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参考文献一覧+論文 "超かんたん" 解説コーナ〜っ♡ 4

陽気で明るい子は自己主張ができるハッピーガール?

M Averett, D L McManis. (1977) Relationship between extraversion and assertiveness and related personality characteristics.

Conceição Reis de Sousa, Ricardo da Costa Padovani. (2021) Assertive skills: a comparison of two group interventions with Brazilian university students.

Mandana Bagherian, et al. The Relationship between BIG Five Personality Traits and Assertiveness. September 2016.

Heawon Park, et al. The effects of self-assertiveness and appearance satisfaction on psychological well-being. October 2014. The Research Journal of the Costume Culture. 22(5):728-742.

P T Costa Jr, R R McCrae. (1980) Influence of extraversion and neuroticism on subjective well-being: happy and unhappy people.

Diener, E., Sandvik, E., Pavot, W., & Fujita, F. (1992). Extraversion and subjective well-being in a U.S. national probability sample. Journal of Research in Personality, 26(3), 205–215.

Refining the relationship between personality and subjective well-being. 2008. Piers Steel, Joseph Schmidt, Jonas Shultz.

Margolis, S., & Lyubomirsky, S. (2020). Experimental manipulation of extraverted and introverted behavior and its effects on well-being. Journal of Experimental Psychology: General, 149(4), 719–731.

 これら一連のレビューでは、陽気で明るい性格——外向性のスコアが高い人ほど、基本的な幸福度が高いことが報告されました。たとえば、作中でラーニャという女の子は陽気で明るいキャラクターで、ミリアから何度も「太陽みたい」「ひまわりのよう」などと表現されていましたね。じっさい、ラーニャの陽気さはまさに太陽/ひまわりのようでした。

 彼女のように明るく元気なパーソナリティーを持つ子は、しっかりと自分の言いたいことを言える人でもあります。というのも、ちゃんと自己主張ができるかどうかは、陽気さや明るさ——外向性の性格と強く関係しているからです。

 じっさいに、自己主張の強さは外向性のスコアと関連し、その相関は数値にしてr=0.46くらいだと報告されています。これは心理学の統計としてはそこそこの値です。さらに言うと、自己主張の強さはその本人の主観的な幸福度とも関連しているため、基本的には「きちんと自分の言いたいことを言える人ほど幸せ」だと言えるでしょう。

 ひるがえって、ミリアはときどき自分の言いたいことを飲み込んでしまう傾向にありましたね。これはパーソナリティー心理学において、シャイで控えめな性格——内向型タイプの心理・行動傾向と一致します。内向的な人は自己主張や自己表現を少々ためらってしまう傾向にあるため、外向性のスコアが高い人と比べると幸福度が少し低くなりやすいようです。

 ただし、もともと内向的なパーソナリティーを持っている人でも、外向的な人の行動をマネすることで幸福度が底上げされる可能性があります。じっさいに、外向性のスコアが低い人が陽気で明るい人の行動をマネすると、その本人の主観的な幸福度がアップする傾向が確認されました。

 ひとことで言うと、幸せは(ハッピーな人の行動を真似ることで)作れるようです。

 さいしょこそ緊張するものの、だんだんと外向的な人の行動を真似ることに慣れて、やがて他人と交流したり人の多い場所に出かけることへの抵抗が薄れていきます。たとえるなら、これはサッカーを新しく始めた人が最初は下手でも、ボールを触っているうちにだんだんと蹴り方に慣れてくるようなものです。

 もしあなたが「私はシャイだから……」「オレ人見知りだし……」とお悩みなら、ほんのちょっとだけでいいのでラーニャの言動を参考にしてみるといいかもしれません。ミリアに『太陽』『ひまわり』と称される彼女の振る舞いには、幸せになるためのエッセンスが含まれているかもしれませんから。ね?

 すなおになったぶんだけ幸せになれる——。ひょっとしたら、あの太陽みたいな女の子はそのことをよぉ〜く分かってるのかもしれませんね。


♦︎


好奇心お化けは感動屋さん?(しかも神秘体験もしやすい?!)

Mystical Experiences Occasioned by the Hallucinogen Psilocybin Lead to Increases in the Personality Domain of Openness. 2011. Katherine A MacLean, Matthew W Johnson, et al.

Keltner, D., & Haidt, J. (2003). Approaching awe, a moral, spiritual, and aesthetic emotion. Cognition and Emotion, 17(2), 297–314.

The neural correlates of the awe experience: Reduced default mode network activity during feelings of awe. 2019. Michiel van Elk, M Andrea Arciniegas Gomez, et al.

Nelson-Coffey, S. K., Ruberton, P. M., Chancellor, J., Cornick, J. E., Blascovich, J., & Lyubomirsky, S. (2019). The proximal experience of awe. PLoS ONE, 14(5), Article e0216780.

Silvia, P. J., Fayn, K., Nusbaum, E. C., & Beaty, R. E. (2015). Openness to experience and awe in response to nature and music: Personality and profound aesthetic experiences. Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 9(4), 376–384.

Skalski-Bednarz, S. B., Toussaint, L. L., Konaszewski, K., & Surzykiewicz, J. (2024). Personality traits as predictors of forgiveness and gratitude/awe: A two-wave longitudinal study. Current Psychology: A Journal for Diverse Perspectives on Diverse Psychological Issues. Advance online publication.

