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Prologue:夢の始まり
ねぇ、信じられる?
元々わたしは男の子で、今は女の子だってこと。
この話をしてもきっと誰も信じてくれないと思う。だって、わたしだっていまだに信じられないんだから。
わたしは今でもこれが夢なんじゃないかって思ってる。いつ覚めるかも分からない束の間の夢だって思ってる。まるで、いい映画を観終わった後すぐ現実に引き戻されるみたいに。感動的な映画が最後のエンドロールを迎えたあと、真っ暗だった館内が急に明るくなるときみたいに。
この映画の幕がいつ上がるかなんて、わたしにだってちっとも分からない。
この夢みたいな舞台の幕がいつ上がるかを、ちゃんと知ってる人なんてどこにもいない。きっと、これは神さまがわたしにくれた束の間の夢だから。いつ消えるかも分からない泡沫の夢だから。
だから、わたしは精いっぱい生きる。
神さまがくれたこの命を精いっぱい燃やし続ける。あとから振り返ったときに、けっして後悔がないように。
この宝ものみたいな夢の時間を、わたしは精いっぱい生き続ける。
だって、これはわたしの……わたしたちの物語だから。




