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脱走聖女は異世界で羽をのばす  作者: つむぎ


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4/10

自由だ!

リディアは心の中でほっと息をついた。


神殿を飛び出し、この新しい世界に足を踏み入れた理由はわからない。


ただ、逃げた先がまさかこんなにも違う世界だとは思いもしなかった。しかし、ひとつだけ確信できることがあった。


それは、追っ手がこの街にまで追い付くことはないだろうということだ。


神殿の者たちがこの場所に辿り着くことはない。


リディアは少し安心し、心の中でその自由をしっかりと味わっていた。

逃げた先に待っているものが何であれ、今はもう束縛されることなく、自分のペースで生きられるのだ。


「よし!」


リディアは無意識に拳を握りしめ、軽やかに足を踏み出すと、街の中を歩きながら宿を探し始めた。


今日一日のうちに宿を確保することが最優先だった。


そして、夜になれば、この街の中で初めての自由な時間が待っている。

どこかワクワクしながら、通りを歩いていた。


少し歩くと、小さな宿が見えてきた。

看板には「ようこそ、旅人よ」と書かれた文字がゆるやかに揺れ、リディアを迎え入れてくれるように感じられる。


彼女はそのまま中に入った。宿の中は温かい光が灯り、居心地の良さそうな空気が流れていた。


「おっと、いらっしゃいませ!」


宿の主人がにこやかに迎えてくれる。


「泊まるつもりかい?それとも何か用か?」


「泊まります!」


リディアは即答し、元気よく答えた。


宿の主人は少し驚いた表情を浮かべたものの、すぐに笑顔に戻り、「部屋は一つしかないけど、いいかい?」と言いながら、鍵を渡してくれた。


リディアはうれしそうに頷き、手にした鍵をしっかり握りしめて宿の部屋に向かった。


部屋は小さかったが、快適そうでリディアには十分だった。


窓からは街の灯りがぼんやりと見え、外のざわめきがほんの少しだけ聞こえる。


彼女は窓辺に腰をかけて、手にした風船を見つめながら、ゆっくりと深呼吸をした。


「なんだか、夢みたいだな…」


自分が知っていた灰色の世界では考えられなかったことが、今ここではすべてが現実になっている。


自由に買い物をし、宿に泊まって、街の中を歩く。

そのすべてが、リディアにとっては新しい冒険の始まりだった。


彼女は窓の外を見つめながら、次に何をしようかと考えた。


今はまだ分からないことが多いけれど、ひとつだけはっきりしていたことがあった。

それは、この世界で自分の新しい道を歩むことを決めたということ。


リディアは風船を軽く揺らし、満面の笑みを浮かべた。今からが、本当の冒険の始まりだ。

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