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Lesson1 諫言を聴く

異世界ラブコメです。

 一ヶ月後に、王都で社交シーズンが始まる。

 この間に、アル様から婚約破棄受けたと国王に上申したところ、謝罪も釈明も無く、淡々とそれを受理した旨が返ってきた。

 お父様は宰相であり、国王と直接言葉を交わす機会もあったが、やはり、謝罪や釈明は無かったという。

 第一王子への乗り換えについても提案したところ、好きにするようにとだけ言われたらしい。

 書き起こしてみれば、我が家も第一王子もぞんざいに扱われているのではないかと憤慨したくなった。

 けれど、その言葉を直接耳にしてきたお父様の感触は違った。


「陛下は、予期していたような口ぶりだった。

 それから、謝罪はなかったけれど、シンシアが傷物呼ばわりされたり、尻軽だと揶揄されたり、といった誹謗中傷は、徹底的に処理するから心配ない、と言われた」


 ――アル様は私の評判を下げて、自分の評判を上げるつもりのようでしたけど、その心配は無い、ということですね。


「それは素直に有り難いですが、当然ですね。

 ご子息の勝手な振る舞いが原因なのですから」


 四大公爵家の一人娘を蔑ろにすると、その後ろにいる派閥からも反感を買う。


 ――当然といえば当然ですが……。


「それにしても陛下の第一王子への態度はいかがなものでしょう?」


 王と王子の関係は、普通の親子と同じようなものと簡単に割り切れるものではない。

 とはいえ、結果だけ見れば、陛下はアル様に肩入れし、第一王子のテオドール様への対応は軽くなっていると感じる。

 王太子の候補はもう決まってしまったのだろうか。 だったら早く王太子は決まった と宣言すればいいのに。


「こうも 第一王子と第二王子で扱いに差があるのなら さっさと王太子を決めてしまえば良いと思いますが」


「確かに扱いだけ見れば 第二王子が優勢だろう。けれどまだ、現時点で陛下は王太子をお決めになっていない。

 それはつまり、まだ第一王子を、テオドール 様を諦めていないということではないだろうか」


「ならやはり、テオドール様についてしっかり調査し、確認する必要がありますね」


「ああ そうだと思う。 シンシアはそれでいいかい?」


「ええ。以前にもお話した通りです。

 スターダスト家が第一王子派となった場合、やはり第一王子の伴侶となるなら、適齢期の令嬢は私しかおりません。

 自分の夫となるかもしれない人は、自分で見極めます」

 

 数週間後、貴族学校の生徒たちは、日中は学校、夜は社交と忙しい時期を迎える。

 社交シーズンの始まりだ。

 他国では社交シーズンと学校シーズンを分ける国もあるようだけど、貴族学校に通う学生達は、冬の魔獣狩りの主戦力でもあるので、中々学校シーズンと社交シーズンを分けることが難しい。

 成人のように昼間からの社交は休日のみとなってしまうが、デビュタントを終え、成人までのモラトリアム期間を、学生たちは忙しなく過ごす。

 我が国では、社交シーズンの開始を四大公爵家が毎年持ち回りし、社交シーズンの終わりは王宮での晩餐会で締めくくられる。

 今年の社交シーズンの開始は、テオドール様の母方の実家、ボレアス公爵家のパーティーだ。

 公爵家のパーティーは、余程のことが無い限り、派閥に関係なく貴族たちのほとんどが招待される。当然、社交シーズンの始まりのパーティーなので、王家も出席される。例年、ボレアス家以外のパーティーに、テオドール様はいらっしゃらないが。

 今回は、テオドール様だけでなく、アル様や国王夫妻も当然いらっしゃる。

 

 ボレアス公爵家に父と到着した私は、なるべく目立たないようにホールに入り、アル様たちの視界に入らないように細心の注意を払いながら、ボレアス公爵に挨拶した。

 ボレアス公爵は、テオドール樣の生母である側妃様の実兄にあたる。

 このため、ボレアス家は第一王子派であり、婚約の一件で第二王子派となったスターダスト家とは元々あまり親しくない間柄であったが、今回の私の婚約破棄の一件で、その状況は一変した。

