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フォンタナ異聞外伝

作者: ももんじゃ

魔界の神

扉を越えて望みしは四界の覇神と宣言す


三界の神々と三大精霊王

これに対して人族三者を選出す


天界の神・風の精霊王の加護受けし天風の槍神官

地界の神・炎の精霊王の加護受けし地炎の剣闘士

冥界の神・水の精霊王の加護受けし冥水の魔導師


彼らは魔界の神と門の封印を終えし後

それぞれ故国の王となる


ディオヴェント聖国 法王猊下

レリーソン皇国 闘王陛下

フォンタナ王国 導王陛下


彼らを尊して人々曰く


三神三精加護受けし…

魔界門の封印衛士

三大英雄…英雄王

〜Ⅰ〜


ゆっくり気楽に……

何も考えず飄々と……

気儘に吹く風の様に……

流れ行く雲の様に……

何時までも悟りきる事も無く……

そんな人生に憧れた事も……


しかし、忘れた頃に突然として顔を出す空虚と罪悪感は、記憶の底に眠らせた過去を否応なしに思い出させる


過去は変えられないというのに……

今更だというのに……



私の手は既に多くの血に染まり、落とす(すべ)すら知らない……



あの頃のに人々は私達を『英雄』と呼んだ!



私には、その様に呼ばれる資格など無いのが心苦しい……



そんな私の(今更ながら願う)我儘を許して戴けますか?



〜Ⅱ〜


昔、山の中腹にあった小さな村の村長に娘が生まれた


彼女は村を守護する巫女に任命され大切に育てられた


しかし巫女は大切にされ過ぎたが故に、孤独でもあった


そんな彼女に優しく紳士的に近付いて来たのが、村の外から来た“旅人”を名乗る男であった



巫女は只の少女として接してくれる男に惹かれ、いつしか想いを寄せる様になった…‥


だが巫女の父親であった村長や村の者達は、彼女の気持ちを知ると男を村から追い出した



そして男がいなくなった日の夕方…‥


村は魔物の群れに襲われ、村人達の殆どは逃げ惑い殺されていった


ただ1人…‥村の巫女を除いて…‥



彼女が殺されずに拐われた先には、禍々しい雰囲気が立ち込めた神殿があった


村の巫女は其所で恋しいと想っていた男と再会した



だが彼女は素直には喜べなかった


男は巫女を神殿の一角に監禁し、無理矢理彼女を自身の愛妾の一人としたのだ



巫女は知った…‥


彼が禍々しい邪神の大司教を務めていた事を…‥



そして彼が各地から自分の様な身分や立場のある者の妻娘…‥もしくは巫女達を人質として拐い、彼女等を無理矢理に彼や彼の配下の妻や愛妾とした欲深き男でもあった事を!



しかも反抗的な者や男や彼の配下達が飽きた者は、“神への生け贄”と称して血肉を捧げる為に命を刈り取る事に全く躊躇いが無い事も彼女は知ってしまった……



〜Ⅲ〜


村が滅ぼされ巫女が拐われてから10年という月日が流れた…‥


巫女であった女性は男との間に男女1人ずつ子供を授かっていた


ある時、男は2人の子供を己の好きに教育しようと動き出した



だが彼女はそれに感付くと、子供達を連れて神殿から脱出した!



彼女は出身の村と交流のあった小さな隠れ里に逃げ込むと子供達の保護を求めた



里の長をはじめとした里の住民達は事情を知ると子供は勿論、巫女であった彼女をも匿ってくれた



その数年後、彼女は長の孫と正式に夫婦となっていた


村の長も、夫となった長の孫も、彼女の連れていた子供達を本当に可愛がった


そして平穏な日々の中で、彼女は新たに2人の子を授かっていた



しかし…‥彼女達への追跡の手は、着実に近付いていたのだ!



