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脱走聖女は異世界で羽をのばす  作者: つむぎ


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無限の包容力

秘密基地で新たに作ったポーションの瓶をずらりと並べ、リディアはダンジョン支部近くの広場に小さな露店を開いた。


木箱を逆さにして台代わりにし、その上に色とりどりのポーションが並ぶ。

看板代わりに掲げた紙には大きく「ポーション交換所」と書かれていた。


リディアはポーションを指差してにっこりと笑いながら声を張り上げる。


「愉快なポーション、交換するよー!お金はいらないよー!お部屋作りに役立つものなら何でも歓迎!」


露店の前には冒険者たちが興味津々に集まってきた。


リディアの小柄な姿や無邪気な笑顔が、ダンジョンという殺伐とした空気に妙な安心感を与えていたのだ。


「そのポーション、どんな効果があるんだ?」


一人の冒険者が棚の前に立ち、紫色の液体が入った瓶を手に取った。


「あ、それは回転ポーションだよ!飲むとその場でくるくる回れるの。

気分転換にぴったりなんだから!」


リディアが胸を張って説明すると、冒険者は少し戸惑いながら笑みを浮かべた。


「えっと…それ、戦闘に役立つかどうかは微妙だな。でも面白そうだなあ。

よし、これと交換してくれ!」


そう言って冒険者がリディアに差し出したのは、精巧に彫られた小さな木の棚だった。


リディアの目がキラリと輝く。


「すごい!これ、お部屋に置いたらぴったりだよね。はい、回転ポーションどうぞ!」


次に現れたのは、ぼさぼさの髭を生やしたごつい男の冒険者だった。


彼は「くにゃくにゃポーション」の説明を聞くと大笑いし、

「面白い!これで友達を驚かせてやる」と言って、自作のランタンを差し出してきた。


リディアはそのランタンがほんのり温かく光るのを見て大喜びし、「メリーちゃんのお昼寝用だね!」と大歓迎。


他にも、「もちもちほっぺのポーション」と「ふわふわ浮遊ポーション」が次々と交換されていった。


冒険者たちも最初は半信半疑だったが、リディアの楽しげな説明と実演に引き込まれ、いつの間にか愉快な雰囲気に包まれていた。


交換で集まったのは、手作りの小さな椅子や布団代わりのふわふわの毛布、壁に飾れるきれいな石版など、お部屋作りにぴったりの品々。


リディアはそれをまとめて大事そうに抱えながら、「これで秘密基地がもっと素敵になるね!」と満面の笑みを浮かべた。


メリーちゃんもリディアの足元で「メェ」と鳴きながら、その賑やかさにうれしそうに尻尾をふっていた。



露店がひと段落し、リディアは満足そうに集まった品々を眺めていた。


「わぁ、これで秘密基地がもっと居心地よくなるね!」

と、嬉しそうに小さな椅子やふかふかの毛布、きらきら輝く石版をひとつひとつ手に取る。


けれど次の瞬間、リディアは眉をひそめて足元の荷物の山を見つめた。


「でもこれ…全部運ぶの、大変じゃない?」


両手に収まりきらないほどの荷物を前に、リディアはどうしたものかと首を傾げる。

周囲を見回しても、冒険者たちはそれぞれ忙しそうにしていて、手を借りるのも難しそうだ。


「うーん…どうしよう。ねぇ、メリーちゃん、なにかいい方法ないかな?」

と、リディアが足元のメリーちゃんに尋ねた。

ピンクのふわふわの羊は、じっとリディアを見上げ、しばらく考えるように鼻をひくひくさせた。


すると突然、メリーちゃんが「メェッ!」と元気よく鳴いて、足をバタバタさせながら前に進み出た。


そして驚いたことに、そのふわもこのピンクの毛がもぞもぞと動き出し、リディアの足元にあった椅子をすっぽりと包み込んだ。


「えっ?」


リディアは目を丸くして見つめる。

次の瞬間、椅子がメリーちゃんの毛の中に吸い込まれるように消えていったのだ。


「…えええっ!?」


リディアが慌ててメリーちゃんに駆け寄ると、メリーちゃんは得意げな表情で「メェ」とひと声。


さらにふわふわの毛が伸びて、今度は石版やランタンまでも次々と吸い込んでいく。


「これ、収納の能力だ!」


リディアは手を叩いて歓声を上げた。


「すごい!メリーちゃん、こんな便利な力を持ってたの!?」


メリーちゃんはリディアの褒め言葉に気を良くしたのか、しっぽをふりふりしながらさらに荷物を毛の中に吸い込んでいく。

気づけば、足元にあった荷物の山はすっかり消え、メリーちゃんのふわもこな毛だけがふくらんでいた。


リディアは感激のあまりメリーちゃんをぎゅっと抱きしめた。


「メリーちゃん、本当にありがとう!これで秘密基地に楽々運べるね!」


メリーちゃんは嬉しそうに「メェ」と応え、リディアの腕の中でさらにふわふわと柔らかくなった。


こうして、リディアの新しい相棒メリーちゃんは、ただかわいいだけではない頼もしい存在として、その力を発揮し始めたのだった。

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