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ーーキーンコーンカーンコーン。


ふわぁ……学校終わったぁ……

私は真上に腕を伸ばすと、ぐでぇと伸びをするように机の上に脱力した。

ニートだった私にとって1日の授業は苦痛以外の何ものでもない。もはや拷問だった。それに国語、数学、理科、社会、英語とかだったらそれなりに理解はできるけど国の政治とかそういうのばっかで1ミリも理解できなかった。

まぁ、この学校はそこそこ身分が高い人か優秀な人で集められてるからねぇ。ニートで一般人の私には場違いもいい所だよ。

そんな授業についていくのが必死すぎてエレンさんの行動とかもチェックしようと思ったけど満足に出来なかった。

ただ、得ることができた唯一の情報はもう既にエレン信者が沢山いること。

男女問わずみんなエレンさんの周りを囲っていてThe・主人公的ポジションだった。というよりも、彼女自身が有名人なのかみんな初めからエレンさんの事を知っていたような感じもする……は、たぶん私の迷推理だと思うから変に考察するのはやめとこ。

それよりも、愛され主人公いいなぁ。優しくて笑顔でみんなから好かれてて私もあんな風になりたいなぁ。でも、気を使わないといけなさそうだから面倒くさそうだなぁ。

そんな事を考えながら眠気に抗えず目を閉じると頭の上を軽く誰かに叩かれた。

私は目を開きおもむろにその方向を見ると、レオ様が立っている。


「あれ? どうされました?」

「帰るぞ」

そう言って、さり気なく私の荷物を持って歩き出した。

い、いや、優男かよ! 優男かよ! 大事なことだったので2回言いました!


「私が持ちますよ!!」

「いい。俺が持つ」

レオ様はそう言ってくれたためお言葉に甘えることにした。

廊下を歩いている中、ふと思い出したようにレオ様が口を開いた。


「そういえば、最近俺の事よく叱るな」


その一言にギョッとして私は目を泳がせながらもじもじと手を遊ばせた。

やばい。叱りすぎた? 調子に乗ってるって思われた? 殺されないかな!?


「あ、いや……それはレオ様が嫌われないように……というか……皆さんにレオ様の良さをわかっていただけたらというか……」


刺激させないようにともごもごと言い訳を言っているとレオ様はぷっと吹き出した。


「俺はちょっとだけ嬉しかったぜ。小等部の頃に戻った気がして」

「え、どういう……」


「アンナ様〜」


レオ様の意味深な言葉に聞き返そうとすると、それを遮るように名前を呼ばれ背後から強い力で抱きしめられた。


ちょっ!? 誰!?


視界の端に映ったレオ様は口をパクパクさせて酷く動揺してる様子が伺える。


「なんですか!? 離してください!」


私が身をよじると呆気なく手は離れ、すぐさま後ろの人物を見た。

私を抱きしめてたのはノア様でニコニコしながら「アンナ様を見つけてつい」と言った。

ま、まぁ、親戚の男の子によく抱きつかれてたから私は別に気にしないけど……気にしてる人が1名いるから……気にしないと……なのかな?

私はチラッとレオ様を見ると毛を逆立てて怒りのオーラが全開だった。

今に髪の毛が金髪になるんじゃない? ってくらいすごいオーラ。


「……てんめぇ……」


獣のように目が爛々としてるレオ様に対し、ノア様は依然として笑顔を崩さない。

そんなノア様に更に苛立ちを覚えたのかレオ様がノア様を指さし声を張り上げた。


「ノア! お前、ふざけんなよ! ぶっ……」


まで言うと、私の方をチラッと見て咳払いをした。

お? も、もしかして……今、ぶっ殺すっていうのを我慢した?


「帰るぞ。アンナ」


そうして、レオ様に手を引かれノア様を残したまま私達は校舎を出た。


しばらく歩いて私はノア様に対する暴言を我慢したのか気になったために聞いてみた。


「レオ様、もしかして暴言を我慢しました?」

「おう。俺は大人だからな。アンナに叱られたくないし」

「偉い! 偉いです! レオ様!」

親バカのように褒めたたえ私がレオ様の頭をわしゃわしゃと撫でるとレオ様は照れたよに頬をかいてはにかんだ。

「だろ?」


その表情に思わず心臓が大きく跳ねる。

心臓がめっちゃドックンドックンいってるんだけど……レオ様のはにかみ、破壊力ぱねぇ。

それと、これで少しは更生できたかな? よぉし、この調子で頑張るぞ!


レオ様の更生に1歩前進した嬉しさのあまり、レオ様が言った意味深な言葉について聞くのを忘れてしまったのだった。

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