 そして、内々に私の婚約破棄の経緯と、今後の私の身の振り方についてご相談し、ボレアス公爵としても気がかりだった、第一王子の意向を私が確認調査することで合意し、今回、第一王子と私の秘密の会合の場を設けてくれた。


 公爵と挨拶を交わし終えたところで、先に入っていた側仕えのナタリアが声をかけてきた。

 彼女はスターダスト家の家門に連なる下位貴族の令嬢で、共に貴族学校に通う学生だ。普段は側仕えとして、学校から公爵邸での生活のいたるところで、私の世話をしてくれている。

 そしてその正体は、スターダスト家の諜報部門を司るミロ家の一員だ。

 今回も、公爵邸に現れたテオドール様を見張り、私と会合を行う場を整えるべく、ボレアス家の人間と調整をしてくれていた。

 

「シンシア様、準備が整いました」


「ありがとう。

 アル様は?気付かれていない?」


「ミランダ様と仲睦まじい様子です。正妃様共々、このお二人を中心に盛り上がっておられます」


「婚約はもう少し先でしょうけど、もうそんな状況なのね。

 それならそれで、こちらも心置きなく行動できるわ。

 それじゃあ、行きましょうか」

 

 

 公爵邸2階のパーティー会場には、いくつかのバルコニーが併設されており、いずれも魔導式を使用することで、プライベートな会話が聞こえないようになっている。

 姿も靄がかかり、誰か分からないような認識阻害の魔導式が張り巡らされていた。所謂、相引きスペースである。

 先客がいると、普通は入れないようにフットマンに止められる。が、今回はボレアス家が一枚噛んでくれたため、誰に咎められることもなく、私は中に入ることができた。

 私は一人、バルコニーに入ると、そこにはグラスを片手に、物思いに耽る男子が一人、欄干に寄りかかっていた。

 夜空のように暗い黒髪、黒縁メガネで伺えない視線。間違いなく、テオドール第一王子だ。

 紺の生地に金糸で刺繍された軍服の正装を身に纏い、夜の闇に溶け込みそうな雰囲気だ。

 どう声を掛けようか、逡巡したけれど、こういうのはノリと勢いが大事だと、お母様なら言うだろう。

 ヒールの音に気がついたのか、彼がこちら側に向こうとした時、グイッと覗き込むように彼に近づいた。

 

 ――間合いを詰めるのは、得意技なのです。

 

「お初にお目にかかります、テオドール第一王子殿下。

 こんなところでお一人ですか?

 少しお話をさせていただいても?」

 

 一息にパーソナルスペースに侵入したせいか、ビクッと殿下は震え、覗き込まれまいと、私から顔を背けた。

 

「な、な……なんだ、アンタ。突然。

 ここには誰も入ってこられないはずじゃ」

 

 そうやって殿下はジリジリと距離を取ろうとするので、近過ぎたかと反省して姿勢を正す。

 

 ――淑女らしく、ちゃんとお辞儀して挨拶しないと。

 

「これは大変失礼いたしました殿下。

 私はシンシア・E・スターダスト。

 スターダスト家長女にございます。

 この度は、御身と二人きりでの夜のダンスにお誘いしようと、こうして声をかけさせていただいた次第です。

 殿下の伯父、ボレアス公爵様も、殿下が一人で過ごしておられるのを、ご心配なさっていらっしゃいました」

 

 公爵家の令嬢と名乗ったことで、少し安堵したのか、殿下は反らし気味だった姿勢を正してくれた。


 ――でも。視線は合わせてくれないのですね。

 

「はぁ……スターダストの……。

 伯父上も余計なことをしてくれる。

 それにしても、公爵家の長女が、王族に無礼な態度を取って大丈夫か?」


 位の高い方に、低い者が話しかけるのは一般に失礼に当たる。そのことを指しているのだ。

 

