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参考文献一覧+論文 "超かんたん" 解説コーナ〜っ♡ 7

男女のすれ違いを紐解く——男性と女性とでは得意分野が違うだけ?

Is there a sex difference in IQ scores? 2006. Paul Irwing, Richard Lynn.

Sex differences in intelligence and brain size: A paradox resolved. 1994. Richard Lynn.

Nyborg, H. (2005). Sex-related differences in general intelligence g, brain size, and social status. Personality and Individual Differences, 39(3), 497–509.

Lynn, R., & Kanazawa, S. (2011). A longitudinal study of sex differences in intelligence at ages 7, 11 and 16 years. Personality and Individual Differences, 51(3), 321–324.

Lynn, R., & Irwing, P. (2004). Sex differences on the progressive matrices: A meta-analysis. Intelligence, 32(5), 481–498.

Jackson, D. N., & Rushton, J. P. (2006). Males have greater g: Sex differences in general mental ability from 100,000 17- to 18-year-olds on the Scholastic Assessment Test. Intelligence, 34(5), 479–486.

Arden, R., & Plomin, R. (2006). Sex differences in variance of intelligence across childhood. Personality and Individual Differences, 41(1), 39–48.

The role of height in the sex difference in intelligence. 2009. Satoshi Kanazawa, Diane J Reyniers.

Colom, R., Juan-Espinosa, M., Abad, F., & García, L. F. (2000). Negligible sex differences in general intelligence. Intelligence, 28(1), 57–68.

The Impasse on Gender Differences in Intelligence: a Meta-Analysis on WISC Batteries. 2022. D. Giofrè, K. Allen, E. Toffalini & S. Caviola.

Halpern, D. F. (2012). Sex differences in cognitive abilities (4th ed.). Psychology Press.

Voyer, D., & Voyer, S. D. (2014). Gender differences in scholastic achievement: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 140(4), 1174–1204.

Gender differences in mathematics performance: a meta-analysis. 1990. J S Hyde, E Fennema, et al.

New Trends in Gender and Mathematics Performance: A Meta-Analysis. 2011. Sara M. Lindberg, Janet Shibley Hyde, et al.

Sex differences in rhesus monkey toy preferences parallel those of children. 2009. Janice M. Hassett, Erin R. Siebert, et al.

Connellan, J., Baron-Cohen, S., Wheelwright, S., Batki, A., & Ahluwalia, J. (2000). Sex differences in human neonatal social perception. Infant Behavior & Development, 23(1), 113–118.

How Large Are Gender Differences in Toy Preferences? A Systematic Review and Meta-Analysis of Toy Preference Research. 2020. Jac T M Davis, Melissa Hines.

 昔からよく「男と女は違う生き物だ」と言われます。これは古今東西ずぅっと昔から言われてきたようですが、男性と女性はほんとうに「違う生き物」なのでしょうか?

 私はそうは思いません。この意見はものごとを単純化し過ぎているように思います。

 私が思うに、男性と女性は単に性別が違うだけです。性別の違いによって生存・繁殖戦略が大きく異なるため、ぱっと見お互い違う生き物のように見えるだけでしょう。

 これは別にポリコレに配慮したいわけではなく、たんに私は性別の違いを「男女が分かり合えない理由」として拵えるのは少し強引だと思います。まぁ、そう言いたくなる気持ちは分かりますけどもね〜?(ほんとに!)

 たとえば、女性は男性と比べてよくおしゃべりだと言われますね。科学的な観点から見ると、これは女性の言語性IQの高さに由来するところがあるようです。

 ひるがえって、男性は女性よりも平均して空間認知能力のスコアが高くなる傾向にあります。結果として、男性は脳内にある地図を3次元立体として展開しやすいそうです。さて、これは一体どういうことでしょうか〜?(謎)

 じつは、男性と女性とではそれぞれ "得意分野" が異なります。

 たとえば、男性は1つのことに熱中しやすい生物学的傾向を持っていますが、女性は認知負荷の低い作業を同時にこなすのが(比較的)得意だそうです。

 もちろん、これは往々にして性差よりも個人差のほうが大きいですし、近年では「女性って別に男性よりマルチタスキングが得意なわけじゃないんじゃなあい?」と言われてたりもします。

 話がややこしくなって恐縮ですが、じつはマルチタスク能力は男女ともに同じくらいのレベルなんですね。これはかつて「女性は男性と違ってマルチタスクが得意!」と言われていたのと異なります。

