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思い出

作者: 綾瀬徹

 ここ最近、各地で公園の遊具が撤去されて俺が知る公園はなくなった。公園といえば、ジャングルジムに滑り台、ブランコ、雲梯、鉄棒と球体みたいなやつの中に入ってぐるぐる回るやつ、なんとあれの正式名称は"グローブジャングル"と言うらしい。


 現在、ジャングルジムは落ちたら危ないから撤去、滑り台も子供同士でぶつかったら危ないから撤去、ブランコと雲梯もそんな理由だ。全然、あるとこはあるけど、グローブジャングルは久しく見かけなくなった。まぁ、あれは死んでもおかしくない遊具だったから仕方ない。


 後は、公園の名物は酔っ払ったおじさんが木に喧嘩を売ったり、ベンチにずっと横に寝座っているおじさんや遊んでいる子供に説教する訳のわからないおじさんがいたなぁ。あの人達はいったい何処にいってしまったんだろ。まるで、あの人達が危険な人物達として勝手に判断して公園から追い出してしまった。今じゃあ、子供達もあまり外で遊ばなくなり活気がなくなり、殺風景になってしまった。


 俺がよく思い出すのは小学生の頃に部活帰りに通る道で駐車場のところに4人ぐらいのホームレスの人達が焚き火を囲んでお酒を飲みながら楽しそうに談笑していた。俺はいつもそこの道を通るから馴染みの顔になり、"坊主、これあげる"と言われ柑橘系の飲み物を貰った。それが、部活帰りのささやかな幸せだった。あの人達も町から見かけなくなった。どうしているんだろうと大人になってからも常に強く思い出す。


 そんな話を柑橘系の飲み物を口に流しながら、ベンチ前で横たわって亡くなっている猫に喋り続けていた。猫は苦しそうな顔をしていた。その顔を凝視していたら堪えていた涙が溢れ落ちる。


 俺は公園の草むらを掻き分けて、砂場の近くにあったおもちゃのスコップで土を掘り猫を埋めた。猫を埋めた土の上に柑橘系の飲み物を置いて手を合わせて猫のために祈った。俺は公園を出て、帰路に就く。


 今日は一日、どうにか生きれた。

読了ありがとうございます!


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