秘密基地
リディアは秘密基地の祭壇にそっと荷物を置き、部屋の隅から隅まで見渡した。
荒削りな石壁には古い模様がかすかに刻まれ、部屋全体にどこか神秘的な雰囲気が漂っている。
天井からは小さな岩のつららが下がり、足元は滑らかな石床。
リディアはくるりとその場で一回転しながら、これからの計画を考えた。
「んー、いい感じの部屋だけど、ちょっと寂しいよね。もっと居心地よくしたいなあ。
クッションとかテーブルとか、置きたいものがいっぱいあるし、もちろん美味しいおやつも蓄えておかなきゃ」
ふわふわのピンクの羊、メリーちゃんが祭壇の上で「メェ」
と一声鳴き、尻尾をふりふりする。
その姿に癒されつつも、リディアの目は真剣そのものだ。
「うん、まずはお買い物!部屋を秘密基地らしくしちゃおう!」
荷物を軽く整えると、リディアは再び秘密の扉を抜けてダンジョンの通路を進み始めた。
時折、通路の壁に手を当てたり、周囲をキョロキョロと確認しながら慎重に進む。
秘密基地の位置を他の冒険者に知られたくないリディアにとって、ここからが一番気を使うところだ。
冒険者ギルドのダンジョン支部に戻ると、売店のカウンターに並ぶ商品たちがリディアの目に飛び込んできた。
回復薬や保存食、ちょっとした装飾品やお守りまで、冒険者向けのアイテムがずらりと並んでいる。
「いらっしゃい!」
売店の店主が明るい声でリディアを迎えた。
「お嬢ちゃん、今日は何を探してるんだい?」
「えっとね、お部屋の飾り付けと、美味しいおやつが欲しいの!」
リディアが胸を張って答えると、店主は少し驚いた顔をした後、にっこり笑った。
「部屋の飾り付けだって?それならこっちに面白いものがあるよ」
そう言って店主が差し出したのは、小さな魔法のランプや、触ると光が点いたり消えたりする水晶玉だ。
リディアは目を輝かせながら一つ一つ手に取って眺めた。
「これも可愛いし…あ、それと、この保存食も!
メリーちゃんも食べられるやつ、あるかな?」
「メリーちゃん?」
店主が首をかしげると、リディアは袋の中からピンクの羊をひょいと出して見せた。
「この子だよ!ふわふわでしょ?」
「なんてこった、ピンクの羊だなんて初めて見たよ!
そいつ用の食べ物はないけど、干し草ならあるぞ」
店主は楽しそうに笑いながら棚から小さな袋を取り出した。
リディアは次々と選んだアイテムをカウンターに積み上げていき、満足げに頷いた。
「これで秘密基地も素敵な場所になるね!」
買い物を終えると、リディアは秘密基地に戻る準備を整えながら、さらなる冒険への期待に胸を膨らませていた。