「弁解の余地もございません。

 この無礼に関しては、いかなる処罰も覚悟しております」


 そう言われるだろうと予想していた私は、大仰に謝罪した。

 すると殿下は意外にも狼狽える。


「い、いや。別に罰を与えるとか、そういうつもりで言ったんじゃ無い」


 そしてハッとして、けれどずっと視線は合わせないまま、私に尋ねた。

 

「この際、その不敬は問わない。

 それより、アンタが僕の元に来た理由は何だ?

 アンタはアルの婚約者じゃないのか?

 アルと離れて僕の所に来て大丈夫なのか?

 色々と誤解を招くぞ」


 ――後ろ盾となる親族のボレアス公爵とすら関わりを持とうとされないので、弟の婚約者になど興味が無いと思っていましたが、意外と情報を持っているのですね。まあ少し古い情報ですが。


「まあ!

 心配してくださるのですね。ありがとうございます。

 でも残念ながら、彼の方はすでにパートナーが別にいらっしゃるようで、今後、私の出番はございません。

 というか、今日のパーティーに出席なさっていたのなら、彼の方のパートナーの顔くらい見たのでは?」

 

「見たさ。これがスターダスト家の長女かとね。

 でも、僕はアルたちに気軽に話しかける人間じゃないから。

 本人たちに確かめる気もなかった」

 

「そういえば王宮に参上した時も、殿下とは一度もお会いしたことがございませんでしたね」

 

「アルの婚約者にわざわざ会う暇があったら、勉強と魔導式の修練、体術の訓練をしている方が、よっぽど有意義だと思ったからだ」

 

 ――話してみると意外とお話しやすい方ですね。私の行為を強く咎めたりもされませんし。

 根暗王子の噂が本当なら、もっと早々に逃げ出すかと思ったのに。

 それに、言葉や雰囲気から聡明さを感じます。

 悪くない感じです。

 

 そうやって、視線を合わせてくれない殿下を観察する。

 私の思惑を知ってか知らずか、グラスを脇のテーブルに置き、殿下は腕を組んで、溜息をついた。

 

「それで。

 アルは婚約者を放って別の女と、この伯父上のパーティー会場に乗り込んできたと。

 婚約者のアンタはそれを黙認している。

 全く、国王と王妃候補が結婚前からこれでは困るな。

 仲睦まじくしてもらわないと、国民からの信頼が落ちるぞ」

 

 その言葉に、私は流石に驚いた。オズモンド様からも、殿下は国王の座を狙っていると聞いていたのに。

 

「殿下はアルベルト様が王位を継ぐとお考えなのですか?ご自分では無く」


「まだ父上は何も言わないがな。

 とはいえ、どれだけ僕が王位を望んでも、周りがそれを望まなければ意味がない。

 そして僕は、周囲の人間にそれを望んでもらうことができない。それだけの話だ」


 やや投げやりな態度に、なんとなく、私はイラッとしてしまう。

 

「なぜ、やりもしないうちから諦めるのですか。

 オズモンド様から聞いていますよ。人脈作りをしようとしないと。ご指摘は受けているでしょう」

 

「ああそうか。叔父上からそこだけ聞いているのだな。まあ、仕方ないか」


 私の咎めるような声に対し、殿下は諦観の言葉を投げた。


「それはどういう……」

 

 すると、殿下は長い前髪を掻き上げ、分厚いレンズの眼鏡を外し、こちらに目を向けた。

 

 テオドール様は眼鏡と長い前髪が特徴で、陰気臭く、根暗で、残念。

 アルベルト様は美しい金髪がサラサラとなびき、爽やかでカッコイイ。

 正直そういう話はよく聞いた。

 イケメンとしてアルベルト様は有名だったけれど、テオドール様は名前すら上がらなかった。

 

 けれど、

 

