雪だるま作ろう?
男の子と女の子が山で雪だるまを作っている。
「どっちの方が大きいの作れるか競争なー!」
「負けないもん!」
楽しそうに雪玉を転がす2人。
「へっへーん!
俺の勝ちぃ!」
「むぅー!」
大きな雪だるまを作った男の子が勝ち誇り、女の子は悔しくてむくれた。
「やべっ!
帰らなきゃ!」
「……そうだね」
「またな!」
「……またね」
女の子はぽつんと佇みながら、寂しそうに手を振った。
山の外に雪が降っていないことに男の子は気付かなかった。
またある日。
「……俺、転校するから、もうここには来られなくなったんだ」
「えっ!」
「でも、絶対また来るから!
そしたら、また遊ぼうぜ!」
「……ねえ」
「うん?」
「約束して?
また私と遊んでくれることと、私のことを絶対に誰にも話さないことを」
「ああ、約束する」
「……約束だよ?」
最後の女の子の顔が怖くて男の子はその約束を少し後悔した。
10年後。
青年になった男の子は約束のために再び山を訪れた。
「……来てくれたんだ」
「えっ!?
なんで、年をとってないんだ……」
女の子は、かつての姿のままだった。
今日も、この山にだけ雪が降る。
「……約束、守ってくれなかったのね」
「な、なんで……」
青年はかつて一度だけ、女の子のことを友人に話していた。
しかし、その友人は話をした翌日に凍死してしまったため、その話を知っている人はいるはずがなかった。
「約束を守ってくれなかったから、私が殺したの」
「そ、そんな……」
青年は逃げようとしたが、足と地面が凍っていて動けなかった。
女の子が手をかざす。
「また遊ぼうよ。
どっちが大きな雪だるまを作れるか競争ね」
「えっ!待って!」
青年の返事を待たずに、女の子は手のひらから吹雪を吹かせた。
「ひっ、うわぁーー!」
青年は必死で逃げようとするが、雪は彼にどんどん積もっていった。
そして、女の子の前には、1つの大きな雪だるまが出来たのだった。
「やった!
私の勝ち!」
女の子は嬉しそうに飛び跳ねた。
「次はちゃんと約束守ってくれる子がいーな~」
そして、女の子は雪とともに姿を消した。
その山にまた1人、小さな男の子が探検に来る。
「ねえ。
私と一緒に遊ぼうよ」