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テーマなし詩集

空き缶

作者: 歌川 詩季

 いろいろけりながら、帰ってました。

 帰り道にみつけた空き缶をけっとばしながら

 ちっぽけなおれはまた 苛立ちをでかくする


 空き缶はいくらけっとばしても

 へこみひとつ つくらずに

 黒猫みたいなアスファルトを

 ぶち猫みたいな石ころ道を

 ころがっていく



 このやろう

 なんでおまえは からっぽのくせに

 へこみひとつ つくらねえんだって

 べこべこのつらして おれは

 けっとばす蹴り足にちからをこめる


 このやろう

 なんでおまえは

 まっすぐころがっていけもしないくせに

 おおきくへこんで

 ひんまがらずにいられるんだって

 まっすぐ くちもとをむすべないおれは

 けっとばす軸足を深くつきたてる



 それでも空き缶は

 おおきくへこんで ひんまがるどころか

 へこみひとつつくらねえで

 白猫みたいなコンクリートを

 三毛猫みたいな石畳を

 ころがっていく


 べこべこのつらしたおれには

 まっすぐむすべない くちもとをしたおれには

 そいつがどうにも気にくわねえんだ



 うすっぺらい外側が へこませてたまるかと

 必死にはりつめてやがるのか

 すかすかの内側を ぱんぱんにふくらませる

 なんかが ほんとはつまってやがるのか

 べこべこのつらで ゆがんだくちもとのおれには

 てんでわからねえが


 やっぱり 気にくわねえって 空き缶を

 もうひとつ おもいきりけっとばした

 石ころがいい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 昔はよく、足下の石を蹴飛ばして帰ってましたね~。 確かに、ちょっとした憂さ晴らし感はあった気がしますね。 切なげですが、雰囲気がなんだか好きです(^^)
[一言] 空き缶は友達! 缶蹴りは、立派なスポーツみたいだよ。 ドライブシュートだ! すみません、、。
[良い点]  >まっすぐむすべない くちもとをしたおれには  ランドセルを背負った小さな子どもが、泣きそうになるのを必死で我慢して、やるせない苛立ちを空き缶にぶつけている姿が浮かびました。 [一言]…
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