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色々な細かい話

 本編を読んで下さり、ありがとうございます。ここから先は、調査中の事やその他もろもろについて書き残すページになります。どうでも良い方は読み終えるか、次の『何故なろう系で、サツマイモ無双が流行らなかったのか?』に移動してくださいな。


 さて、現代もサツマイモは日本で大いに普及しています。そのきっかけとなる出来事が、本編でも描かれた『享保の大飢饉』なのです。

 当時の八代将軍・徳川吉宗はこの被害を受け、米に偏った農業政策を問題視しました。そこで新たな作物として『サツマイモ』に目を付けた訳ですね。

 サツマイモの特性を考えると、まさしくご慧眼けいがんと言わざるを得ません。本編でも描き、タイトルにも書いてある通り……マジでこの作物チートなんですよ。


 水が少なくても育つ。肥料が少なくても育つ。病気や害虫も……他の作物と共有している物が少ないので、伝染される心配も薄く、致命的な物も少ない。

(全くない訳ではありませんが、基本的に育てやすいです)

 害虫で怖いのはヨトウムシですね……夜行性で食欲旺盛と、本当に最悪な害虫の一体で! ……すいません、かなり私怨が入っています。作者何度もコイツに家庭菜園をボロボロにされたんですよ……!


 コホン、話を戻します。サツマイモは栽培期間が長いですが、非常に楽に育つ作物です。そして収穫した後も、非常に都合が良い。

 芋なおかげか、常温でも保存が出来るし……調理も皮をつけたまま洗って、焼いたり蒸かすだけで食べられます。これは農民目線でも大変ありがたく、難しい手順が全くないのです。

 そして、味も良い。甘味料がまだ高かった時代で、甘い芋はおやつにピッタリ。栄養も食物繊維を軸に、ビタミンも十分含んでいます。


 そして何より、一番反則的な特性が――『連作障害が起こらない』って点です。

 これは植物に詳しくないと、ピンとこないかもしれないですね。実は植物の多くは、同じ土地で連続で育てると、発育が悪くなるのです。原因は……現代科学でもよくわかっていません。栄養バランスが偏るからとか、死骸が病害虫の温床になるからとか、様々な説があるのですが……明確な事は何も。ですが、世界中で農耕に携わった人間が、全く同じ結論に至っています。日本に限らず、世界中で。ですから『連作障害』は、間違いなく存在しています。


 なので、農家は土地をグルグル回しながら栽培するんですね。どういうことかと言いますと……畑を四ブロックに分け、四か所に別々の作物を植え、次シーズンでは別ブロックに作物を植える。収穫が終わったら、また次シーズンに別ブロックに移して……と言った具合ですね。これを『輪作』と言います。

 ところが……サツマイモは何故か『連作障害が発生しない』のです。そもそもの話、連作障害が原理不明ではあるのですが……なのにサツマイモは、毎年同じ場所に植えても問題ない。それどころか、同じ場所で植え続けた方が良い芋が育つそうです。なんでや?

 メチャクチャ楽に育てられて、手間がかからず、食べても美味い。マジでこの作物反則なんですよ。ちょっとプランターでは難しいですが、日当たりの良い庭があるなら、よく耕して苗を植えるだけで育ちますよー



 ここから、資料を集めた際のちょっとした余談。



 サツマイモは享保の大飢饉で見いだされ、その後江戸時代の飢饉の被害を抑えましたが……実はもう一度、この時代より未来で日本を救った作物でもあるのです。

 第二次世界大戦終了後……つまり終戦後の日本において、サツマイモは大いに日本人を助けた作物の一つだそうです。資源も物資もなく、配給で足りない食料を闇市で補う時代です。そんな中『日当たりの良い土地さえあれば、育てられる作物』は、非常に都合が良かったと。

 この戦後の話は、私の祖母から聞いた話です。周囲の人もそうだったらしいと聞きました。その影響なのか、人によってはサツマイモを食べると、戦後の貧しい時期を思い出してしまうとか。祖母は平気だったそうですが、祖母の姉妹の誰かが苦手だと聞いています。



 余談その二



 ヒガンバナについてです。


 モグラなどへの対策として、現代も畑の外側に植えられているヒガンバナですが……どうも昔は、毒のある球根から、毒素を抜く方法があったらしいと聞きました。

 あり得る話です。日頃は作物に対する毒として植えて獣害を防ぎ、飢饉などの緊急時には毒を抜いて食料にする。非常に効率の良い方法ですが、ならば何故現代に伝わっておらず、技法が失われてしまったのか?


 これは想像ですが……たぶん、あんまりおいしくない……と言うか、はっきり言って『マズい』のでしょう。

 日本人の食についてのこだわりは、海外と比較して変態的です。毒を持つ魚のフグを調理して食べるのも、我々日本人の特性です。

 ……って事はですよ。もし『毒を抜いたヒガンバナ』が『美味』であるなら……伝統食として残っていると思うんですよ。

 毒があっても、手法を確立してフグを食べる日本人なら……毒のある球根でも、毒さえ抜けば旨いなら、現代まで食されているに違いないのです。にもかかわらず、その手法が失われているとって事は……味の方がお察しなんでしょう。


 それでも方法を推理するなら……あまり手間のかからない方法、あるいは方法さえ分かってしまえば極めて簡素な手順だと思います。緊急時に掘り起こして食すのだから、あまりのんびり時間はかけていられない。

 それともう一つ予想できるのは、毒抜きしたヒガンバナに頼るのは農民でしょう。つまり『当時の江戸時代の農民基準で、用意できる道具や手段』と考えます。高価な物を多用する方法や、特殊な加工処理とは思えません。気が付いてしまえば『あぁ、そんな簡単な方法だったのね』って感想を抱くような手段と考えられます。


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