 眼鏡を外して見つめる瞳は翠玉色。でも、どこまでも無限に、万華鏡のように輝いていて、見た者を捉えて離さない。

 アルベルト様も綺麗な紅玉色の瞳だったけれど、テオドール様の瞳は、何物にも替えることのできない唯一無二のものだと思った。

 そして、眼鏡を外して見せてくれたその顔は、王とよく似た精悍な顔つき、キリッとした眉、すっと伸びる鼻筋。でありながらあどけなさを残す美少年の顔だった。


 ――そう、まさに美少年。

 

 私の中の何かが、心の中で弾けた。

 

 ――陰のある美少年!これが、お母様の言っていた、萌え!

 守ってあげたくなるような、でも、その実、ときめきポイントいっぱいあるタイプの、やる時はやる男の子!って感じです!

 なんだこれ、一目惚れですか。運命ですか。これがお母様の言っていた推しと言うやつですか!

 でも、瞳はこんなに美しいのに、クマが濃いですね。

 あぁ、けれど、そこがまたなんとも、憂いを帯びていて、なんというか、萌え!

 あぁ、でも、もうちょっと髪は整えたいですね。

 こうやって全身を観察させていただくと、衣装も体型に合っていません。

 王室の侍女は一体何をやっているのでしょうか。

 いや、彼のことだからきっと適当でいいとか言って、適当に選んでいるんじゃないでしょうか。

 これはいけません。私がなんとかしなければ。

 あと何ですか、あのメガネは。ダサ過ぎです。あれが全ての元凶じゃないですか。

 視力矯正の術式なんて病院にいくらでもあるでしょうに。こうなったら、私が病院に連れて行くしか。


 

「シンシア嬢?どうした?」

 

 気づくと、殿下が怪訝な顔で私を見ていた。

 

 ――妄想が一気に花開いて、固まっていたようです。

 

「コホン。失礼いたしました。眼鏡は無くても見えるのですか?」


「これは伊達眼鏡だからな」


「伊達……ですって。そんなダサい眼鏡が⁉︎」


「ダサいって……。そんなにダサいか」


 殿下はかなりショックを受けた様子だった。


 ――でも。大事なことだから敢えて言いましょう。

 

「はい、残念ながら」


「そうか……」

 

 気まずい沈黙が流れた。


「それで、眼鏡と人脈作りに何の関係が?」


「ああ、アンタ、今の自分の周囲を見た方が良い」


 言われて周囲を見回すと、ドレスがパキパキと凍っていた。

 よく周りを見れば、白い靄がかかって、当たりがじわじわと氷に閉ざされてしまいそうな雰囲気すらある。

 吐息もいつの間にか白い。

 

「これは」

 

 私の驚きの声に、殿下は眼鏡をかけ直し、髪を下ろした。


 ――あぁ、残念。ご尊顔を拝謁に預かるチャンスが。

 

 殿下が眼鏡をかけると、氷の侵食が止まった。

 

「見ての通り、僕の魔眼のせいだ。

 氷結眼というらしい。

 氷の魔導式の才能に秀でている者に稀に現れるんだそうだが、僕はこれを未だ制御できず、何人も殺しかけてる。

 今みたいに『見た』だけで対象が凍りつく。その氷結範囲は時間が経つほど広がっていく。

 眼鏡には魔眼の力をある程度抑制する魔導式を組み込んである。

 コレのお陰で無機物を無差別に凍らせることはないが、それでも眼鏡越しに生物を凝視すると、凍り始める」


 眼鏡に手を添えて、殿下は虚しそうに微笑んだ。

 

「人と顔を合わせられなくても、その程度の逆境で僕は王位を諦める必要はないと思っていた。

 それに、氷結眼だっていずれは制御できるようになると思っていた。

 だが、いつまで経っても制御できない。

 そしてそうやって人との関わりを避けていたら、王位からは結局どんどん遠ざかっている。

 今、この時にも。

 父上が王位継承者を指名しないのは、僕が氷結眼を制御できないからだ。

 制御して初めて、僕はアルと同じ立場で評価してもらえる。

 だが、いつまでも待ってくれる訳じゃない。

 僕は、もうきっと……」

 

