#3 新たな出会い
さくら舞い散る中、学校中に響きわたるみんなの声。
空太は、他人からみればどうでもいいように思える時間を刻んでいた。
晴れ渡る空は青い。放課後、昨日夢で見たことが現実になるのか、
期待に胸を膨らませて帰っていた途中。
「あなたが御神空太くんですか?」
「そうだけど・・・。」(誰?この人。)
「私は編入してきた天夏真涼です。」
「何かご用ですか?」
「あなたに告白しに来たのです。」
「は?」
空太は自分が置かれた状況を理解できなかった。
「私と付き合ってくれませんか?」
空太には理解不能だった。初めてしゃべって告白され頭がまっしろ。
なぜなら、天夏は編入当日から学校一の美女と噂され告白を十数人から受けていた。
そんな、美女に告白されたのだ。
「・・・。」
「君とは付き合えない。俺は勉強以外興味はない。」
「大丈夫です。ただ私と手をつないで帰ってくれるだけで」
「でも、無理。」
「そこまで言うなら・・・。」真涼はバッグから何かを取り出した。
なんとそれは空太のノートだった。
「なぜ持っている?」あのノートは他人には見せられないほど恥ずかしい事を書いてしまっているからだ。
「秘密です。どうしても無理というのであれば全校生徒の前で読みますよ。」
「少し考えさせてくれ。明日の帰りまでに答えをだすから。」
(なぜだろう。寝ているはずなのにおきているみたいだ。俺はどうしちゃったんだろうか?でもなぜ俺と天夏が手をつないでいるのだろうか。)
次の朝、空太は思いきって母さんに相談した。
「母さん、最近夢が現実になったりならなかったりするんだけどどうしたらいいかな?」
「夢通りに過ごせばいいんじゃないの?」
「そうだよな・・・。わかった。そうしてみるよ。」
帰り道。
「天夏さん。昨日のことだけど・・・。」
「いつでもどうぞ。」
「付き合ってやるよ。」
真涼は無言のまま手を差し出して目で訴えていた。「手をつないで」と。
そのまま、ふたりは楽しい時間を過ごし、その日を終えた。
(夢では小寺に会うはずだったのに、天夏だった。でも何もないよりマシだった。夢がついに現実になってしまった。俺の身体はどうなってんだ!?)
空太はこのころもうすでに自分の夢が現実になる事を知っていた。
これが未来予知能力である。
空太は夢で七海と会い、現実で真涼に出会った。空太は今も心のどこかで七海のことを気にしていた。七海は何だっただろう。次回、七海が・・・。