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私達は必死にエレンさんに私がアンナということを説明するとエレンさんは「そうでしたか!」と言ってどうにか納得してくれた。

よ、よかったぁ……変な誤解が生まれなくて……

レオも相当焦ったのか尋常ではない汗をかいていて、袖で拭っている。

それはもう足元に小さな水溜まりが出来るくらい。


「ところでレオ様、今からノア様の所に行こうと思うのですがご一緒にどうですか?」

天然なのかそれとも計算してやってるのかわからないが、堂々と婚約者の前で誘うエレンさんに不安と苛立ちを煽られた。

やんなっちゃうなぁ……これじゃあ、いつか重たい女は嫌いだって言われちゃうよ……

束縛じみた考えしか出来ない自分に嫌気がさし、特に口を挟まずレオの返事を待った。

少女漫画を恋愛の教科書にしていた私はレオが少女漫画のヒーローみたいに断ってくれるかもしれないと心のどこかで期待していた。

まぁ、私の方が悪役だからエレンさんを優先されるのがシナリオなんだけどさ……


「ーー俺はアンナがどうしても一緒にいたいって言うから、1人で行ってくれねぇか?」


レオはイタズラをした少年のような笑みをみせてそう言うとエレンさんは驚いた表情を浮かべ「そう……ですか」と歯切れ悪く呟いた。

え……これって、もしかしてシナリオが変わりそう……?

一寸の希望が舞い降り、興奮で胸が高鳴った。

まだゲームでは序盤の方。それでも、いい方向へと変化があるのは嬉しい。

このままいけば破滅もふせげるかも!


「それでは、私はこれで」


意外とあっさりとしてるエレンさんは一礼して私の横を通り過ぎようとした。


その時ーー。


「……今度のアンナは厄介ね……」

「え……?」

空耳なのかもしくはエレンさんが呟いたのかそんな微妙な感じの声が聞こえエレンさんの方を向いたが、一度もこちらを向くことなく体育館の方へと行ってしまった。

今度のアンナ……? なに? 私っていっぱいいるの? いや、いっぱいだったら“今度”じゃなくて“この”っていうよね?

てことは? うーん……頭が考えることを拒否してる……


不吉な予感がするが、確信が持てるわけでもない。もしかしたら、私が敵視しすぎてエレンさんを本当の悪者にしようと無意識にしてるかもしれない。

やめよう。そういうのは人間としてよくない。


「アンナ、そろそろ戻ろうぜ」

「あ、うん」


レオに促され、私は考えるのをやめてレオと足並みを揃えて体育館の方へと向かった。


「そういえば、私はレオと一緒にいたいなんて一言も言ってないよ?」

「言ってたよ。心の中で」

「いや、全然全く」

ドヤ顔のレオに向かって、私は首と手を勢いよく横に振った。

これはただの照れ隠し。本当は一緒に居たいと思った。だけど、あんな風にエレンさんに言われると私ばっかり好きみたいでなんかやだ……


「いいよ。そんなこと言うなら俺今すぐにでもエレンの所に行くし」

拗ねモードに入ったレオが足早に体育館に向かうため私は慌てて腕を掴んで制止させた。


「ごめんごめん! 冗談だから! 一緒にいたいから!」

「初めからそうやって素直になれ」

「……とかいって、レオも私と一緒にいたかった……とか……?」

何となくやり返したくなって殺されない程度に控えめに聞くと、レオは表情を変えずに顔だけ紅潮させていった。


「わ、わりぃか!」

「ふはっ」


嘘が付けず認めてしまうレオが可愛くて愛おしくて思わず吹き出してしまった。


「おまっ! 笑うな!」

「ははっ! かっわい〜っ」

バカップルみたいな会話。

ストーリーを知ってる私からしたらこんな会話ができてるのは奇跡に近い。

もう、今は嬉しすぎて表情筋が緩みっぱなしだ。


だけど、問題はこっからだ。

いつまでこうやって呑気に笑ってられるかわからない。破滅を防ぐ1歩は進めたけど完全に安心出来る未来までは何百歩、何千歩と険しい道が続いているはず。

ま、それなら笑えるうちにたくさん笑っとこうぜベイベー!


そんなこんなで無事に交流祭が終わったが、ちょっとの間一部の腐女子からレオとアロルドのカップリングが推されたんだとか。

他の人にも見られてたんだね。ごめんね。2人共。

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