 ただ一方で、男女それぞれに得意分野があるのは間違いなさそうです。もっと言うと、男性と女性とでは単に "好み" が違うだけで、スキル自体にはさほど大きな男女差はないのかもしれません。

 この点について是非もう少し深掘りさせてください。

 先ほどもお伝えしたとおり、女性のほうが平均して言語性IQ(=言葉を操る言語能力)のスコアが高くなる傾向にあり、男性は空間認知能力(=空間を立体的に把握する能力)のスコアが高くなる傾向にあります。これはいくつもの研究で確かめられている男女差——男性と女性の生物学的な傾向です。

 ひとことで言うと、女性は言葉を扱う/操るのが上手い。ひるがえって、男性のほうは図形や空間を扱う/操るのが上手いようです。

 これらの生物学的傾向(=好み)の違いは、男性と女性の文理選択の違いにもよくあらわれていますね。

 じっさいに、文学部や国際学部に進学するのは女子の割合が高く、男性は工学部や情報学部に進学する割合が平均して高い傾向にあるでしょう。これは男女のもともとの生物学的傾向(=好み)を反映した結果です。

 しかし、これらの違いは性差よりも個人差のほうが大きい。

 したがって、空間認知能力に長けた女性がいるのは "普通" ですし、言語能力(=言語性IQ)に秀でた男性がいるのもまた "普通" です。さまざまな研究をもとに、科学の分野では「各認知能力=個人差>男女差」だと指摘されています。

 たとえば、もっとも分かりやすいのは数学力かもしれません。世間ではいまだに「男性は数学が得意、女性は計算が苦手」という間違った思い込みがありますね。これは印象論や感情論にもとづいた誤解です。

 じっさいには、数学能力に男女差は(ほとんど)ありません。むしろ、研究によっては小学校〜中学校にかけては女性のほうが数学の成績が高く、高校〜大学と学年が上がるにつれて男性の数学の成績が上回るという結果が出ています。

 さて、これは何を示唆しているでしょうか?

 この結果は以下のようにまとめられます。これは数十のデータをまとめたメタ分析による結果なので、科学的な信頼性はピカイチだと思っていただいて差し支えありません。

①数学スキルに大きな男女差はない

②初頭〜中等教育時点では女性の数学成績のほうが高い

③中等〜高等教育になるにつれて男性は自分の生物学的な "好み" にしたがう

 とくにご注目いただきたいのは③です。「生物学的な好みにしたがう」とはどういう意味でしょうか?

 一般的に、男性は『モノ』に携わる仕事を好みます。たとえば、数学や機械工学などは分かりやすい例でしょう。建築家やプログラマーなどの職種もこの範囲に含まれますね。

 これは男性の生物学的な好みにしたがった結果——モノと関わろうとする心理傾向を反映した結果です。

 ひるがえって、女性は『ヒト』と関わる仕事を好みます。たとえば、心理学部や教育学部などは分かりやすい例かもしれませんね。看護師や保育士などのお仕事もこの範疇でしょう。

 これは女性の生物学的な好みにしたがった結果——ヒトと関わろうとする心理傾向を反映した結果です。

 男性と女性は生まれ持った生物学的傾向(=好み)にしたがう形で才能を開花させます。数学者や物理学者が男性ばかりなのはどうしてでしょうか、ネイリストや介護福祉士が女性ばかりなのはどうしてでしょうか?

 また別の例で考えてみましょう。どうして男性は筋トレをやりたがり、女性はホットヨガをやりたがるのでしょうか。もともとの筋肉量に男女差があるからでしょうか?

 そうかもしれません。いいえ、案外そうではないかもしれません。

 エンジニアや金融トレーダーに男性が多いのには理由があります。看護師さんや保育士さんに女性が多いのにもちゃんと理由があります。

 格闘家になって相手をボカスカ殴りたがるのは男性が多いですが、傷付いた人を癒すケアワーカーになりたがるのはやはり女性が多い。これもまた男女それぞれの生物学的傾向(=好み)を反映した結果です。

 じっさい、軍事や戦闘に関心を持つのは男性が多いでしょう。男の子は小さい頃から剣や弓や銃や鎧といった武具・防具に興味を示し、強い敵と戦いながら自分を高めていくアクション・アドベンチャーを好みます。

