参考文献一覧+論文 "超かんたん" 解説コーナ〜っ♡ 5
協調性の真実——どうして女性には『愛の人』が多いの〜?(※偏見)
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女性のほうが他者を慈しむ心が強い。愛が深いのは男性よりも女性のほうかもしれない——。
これも先ほどの内容と関連するお話かもしれませんが、世間一般では女性のほうが愛情深い人が多い印象がありますね。『愛の人』と聞いて女性を連想する人も少なくないでしょう。
たとえば、私の母は時に自分を犠牲にしてでも私たち子どもに尽くし、自分が着るものや食べるものよりも私たち子どもに良いものを与えてくれました。これは私の父親がボンクラ(ごめんなさい!)だったのとは対照的です。や、ほんとうに。
これを科学的な観点から紐解いてみましょう。なぜ女性のほうが愛情深い人や献身的な人が多い(ように見える)のでしょうか?
おそらく、答えの1つはやはり『協調性』にあります。
というのも、協調性の高さは他人への思いやりの強さと関連し、心理学の分野で知られる概念『セルフ・コンパッション』との関係も深いのだそうです。
さて、協調性とは何でしょうか。セルフ・コンパッションとはどんな考えなのでしょうか?
先に結論を言うと、協調性とは「みんなと一緒だぁ〜いすきっ♡」な性格のこと。たとえば、パーソナリティ心理学の研究データによると、男性よりも女性のほうが平均して協調性のスコアが高いとされています。
じっさい、これはどこの国や地域においても共通する傾向なので、女性の協調性の高さは進化的/生物学的な背景に根ざしたものだと考えられます。男性と比べて、女性のほうが協調性があるように見えるのは決して気のせいではありません。
ひとことで言うと、他者と歩調を合わせる女性のほうが生き残りやすかったんですね。
ホモ・サピエンスのメスにおいて、他者との関係性に重きを置くのは生存合理的でした。協調性のスコアが高い人は『共感』や『調和』などの考え/価値観を大切にするため、結果として自他への思いやりや子どもへの愛情が強くなる傾向にあると考えられます。
じっさい、子ども好きな女性はおしなべて協調性が高いでしょう。世のお母さんや保育士さんをご覧になればお分かりのとおり、子育てには他人と上手くやる能力/性格が欠かせませんよね。
さらに言うと、協調性が高い人は動物好きでもあるようなので、捨て猫や捨て犬などの「かわいそうな子たち」を見ると放って置けません。つい反射的に「私がこの子たちなんとかしてあげなきゃあ!」と思ってしまいます。これは共感性や同情心の高さゆえでしょう。
言い換えると、協調性のスコアが高い人たちは慈悲深い。性格心理学の観点から見ると、愛情の深さは「他人との調和を望む性格かどうか?」に関連すると考えられます。
ひるがえって、協調性のスコアが高い人はセルフ・コンパッションのレベルも高くなる傾向にあります。かんたんに言うと、セルフ・コンパッションとは「自分への思いやり」のことです。
これは決して「自分に甘い」という話ではなく、ツラいときや苦しいときにきちんと自分の心と身体を気遣ったり、ありのままの自分を受け入れる肯定的な働きかけ/心の在り方のことを指します。むむっ、なにやら難しそうですね〜っ?
いいえ、どうかご安心を。セルフ・コンパッションの本質はシンプルです。
これは「労りの心」をあらわします。セルフ・コンパッションが身に付いている人は決して無理をしません。このスキルを備えた人は自分を痛めつけるような真似はしないと考えられます。
たとえば、あなたが仕事のストレスで精神的に参っているとしましょう。このときセルフ・コンパッションのレベルが低い人は、自分にムチを打って「こんなの大したことない!」と言い聞かせたり、ストレスを受けている自分に対して「なんで私はこんなに打たれ弱いんだろう……」と思い悩んだりします。これは自分への労りが欠けている証拠です。
ひるがえって、セルフ・コンパッションが身に付いている人は、現在のストレスに無理なく適切に対処しようとします。たとえば、ある人は「きっと今日は疲れてるんだね。お風呂にでも入ってゆっくり休もう」と考えるかもしれません。またある人は「今日はもう店じまいっ。気分転換にお買い物でも行こっかな?」と考えるかもしれません。
いずれにせよ、もうすでに心と身体が限界を迎えているときに無理をするのは、自分への思いやり——セルフ・コンパッションに欠ける振る舞いでしょう。
今日の無理は未来の病気です。
今日の我慢は未来の不幸です。「あのときちゃんと休んでおけば……」と後悔しても時間は返ってきません。
となれば、セルフ・コンパッションは『愛』とも言い換えられそうです。セルフ・コンパッションを身に付けることは『愛ある人』に近づくための方法の1つかもしれません。
愛がある人はツラいときに自分をうんと目いっぱい労ってあげますし、他人が苦しい思いをしているときにはそっと手を差し伸べてあげます。協調性のスコアが高い人たちが愛情深い/思いやり深いのは、ひとえにセルフ・コンパッションが高いからかもしれません。