 これら一連のデータによれば、知的好奇心の強さが物事に感動する頻度/気持ちを予測しました。じっさいに、知的好奇心のレベル——性格心理学で『開放性』と呼ばれる性格のスコアが高い人は、宇宙の壮大さや自然の神秘に触れたときにより頻繁に感動する気持ちが湧いてくる傾向にあったそうです。

 ひとことで言うと、好奇心お化けは感動屋さん。どうやら、ものごとに感動する気持ちは知的好奇心の強さをベースにしているようで、心がオープンで色んなものに興味を持つ人のほうが感動体験も多いようです。

 この宇宙の広さを実感したとき、壮大な自然の景色を目にしたとき——私たち人間は次のように感じます。

「自然ってスゴい、地球ってスゴい。私たちの世界ってこんなに広いんだ……」

「この広大な宇宙に比べたら、人間なんてちっぽけな存在……ほんとにちっぽけ」

 科学的な観点から見ると、こうした気持ちは『畏怖の念』と呼ばれます。

 かんたんに言うと、これは恐れと敬いがごっちゃになった感情のことです。たとえば、あなたも人知の及ばない自然のチカラや偉業を成し遂げた偉人について知ったとき、それらに圧倒されるかのような恐れおののく気持ちを感じたことがあるかもしれません。これは『感動』と言い換えてもいいでしょう。

 たとえば、私はフローレンス・ナイチンゲールさんを心から尊敬しています。まだ女性や看護師の社会的地位が今よりずっと低かった時代、彼女はナースの先駆けとして誰にもできないような数々の偉業を成し遂げ、クリミア戦争の後遺症に悩まされながらも苦しみの淵にある人のそばに寄り添いました。私は彼女の伝記や著書を通じて、ナイチンゲールさんに対して畏敬の念——敬いと畏れがごっちゃになった気持ちを抱きます。

 これらは全て畏怖の念——すなわち「ものごとに感動する気持ち」があればこそ。とりわけ、知的好奇心が強い人は感動体験の頻度や強度も高いようですから、好奇心お化けさんは今日もまた兼業で感動屋さんとしても働いているのでしょう。これはワーカホリックの疑いがありますね。ありません。

 さらにユニークなのが、知的好奇心が強い人は神秘体験もしやすいこと。この話を分かりやすくするために、ここでは「神秘体験=言葉で説明できないものスっゴイ体験!」と考えてみましょう。たとえば、死の淵をさまよった人が経験する臨死体験もそうですし、自分の身体から魂だけがフワッと抜け出す幽体離脱(=体外離脱体験)もそう。これらは全て神秘体験の一部だと考えられています。

 知的好奇心が強いと神秘的な体験もしやすい——。

 この関連性を不思議に思うかもしれませんが、じつは開放性(=知的好奇心)のスコアが高い人の脳の神経ネットワークは少し特殊です。具体的に言うと、それぞれの脳領域とのつながりが非常に強くてスムーズなため、ほかの人が知覚できないような感覚までリアルに感じることがあります。ひょっとしたら、これを『第六感』と呼ぶ人もいるかもしれません。

 神経ネットワークの結び付きが強ければ、ほかの人が知覚できない感覚まで感じる——。じっさい、ひらめきや直感が鋭い人は概して開放性のスコアが高く、頭の中で知識と知識が結びつきやすいがために独創的なアイデアも湧きやすいそうです。古来より、このタイプの人たちは霊媒師や占い師などの仕事を担うことが多く、ほかの人よりも精霊や神さまなどの霊的な存在とのつながりを感じやすかったでしょう。

 じっさい、大自然や神さまとの一体感を覚えやすいタイプは、この開放性のスコアが高い人たち——脳の神経ネットワークの結び付きが強い人たちでもあります。通常、私たちは自己と他者を別々に分けて捉えますが、ニューロン同士のつながりが強い人は自分と他者の境界が曖昧になりやすい——。結果として、自己と他者を隔てる壁がスパッと取り払われて、精霊や神さまなど別次元の存在を自己と一体化して捉える傾向が強くなるそうです。

 言ってみれば、知的好奇心(=開放性)は乳化剤のようなもの。本来であれば、ミルクとカカオはそれぞれ別々のものですが、開放性という乳化剤を通じてこれらがお互いに溶け合うことになります。チョコレートはミルク(=自己)とカカオ(=他者)が混ざり合ってできたもの——知的好奇心という乳化剤の作用によって一体化したものなんですね。

 また別の言い方をすると、知的好奇心(=開放性)は接着剤のようなものでしょうか。本来なら、プラスチックと金属はお互いに異なる性質を持った別々のものですが、開放性という接着剤を使うことで磁石がくっ付くようにピタッとくっ付けることができます。

 知的好奇心の作用によってプラスチック(=自己)と金属(=他者)をくっ付けたとき、私たちは自分と世界を隔てる壁が無くなったかのような不思議な感覚を覚えることがあるそうです。これを「自分と世界との境界が溶け合った!」と表現する人もいるのだとか。

 感動する気持ち(=畏敬の念)も不思議な経験(=神秘体験)も根っこは一緒です。こうした奇跡のような体験の根っこには、世界の全てに興味を持とうとする心の動き——すなわち知的好奇心があります。

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