「何を、弱気になっているのですか」

 

 お腹の底がぐるぐると熱を帯びているのが分かる。


 ――あぁ、いけない。魔力暴走の兆候だ。


 冷静で無くては、怒りは暴走につながる。でも、怒らずにはいられない。

 

「殿下のそんな悲しそうな目を見て、知っているから、陛下は、お父上は、まだ継承者を指名しないのでしょう?

 待っているのでしょう?あなたが、自分の力で問題を解決することを。

 だったら、一番最初に殿下が諦めてどうするのですか」


 私の、絞り出すような言葉に、殿下は苦しそうに吐き出した。

 

「諦めたいなんて、今だって、思ってない!

 だが、どうすることもできないんだ。

 血の滲むような努力なら、とうの昔から続けている。

 でもダメなんだ。

 どんな努力を続けても、僕は、誰かを傷つける」

 

 ずっと一人で戦ってきたのだろう。

 この秘密はおそらく、王家の中の一部の人間にしか知らされていないはずだ。

 でなれければ、四大公爵家の誰も知らないというハズが無い。だからこそ、ほぼ独学でここまで来たに違いない。

 とはいえ王家の情報収集力は国随一。

 大抵の情報は手に入るから、ここまで色々試してきているはず。

 だからこそ、殿下は絶望せずにはいられないのだ。

 

 ――そうか。ならまだ、希望はある。王家の知らない情報を私は知っている。


 そうやって落ち着いて、冷静さを取り戻す。


 ――ここからは交渉だ。

 

「王太子の指名は、恐らく殿下が成人なさる頃、つまり、今回の社交シーズンの終わりと予測しています。

 それまでに、殿下の魔眼を制御し、社交界にテオドール様ありと言わしめて見せましょう。

 王位はこれでテオドール様のものです」


 その提案に、当然、殿下は懐疑的な様子だ。

 

「は?僕がこれまでどれほど色々な方法を試してきたと思っている。

 そんな簡単に……」

 

「これだけはお約束します。

 黄金の女神と呼ばれた母をもつ私が、殿下の知らない、世に出ていない情報を持っていたとしても、おかしくはないでしょう?

 どうか、この国のために、前を向いてくださいませんか。

 必ず、殿下のその魔眼、制御してみせます」

 

 私の自信に満ちた顔を一瞬だけ見て、すぐに視線を外し、そして殿下は呆れたように笑った。

 

「黄金の女神。

 そうか。アンタの母君はそうだったな。

 わかった。その話に乗る」

 

 ――迅速果断。それでこそ王位を目指す者ですね。


「ただ、アルとアンタはまだ婚約者だろう。君はなぜ僕にそんな事を言う?

 アルが別の女と侍らせていることと関係があるのか?

 まさか乗り換えると?」


 私はその言葉にニヤリと笑った。


 ――計画通り。

 

「察しが良くて助かります」

 

 ――そう、これは乗り換えると言われてもしょうがない事。

 でも、アル様の浮気が発端なら、こちらにも十分に大義名分がある。

 それだけでは無い。

 

 察しが良いと言われて、若干引いている殿下に私は詰め寄って囁いた。

 

「テオドール様。

 私は、殿下のカッコよさに惚れてしまいました。

 どうか、私に殿下をプロデュースさせてください」

 

 囁かれた耳を真っ赤にして、殿下は数歩後ずさって、たじろぐ。


 ――たじろぐ殿下、とても可愛らしいです。プライスレス!


「プ、プロデュース?」


「はい、あなたのカッコよさ。世間に知らしめましょう!」


 ――そうして、私のプロデュース計画が始まったのでした。

できるだけ隔日連載の予定です。

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