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校舎内に入り、レオ様と別れると私は誰とも話すことなく自分の教室に入った。

転生する前のアンナの記憶がほとんどないため自分の教室の場所は愚か、クラスメイトの名前すら覚えてない。

それでも唯一救われたのはゲームのストーリーに主人公とアンナのクラスが出てきたためそれを私の小さな脳みそが覚えていてくれたのがまだよかった。

そのおかげで私は間違えて他クラスに入ることもせずに多少は探したものの自分のクラスに着くことが出来た。

まぁ、その間も私やレオ様の悪口をたくさん聞いて私のライフはもうゼロだけど。


レオ様とはクラスが別で教室に入っても独り。

よくある席がないとか、席のところに落書きされてるとかそういういじめはないけど話しかけてくれる人もいない。いわば空気のような扱い。現代の日本でもこの手のいじめもあるが、プライドの高いアンナはいじめられてるんじゃなくて自分自身が友達なんていりませんよという態度で過ごしてるんだろうなと容易く想像出来る。

陰キャの私はこういうのは現世でもあって慣れてるから平気だけど。

私は頬杖を着いて窓の外をボーッと眺めながらチャイムが鳴るのを待った。


しばらくすると軽快なチャイムが鳴り、男の先生が入ってくる。

あー、あの人ゲームの案内人キャラでいたなぁ。

フルネームはわからないけど、確かアロイス先生だっけ。


アロイス先生は教卓の前に立つとまだザワついているクラスを静かにさせようと1度手を鳴らした。


「それじゃあ、春休みを明けてさっそくだけど、今から転校生を紹介するよ~」


あ、春休み明けなんだ。まぁ、そうだよね。そうじゃなきゃ、1週間も引き込もれないもんね。

そんな呑気なことを考えている中、みんなは転校生というワードにまたザワつきはじめる。

どこの世界に来ても転校生って特別感あるよね。わかるわかる。

誰が来るかなんてある程度は想像できちゃうけどさ。


アロイス先生が廊下にいるであろう転校生を促すと、転校生は軽い足音を立てながら入ってきた。

胸元まで伸びた綺麗な金髪と空のような青く澄んだ瞳。そして、全身から滲み出る優しい人オーラに誰もが息を飲むほどの美人。

そう。彼女こそ、このゲームの主人公。エレン・アンリ。

貧乏の家庭の生まれだが、両親が彼女を学校に行かせようと頑張って働き、ある程度学費が貯まったためこの学校に行けることになった。それで、人柄の良さから王子に気に入られ次期王妃となるというまさにシンデレラガール。


「エレン・アンリです。よろしくお願いします」


軽くペコっと一礼し、顔を上げると愛嬌のある笑顔を全体に向けた。

女の私から見ても本気で可愛いと思えるくらい可愛い。

エレンさんの自己紹介が終わるとパチパチとまばらな拍手がおこり、いつの間にか拍手喝采に変わっていた。

ただ名前とナイストゥーミートゥーみたいな事を言っただけでクラスをこんなに盛り上げるなんて……流石は愛され主人公ポジ。


ゲーム通りだと彼女は近いうちにレオ様かノア様と対面するはず……レオ様のルートしかやった事ないからわからないけど、ノア様のルートもそうでしょ。たぶん。

王子達と彼女の対面で私の命のタイムリミットが始まる。その前にどうにかしないと。


私とは正反対の好かれやすそうな雰囲気や、既に得ている周りからの暖かい視線。

今彼女がスタート地点に立っているとしたら私はかなり後ろの方にいる。


そんな彼女に私は勝てるだろうか?


い、いや……大丈夫……私なら大丈夫。初めから弱気になってどうする。

私は転生してから何も悪いことをやってない。ここからもっと周りに気遣える人間になっていけば殺される理由はない。


やってやろうじゃないの! 悪役上等! 地獄の底から這い上がってやる!!

それと、勝手に敵扱いしてごめんね! エレンさん!

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