい。でも、気持ち的に出来そうにない。
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今は夜。オラン以外の兄妹全員が集合している。
「オランに久しぶりに話してみたがダメだった……」
「私もだ……。オランとは久しく剣を交えてない……」
「私もダメでした。エスコートを頼んでもダメでした」
「どうしましょう?」
僕らは月に何度かオランに話し掛けてはどう反応したかと言うのを教えあっている。どうやら、今回もダメなようだ。
「大体、レト兄さんがオランを一番可愛がってたじゃないですか。ソレが子供が生まれたら皆無に近いくらい可愛がらなくなって……」
「それを言うならハフルもじゃないか。僕以上にも可愛がってたじゃないか」
「イエン兄さんも同罪ですよ。結婚しても毎日剣を交えていたのに子供が出来たら放ったらかしにして……」
「私だってそうしたくてしたのではない……」
「これ以上争ってたって仕方ない……。手っ取り早くいうなら皆同罪でしかないよ。今日はこれ位にして終わろう」
こうして3人は自分のいるべきトコへ帰っていった。
(僕らはどうしたらオランの心を前のように開けれるのだろう……)
レト、イエン、ハフル、フルそして両親や執事、侍女の悩みは未だに消えていない。
次はハングバートンが舞踏会へしぶしぶ行きます