4
まず初めにした事は書庫に行き資料集め。
自分の経歴とかここの歴史とかも気になるところだけど、バカな私は考える前に頭がストライキ起こすから一旦考えないようにしといて、とりあえずあれを探さないと。
私の性格なら1冊くらいそういう本が置いてあるはず……
「んしょ……ここの本棚高いってぇ……」
小さい土台に乗って必死に手を伸ばす。
本棚が高すぎて上の方は土台の上から更に背伸びをしないと届かないレベル。いや、背伸びしてもギリギリ。
「あ、あった!」
がんがらがっしゃーん。
「お嬢様!?」
お目当ての本を手に入れた瞬間バランスを崩し土台から落ちてしまった。
その勢いで本棚に頭をぶつけいくつかの本がバサバサと頭の上に落ちてくる。
おいおいおいおい。ただでさえ頭が悪いのに、更に頭が悪くなっちゃうよ? 階段から落ちて少なくともIQが3くらいは下がったからね? ちなみに元はIQ5。
マリンが焦った面持ちで私の前をウロウロしている。
そりゃそうだ。このアンナも昨日階段から落ちてバタンキューってなってたんだ。次は土台から落ちて本棚に頭をぶつけるなんて私がマリンの立場でも同じように慌てふためくと思う。
「大丈夫、大丈夫だから。一旦落ち着こ?」
「で、ですが!」
「私ってかなりタフだからほんと平気っ」
私は奇跡的に頭の上に乗った本を手に取ると1枚の紙がパサッと落ちてきた。
なにこれ?
私がその紙を広げるとマリンも不思議そうに紙を覗き込んできた。
紙の内容は……
『なんでそんなに私を嫌うの?
マイナスからスタートだから苦労するのは知ってた。
だけど、頑張ってれば上手くいくと思ってた。私ならレオだけじゃなくて自分自身も救えるかと思ってた。
だけど、誰も私を信用してくれない。
前はみんなを困らせる事をしてたかもしれないけど、もう悪いことなんて何もやってない。なのに悪い噂ばかりが増えていく。私が信用できる人はもうレオしかいない。そのレオもーー』
な、なにこれ?(本日2度目)
紙は殴り書きのような字でそのような事が綴られていて、泣きながら書いたのか所々涙の後が残ってる。
「お嬢様……それは……」
マリンは誰が書いたのかわかったらしく上目遣いで気まずそうに見てくる。
そのおかげで何となく察することは出来た。
これって、私が書いたの?
もしかして、本当の悪は他にいる?
なにこのバトル漫画的展開は。ラスボス出てきちゃう系?
じゃなくて! この紙を見る限りだとまだ続きがありそう。下の部分を誰かに破られた痕跡がある。自分で破りとった可能性もあるだろうけど、そしたら、なんのために? アンナの記憶が何も無いから思い出せない。
無いものを思い出すのは不可能だと思い、私は服に着いたホコリを払って立ち上がった。
気まずそうに私を見てるマリンに向かってニッと微笑んだ。
「とりあえず、この部屋を片付けよ!」
「い、いえ! 私がやっておきます!」
「ううん。私が落ちて招いた事だから私がやる!」
そう言って、私はさっさと部屋の本を片付けた。そして、マリンも手伝ってくれてあっという間に部屋の掃除が終わった。
それから、私達は目的の本と謎の紙を持って自分の部屋へと戻っていった。
ちなみに、目的の本は『子供をあやす方法』ってやつ。
いやぁ、やっぱわがままの子供を持つと買うんだね。そういうの。うん。
……私の本当の親も買ってたらどうしよ。