いざ!
山道をぽてぽてと歩いていたリディアは、目の前に現れた活気あふれる建物を見て足を止めた。
山の中腹に佇むその建物には、大きな看板が掲げられている。
「冒険者ギルド・山岳支部」
と書かれたその文字を見て、リディアは目を輝かせた。
「わあ!ここが冒険者ギルドの支部なんだね!」
リディアは抱えていた卵をぎゅっと抱きしめると、そのまま勢いよく建物の中へと足を踏み入れた。
ギルドの中はまさに活気そのものだった。
受付には列ができており、周囲には鎧や武器を持った冒険者たちが思い思いに談笑している。
壁には無数の依頼書が貼られ、食堂らしき一角からは楽しそうな笑い声とともに、美味しそうな料理の匂いが漂ってきた。
「すごい!なんだかみんな強そう!」
リディアはキョロキョロと周りを見回しながら進んだ。
冒険者たちの中には見慣れた服装もあれば、派手なローブや巨大な武器を持つ者もいる。
リディアは興奮気味に足を進めると、受付の端っこで隙間を見つけて腰を下ろした。
「さてさて、ここでちょっと休憩してからダンジョンに挑むのもいいかもね」
そう言いながら卵を大事に抱え直し、近くの椅子に腰掛けたリディア。
彼女の様子に気づいた冒険者のひとりが、興味深そうに声をかけてきた。
「なあ、嬢ちゃん。そのでっかい卵、どこで拾ったんだ?」
リディアは顔を上げ、その質問に無邪気に答えた。
「これ?山の下の遺跡の奥で見つけたの!
カラフルで可愛いでしょ?」
その言葉を聞いて、周囲の冒険者たちはざわざわとざわめき始めた。
「遺跡の奥…?おい、それ、ひょっとしてただの卵じゃないんじゃないか?」
「まさか、ドラゴンの卵じゃないだろうな?」
「ドラゴンの卵?」
リディアは首をかしげて答えた。
「うーん、そんな感じの雰囲気はあるかも。
でもまあ、今は私の相棒だよ!」
冒険者たちの間に困惑と興味が広がる中、リディアは全く動じることなくパンを取り出して食べ始めた。
彼女にとっては特に大事な情報ではなかったが、周囲の冒険者たちは次々と彼女に質問を浴びせ始める。
「その卵をどうするつもりなんだ?」
「もし本当にドラゴンの卵なら、危険じゃないか?」
リディアは頬張ったパンを飲み込み、満面の笑みを浮かべながら答えた。
「まだ考えてないけど、きっとすごくいいことに使えるはず!」
彼女の無邪気な返答に、冒険者たちは呆れたり、感心したりしながらも、ひとまずその場を和やかに見守ることにした。
そうこうしているうちに、リディアはふと受付の奥に貼られた地図に目を留めた。
それはダンジョンの簡易な構造図で、彼女の持つ魔法の地図と似たルートが描かれているのを見つける。
「ここが次の目的地だね!」
小さく拳を握りしめ、リディアは再び胸を弾ませながら立ち上がった。
卵をしっかり抱え、ギルドをあとにしてダンジョンの入り口へ向かうリディア。
その背中には、何か大きな期待が詰まっているようだった。




