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「アンナ。どういうつもりだ?」

私は今、レオ様に連れられて体育館裏に来ている。場所だけでみたら告白前の男女と言ったところだが、総合してみたら喧嘩ふっかけられたヤンキーみたい。

これからボコされるんじゃないの……?

なんていうふざけた思考ができるからまだ少しは余裕があるのかもしれない。それか、恐怖と焦りで本格的に頭がイカれてきてるかも。


「ぼ……ボクはアロルドで……あ、アンナ……ではありません……」

「この俺に嘘が通用するとでも?」

「しないですよね! 知ってます! ごめんなさい!」

さすがはレオ様。だてに小等部の頃から婚約しているわけではない。そのため嘘が一切通用しない。

もう私には為す術がない。やばい。


レオ様は額に手を当て「はぁ……」とため息をついた。


「俺はお前の事を思って来るなと言ったんだ。お前を傷つけたくないから」


……傷つけたくない……?


その言葉に何か引っかかるものを覚えた。

やっぱり頭がイカレてるのか、いい意味で引っかかった訳ではなく悪い意味で。

感情的になってはダメ。レオ様は本気で私を心配してくれたんだよ。そうだよ。

だって、ゲームでも交流祭行ってアンナハブられてたし、ね? それを事前に勘づいてたんだよ。だから、レオ様は来させないよにしてたんだ。

そう自分に言い聞かせるも、胸の内のモヤモヤが晴れない。


「ーーエレンも言ってたぞ。お前が心配だって」

「エレン……さん……?」


その名前を聞いた途端、会場での2人の様子がフラッシュバックして抑えていた感情が一気に爆発しそうになった。

フツフツと怒りが湧いてきて今にも怒鳴り散らしてしまいそう。

なんで今、エレンさんの名前が出るの?

なんでエレンさんと一緒にいたの?


……もう、いいや。言った方がスッキリするでしょ。


「ふざけないで……」


地の底からわきあがるような低い声にレオ様は更に表情を険しくさせた。


「心配心配って、私の気持ちも少しは考えてよ! バカ! エレンさんと居たくて私が邪魔だったんでしょ!」


語彙力のない怒り。いや、嫉妬といったほうが正しいのかもしれない。

レオ様は私じゃないから私の今の焦燥や状況、気持ちなんてわからないのに、理不尽極まりない。でも、ごめんなさい。この気持ちをぶつけない事も上手く言葉にする事も出来ないの。

レオ様は初めこそは険しい顔をしていが、私の怒涛な勢いに目を見開き困惑の色を見せてる。


あれだけレオ様は私を助けてくれたのに、本気で心配してくれたのに……


……そっか、アンナも今の私と同じ状況だったんだ。それでこの後レオ様と仲違いしてエレンさんとレオ様が仲良くなったんだ……


そんなの、自業自得じゃん。


怒りをぶつけたら頭がだんだんと整理されていき、今自分が自分自身の首を絞めてることに気がついた。

……今ならまだ引き返せる……っ。

 

「レオ様……っ! あの……」

「アンナ」


私が口を開くと遮るようにレオ様が口を開いた。

私は怒られることを覚悟して唇を強く噛み俯いた。


「アンナ……その……それは、嫉妬ってやつか……?」


たどたどしく予想外の指摘をされ、思わず顔を上げた。

レオ様は顔を仄かに赤くして嬉しそうな不安そうな変な表情をしている。


「な、なんでわかったのですか!?」

私の性格上嘘が下手であまりつけないためついつい馬鹿正直に言ってしまった。

「いや、あくまで俺の予想だったんだが…………お前……ほんと可愛すぎだろ」

心底幸せそうな笑みを見せられ心臓がキュッと締め付けられた。


「レオ様……その……ごめんなさい。八つ当たりして……」

「レオでいい」

「へ?」

「記憶をなくす前のお前は俺をレオと呼んでた。だから、レオでいい。敬語もやめろ」

「は、はい……じゃなくて、うん!」

レオ様……いや、レオは私の頭を撫で頬にそっと手を添えた。

そして、顔が近づき雰囲気に身を任せて目を閉じると唇にレオの唇が触れた。

レオの唇が離れてから再び目を開けるとレオがまた私の頭を優しく撫でた。

さっきまであんなに怒ってたのに私の気持ちは幸せで満たされていた。


「ーーレオ様? 何をされてるのですか?」


不意に少女の声がして声の方向を向くとエレンさんが真っ青な顔をして立っていた。


え、エレンさん……


「レオ様って、そういうご趣味をお持ちで?」


震える声でエレンさんが言い、訳がわからず私はなんとなく自分の格好を見てみた。

あ、そういえば、私男装してたっけ。レオ以外私がアンナだって気づかれなかった。当然エレンさんも気づいてないのだろう。

レオも察したらしくエレンさんのように顔が真っ青になっていった。


いやぁ、なんかごめん。レオ。

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