愛がある人は人間にも動物にも優しい。愛がある人は困っている人に手を差し伸べずにはいられない——。
私が思うに、ミリアやラーニャたちは協調性が高いのかもしれません。たとえば、ラーニャはあの丘でミリアと初めて会ったとき、自分の作業(山菜取り)は後回しにして彼女を助けてあげました。
見知らぬ人にも優しくできるのはラーニャ自身の人柄かもしれませんが、ここにはセルフ・コンパッションも多分に関係していると考えられます。彼女は愛が何かを体感的に知っているからこそ、他人に手を差し伸べてあげられるのでしょうね。
その一方、ミリアもミリアで協調性が高い振る舞いをしていました。たとえば、ルルちゃんお目当ての本が見つからなくて困っているとき、ミリアは彼女と一緒に(お仕事とはいえ)本を探してあげていましたね。
また、大通りで楽器を演奏しているストリート・ミュージシャンの方々に、いつもステキな音楽を奏でてくれているお礼として彼女はチップを渡していました。協調性が低い人ならこんなことはしません。
じっさい、協調性のスコアが低い人たちは「自分が、自分が!」という気持ちが強く、他人に何か施すよりも自分のため "だけ" に時間やお金を使おうとします。良いか悪いかは置いといて、協調性が低い人たちは自己中なんですね。
このタイプの人たちはどこまでも自分本位でモノを考えるため、他人を利用することに遠慮がなかったり身勝手だったりします。ひとことで言うと、協調性が低いパーソナリティーの人たちは相手を思いやることが苦手なんですね。
じっさいに、良心の呵責がないサイコパスは協調性が極端に低く、他人を自分のために利用することに対して抵抗感がありません。この人たちは「相手のことを考える」という発想じたいがあまりないんですね。
ひるがえって、ミリアとラーニャの振る舞いは思いやりにあふれています。そして何より、彼女たちの他人を気遣う行動——利他的な行動は幸福の源泉です。
じっさいに、他人のために動くこと(=利他的行動)が多い人ほど幸せになりやすく、セルフ・コンパッションのレベルは幸福度とも強く関連することが分かっています。
愛情深い/思いやり深い人がいつもニコニコ笑顔♡で幸せそうなのは、他人に尽くそうとする献身性が幸せと強く結びついているからでしょう。
ひとことで言うと、献身的な人ほど幸せになりやすい。これは誠意を込めて自分に尽くすこと——セルフ・コンパッションとも関係するお話です。
たとえば、ホモ・サピエンスのメスには「子どもを産み育てる」という生物学的な使命があります。
現状、出産は女性にしかできない(生物学的に規定された)お仕事ですし、どこの国や地域でも女性が主に子育てを担当するパターンが割合として多いでしょう。古今東西、出産と育児は主に女性に課せられた(生物学的な)大仕事でした。
もちろん、これは「男は子育て参加しなくてヨシ!」「子どもを産み育てるのは女の仕事!」というお話ではありませんのでご注意を。あくまでホモ・サピエンスのメスに課せられた生物学的な役割にフォーカスしたお話です。
ですので、早とちりしてポリコレ棒で私を殴るのはおよしになってくださいませね。とっても痛たたたたたたーでございますのでね〜っ?(ほんとに!)
さておき、このように我が子と接する機会には男女で多少なり差があるため、子どもの成長に喜びを感じるチャンスは女性のほうが多いかもしれません。
手塩をかけて育てた子どもが立派な大人になってくれたら、おなじ時間を共に過ごしてきた親としては嬉しいでしょう。これこそ母親/父親冥利に尽きるお話かもしれませんね。
子育ては献身の姿勢がなくては立ち行きませんから、自分のことだけを考える自己中な人は結婚や育児にあまり向かず、結果として他人のために尽くす喜びも幸せも手に入らないままでしょう。
自分のことばかり考えている身勝手な人が幸せそうに見えないのは、私たちの心にある「他人に貢献する喜び」を無視しているからです。
常に自分のことだけ考えているような協調性の低い人は、他者とのハレーションや人間関係での揉め事も起きやすいでしょうし、誰かのために動こうとする献身の姿勢がないためいつまでも心が満たされません。これでは幸せが遠のいても仕方ないでしょう。
愛は幸せです。
思いやりは幸せです。慈悲の心はきっと幸せを運んできてくれます。
私の敬愛するナイチンゲールさんやマザー・テレサさんなど、女性に『愛の人』が多いように見えるのは偶然ではないでしょう。
協調性の高さもセルフ・コンパッションのレベルも、ひとに対して献身的に尽くそうとする姿勢のあらわれですから、他人との調和を求める女性のほうが『愛の人』になりやすいのかもしれません。
私の尊敬するお二方に少しでも近づけるよう、私自身も日頃から他人のために何ができるかを考えたいと思います。きっと、この気持ちが幸せを連れてきてくれるはずですから。




