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つ、ついに到着した……決戦の地に!
なんてラスボス前の勇者のような気持ちで立ちはだかるが目の前に聳え立つのは何の変哲もない学校。
後ろでは無垢な街の子供達がキャッキャッと走り回ってる。
私は緊張のあまり生唾をゴクッと飲み込んだ。
レオ様がエレンさんといい感じになってたら……どうしよ……
そんな私の心配とは裏腹に校舎の外にまで楽しそうな音楽や声が聞こえ、顔見知りも知らない人も校庭を歩いてたりしている。
すご……校門を境に全くの別世界みたい……
とにかく、いつ身バレするかわからないからひっそりと目立たないように会場に入って、目立たないようにストーカ……じゃなくてレオ様を見守ろう……
そうフラグを立てながらも別世界へと足を踏み入れた。
その時。
「ーーきゃー! アロルドだ!」
「ーーほんとだ!」
「ーー今日来ないと思ってた!」
綺麗にフラグを回収するかの如く、さっそく何人かの女の子に囲まれた。
さっそく目立ってるし! なに!? アロルドってモテるの!? 私とおんなじ顔のくせに!
「あ、あはは。ちょっと行きたくなって」
私はアロルドを真似てなるべく声を低くして苦笑をうかべた。
バレるか……? さすがにこの声だとバレたか……?
引きつった笑みを保ちつつも頭の中はムンクの叫びのような顔をしてひたすら叫んでる。
だって怖いじゃん! バレたら何言われるかわかんないじゃん! 私だよ? 嫌われ者の私だよ!?
「なーんだ! そういう事ね!」
「でも、よかったぁ。来てくれて!」
……およ?
意外にもバレてなさそうでこれだったらどうにか乗り切れそう。
だけど、この場で足止めくらってる場合じゃないから一旦逃げさせてもらおう。
「君達と話したいのもやまやまなんだけど、ちょっと用事思い出したからまた後で」
バレないとわかり、調子に乗った私はよく少女漫画で見る爽やか男子高校生をイメージして彼女達に告げると彼女達はポーっと頬を染めて手を振ってくれた。
さすが私。これでアロルド、明日っからさらにモテるだろうなぁ。
それから私は体育館という名の交流祭の会場に入り、レオ様を探し回った。
人が多くて見つけられないかと思ったが、案外すんなりと見つけられた。
だってーー。
レオ様とエレンさんは既に一緒にいたから。
第1王子であるレオ様とみんなから既に好かれてるエレンさん。注目を集めないわけがなく、今まさにレオ様達の行動をみんながパパラッチのように目で追っていた。
……ま、まずい……これは非常にまずい……
前テレビで旦那が浮気して、奥さんが浮気現場に乗り込んだっていうのやってたけどその気持ち今ならわかるわ。
乗り込んでめちゃくちゃにしてやりたい。
だって、嫌われ者の私にはレオ様しかいないから取られてしまったら何も無くなっちゃう……て、あれ? これ……だんだんとアンナの思考になってきてない?
ダメだよ! 私! これじゃあ、ゲームと同じシナリオをたどっちゃう。
私は首を大きく横に振って負の感情を払った。
そのおかげが少しだけ冷静さが戻ってきた気がする。
冷静でいられるうちに状況を整理しとこう。
今、エレンさんはレオ様といる。つまり、レオ様ルートになったということ。
アンナの立場で言うと精神的に苦しいルートだよね。
だからといって今この場で何か出来る訳でもない。でも、本当に見守ることしか出来ないのか。このままだとゲーム通りになるのに本当に私は動かなくていいの?
私が考えながらずっとレオ様達を見てるとレオ様と目が合った。
あ、やば。見すぎてた。
慌てて目を逸らし人混みに紛れていなくなろうとしたが、かなり速いスピードでレオ様が近づいてこられ、後ろから腕を掴まれた。
わぁ! 私ストーカーの才能ないね! ということは、犯罪者になる素質がない! いい事だ!
「なんで来た……」
わかりやすく怒りを含んだ低い声で言われ背筋に寒気が走る。
「な、なんでしょう?」
前を向いたままアロルドの声真似でとぼけると、レオ様は私の腕を引っ張った。
思わずレオ様の方を見るといつもよりも数倍顔が険しくなっている。
そんなに眉間にシワ寄せてるとハゲるぞっ☆
なんて空気を読まないで言えたらどれほどこの雰囲気を和らげることが出来ただろうか?
生憎私にはそんな生死を賭けた博打をする度胸はない。
そのため、ひたすら眉間を見つめ暑くもないのに汗が頬に伝っているのを感じ取ることしか出来なかった。
「来い。話がある」
「は……はい……」
まるで別れ話を切り出される直前のような雰囲気のためほぼ放心状態でレオ様の後について行った。
……お、終わった……もう、終わった……