里は問答無用で滅ぼされ、彼女は里の人々を逃がす為に自ら盾となり…‥命を散らした



〜Ⅳ〜


女性を愛妾としていた男を実父として生を受けた娘は、何時までも母の最期の光景を忘れはしなかった


後に娘は母が守った大切な里の生き残り達や自分の(同父・異父の)兄弟達を守る為に、母譲りの“力”と“武器”を手に戦場を駆け抜ける事となる!



だが彼女は戦いの中で己の力不足を悟ると、更なる“力”を求めた!



元巫女の娘は後に「三大英雄王」の一人に数えられる『導王』と呼ばれるようになる


しかし彼女は「英雄」という言葉を否定した



彼女は周囲の人達に告げる…‥



「私は『英雄』なのではありません。

自らの手を多くの血で汚した単なる『罪人(つみびと)』です…‥」



〜Ⅴ〜


「いつか私も……子供の頃に出来なかった無邪気で平穏な暮らしがしてみたいです……

『罪人』でありながら、こんな願いが叶えられるのなら…‥私は…‥」



暇潰しと称して仲間二人を招き開いた御茶会で、彼女はちょっとした(?)我儘な望みを口にしてみた



「期限付きで良いなら手伝ってやるぞ!

なぁ、法王も反対しねぇよな?」

「まぁ、闘王なら兎も角、導王…‥君になら反対はしないよ。

君にだって楽しい思い出を作る権利はあると思うからね!」


「てめぇ、俺なら兎も角って何だよ!」


「おや、空耳かな?」



驚いていた筈の導王も、何時もと変わらない2人の掛け合いに思わず吹き出していた



永き時の中を留まり続ける仲間達のじゃれあいの様なやり取りは、彼女の心に安らぎを与えてくれる様であった



そう、今のままでも満たされている筈なのに……


何故か……何か……物足りない気がして……



『……我儘だと、わかってはいるのです……』


向かいに座る2人に彼女は伝えた



「本当に良いのか?」

『覚悟は出来ています。

ただ、気が向いた時で良いですから見守っていて下さいね…‥』


「仕方がないな、承知してやるよ」


「僕達も良い暇潰しが出来るから、感謝したいくらいだよ…‥」


『ありがとう、二人とも…』


「気にしなくていい。

だが、何かあれば無理にでも目覚めてもらう事になるがな!」



大切な仲間達が協力してくれるなら心強い…‥と、彼女は小さく笑う!



(冥界の御柱、水の精霊王、…‥仲間達は私の我儘を聞いてくれただけなのです!

必要ならば罰は全て私が受けましょう。

ですから…‥今だけは私の我儘をお見逃し下さい)



そう思いながら…‥




この数日後…‥


闘王及び法王の協力のもと導王の住まう「迷鈴塔」にて、人にとっては長く…‥神や精霊にとっては短い『夢幻呪』という名の『夢見』が始まった…‥


十数年という長く短い『眠り』が…‥

全体的に『小説』と言うより『あらすじ』と言いたくなる様な文になってしまった…‥

ちなみにこの話は3人が『英雄』と呼ばれた戦いからかなり(普通の者なら寿命を迎え墓の下にいるくらい…‥)の時が経過している


取り敢えず三英雄の簡単な設定を載せてみる





※三英雄 魔導師 ルーフィ・タナーシャ

(本名)ルフィリアーナ・タナーシャ・レイリア

加護;冥界神と水精霊

フォンタナ国 導王陛下

160cm位

外見年令 15歳

「私」

隠居所 「迷鈴塔」



※三英雄 槍神官 フェゼル・ディーヴ

(本名)フェレイゼード・ディーヴェスト

加護;天界神 風精霊

ディオヴェント国 法王猊下

175cm位

外見年令 20歳

「僕」

隠居所 「礼希塔」



※三英雄 剣闘士 ライド・ヴィンス

(本名)ラインソード・レリー・オルヴィス

加護;地界神 炎精霊

レリーソン国 闘王陛下

190cm位

外見年令 23歳

「俺」

隠居所 「煙武塔」

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