 これは多くの女の子がおままごとや恋愛物語に関心を持つのとは対照的です。女性にとっては恋愛こそが戦場であり、生き残りを賭けた戦いに他なりません。

 男性にとって恋愛は人生の挿入歌くらいのものかもしれませんが、女性にとって愛する人とのロマンスは人生をかけた就職活動です。

 恋愛・結婚市場での失敗はそのままメスの生存・繁殖値の低下を意味するため、女性は幼いころから恋バナをしたり恋人を作ったりして愛の予行練習をします。

 男女のすれ違いは性別ごとの生存・繁殖戦略の違いに根差したものです。男性と女性とでは生まれながらにして生物学的な好み(=得意分野)が違います。

 だからこそ、世の男性たちはロマンスにかける女性の熱量を不思議に思い、世の女性たちはバトルにかける男性の熱量に首をかしげるのでしょう。生物学的に規定された心理傾向が男女のすれ違いを生み出しています。

 さておき、なぜ女性は平均して言語性IQが高いのでしょうか?

 おそらく、答えは「ヒトと関わる仕事には言語を介したコミュニケーションが求められるから」です。言葉を必要としない場面でさえ、相手の心理を想像して共感する姿勢(=コミュニケーション能力)はヒトと関わる仕事に不可欠です。じっさい、わずかな変化から相手の状態を読み取る能力は子育てにも欠かせません。

 その一方、なぜ男性は平均して空間把握能力が高いのでしょう?

 おそらく、答えは「モノと関わる仕事には空間を3次元的に把握するスキルが求められるから」です。敵陣に攻め込むときにお互いの陣地を3次元的に把握できれば、攻撃の成功率が上がるうえに自身の生存率もまた高まるでしょう。このスキルは太古の昔に私たちが狩りをして生活していたときにも役立ったはずです。

 先入観をなくせば世界がクリアに見えます。男女のすれ違いも前より少しだけマシになるかもしれません。

 くり返しになりますが、女性が男性と比べて数学スキルが低いなんてことはありません。女性が中等〜高等教育にかけて男性より数学の成績で遅れをとるのは、ヒトと関わる仕事には数学能力よりも言語能力のほうが有利だからです。

 言い換えると、男性が高学年になるにつれて自身の生物学的傾向(=好み)にしたがうのと同じく、女性もまた自身の生物学的傾向にしたがって数学系スキルより言語系スキルを優先するようになっただけ。ただそれだけです。

 男性と女性とで大きな能力差があるわけではありません。

 男女ともに同じくらいの認知能力を有してはいるものの、お互いに好みが違うために表面的にあらわれる結果(=テスト成績)が異なるだけです。先ほどもお伝えしたとおり、これは男女の進路選択(=文理選択)にもよくあらわれていますね。

 私が思うに、男女のすれ違いは誤解と無知と先入観と経験不足と決めつけと早とちりと理解力不足と脳の省エネが原因で生じます。や、すれ違いが起きる要素ちょっと多すぎませんことっ?(ほんとに!)

 冗談はさておき、勝手な決めつけが男女のすれ違いを生むケースは多くあるような気がします。「女はこう、男はこう!」と決めつければ頭を使わずに済むので、たしかに脳内エネルギーの節約(=省エネ)という意味では楽かもしれません。

 じっさい、私たちの脳はエネルギーをできるだけ節約するよう進化しているため、よけいなことを考えなければグルコースやケトン体を浪費せずに済むでしょう。これはエネルギー節約(=省エネ)の観点から見て非常に合理的です。

 しかし、正確な理解からは遠ざかります。先入観で目を曇らせていては男女の溝が深まるだけです。「男はこう、女はこう!」といった一方的な決めつけは、男女の諍いを増やすだけでなんのメリットもありません。

 想像してみてください。サングラスをかけたままで色を正確に見分けられるでしょうか?

 想像してみてください。色付きメガネをかけたままで色の違いを識別できるでしょうか?

 先入観をなくせば世界がクリアに見えます。男女のすれ違いも前より少しだけマシになるかもしれません。断言こそできませんが、思い込みをなくすことで新たに見える世界があるのも事実です。

 科学はあなたのサングラスを外してくれます。曇って見えていたあなたの世界をクリアにしてくれます。

 色付きメガネで見ていた世界をありのまま映し出すのが科学の役目の1つです。私が科学を好きなのは、世の中にはびこる間違った思い込み(=サングラスや色付きメガネ)を取り払ってくれるからでもあります。

 もちろん、選ぶのはあなたです。

 サングラスをかけたまま生きるのか、色付きメガネをはずして生きるのか。先入観という曇りガラスがなくなった世界は、きっとどこまでも色鮮やかに見えるはずです。

 あなたが世界の鮮やかさに感動する日を心より願っています。


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