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交流祭当日。
私は、家の中をマリンを連れて徘徊していた。
焦り、困惑、被害妄想がごちゃ混ぜになって遊び盛りの園児のようにじっとしてられない。
ど、どどどどうしよう……
エレンさんの動きも見たいし、行くべき? でも、レオ様に来るなって言われたんだよね? 直接聞いてはないけど。もしかして、私もう婚約破棄されるの? それで処刑? 国外追放!?
い、いやいやいや! いくらなんでも早すぎる!
「ま、まりーん! どうしよー! 私死にたくないよー!!」
「大袈裟すぎませんか!?」
私の救いを求める声にマリンは目を丸くして驚いた。
彼女からしたら私の悪い冗談だと思ってるだろうが、割と本気のSOSだ。
「しかし、レオ様からの申し出なので下手に私もお連れできませんですし。私もまだ死にたくはないです」
マリンも私を真似て冗談ぽく言うが、レオ様の事だ。この冗談も現実になってしまうかもしれない。
「でも……ここに居たら2つ意味でのバッドエンドを迎えそうだよ……」
1つは悪役令嬢目線でストーリー上のバッドエンドでもう1つはレオ様をエレンさんに取られてしまうという私情でのバッドエンド。
私達は為す術もなく唸っていると、後ろからコツコツっと足音が聞こえてきた。
「ーーあれ? アンナ様、交流祭に行ってないのですか?」
そんな声が聞こえ後ろを振り向くとまるで鏡を見てるかのような私と瓜二つの少年が立っていた。
彼はここの使用人で名前はアロルド。初めて見た時は双子とさえ思ったほどそっくりな人物。
黒い瞳にセミロングの黒髪をひとつに束ねてて、それで背丈が私と一緒で、年齢は私と同い年。
「ちょっと色々とあってね。それより、アロルドも行かないの? この交流祭って私の通ってる学校の系列が全て集まる大規模のものだよね?」
「はい。ボクはそういうのはあまり興味がないので」
アロルドは苦笑を浮かべ頬をかいた。
アロルドの通ってる学校はさっきも言った通り私の通ってる学校と同じ系列の学校だ。同じ系列の学校は複数個あって私の通ってるところが上級クラス、言わゆる金持ち達が通う学校らしい。
アロルドは中級クラス。中級クラスは複数の校舎があり、彼は中でも頭のいい所に通ってるって。
その他にも小等部や中等部、高等部と分かれているがどの校舎もエスカレーター式のため学校の人達の顔ぶれはほとんど変わらない。
アロルドが交流祭に行くなら様子を見てきて欲しかったんだけどな……アロルドが行けないとなると……他の人って言っても話せる人で学校通ってるのアロルド以外いないしなぁ……
狐に化ける術でも教えて貰って他人になれれば楽なのに……
私はチラッとアロルドを見てまたうーんと唸った。
うっ。まぶし……
空っぽの頭をフル回転させて考えていると不意に陽の光が近くにあった鏡と反射して眩しさで目を細めた。
人が真剣に考えてる時に邪魔しないでよね。
そんな事を思って鏡を見ると当然ながら私とアロルドとマリンが映ってた。
……本当に私とアロルドって似てるなぁ……
…………ん? 似てる?
私はパッとアロルドを見てまた鏡を見た。
そしてふと、ひとつの案が舞い降りてきた。
そうか。狐に変化の術を教わらなくても、私なら出来るかもしれないんだ。化けることが。
私はアロルドの手を取って勢いよく深々とお辞儀した。
「お願いします! 服を貸してください!」
「ん? え? な、なぜです?」
「アロルドのフリをして交流祭に行きたいのです! お願いします! お願いします!」
私が何度も何度もお願いすると、初めは困惑していたアロルドも真剣に考え「顔を上げてください」と言った。
「理由はわかりませんが、お嬢様が仰るならボクは断りませんよ」
「じゃあ!」
「はい。ボクのなんかで良ければお貸し致します」
「ありがと! ありがとうございます!」
私はアロルドにお礼を言い、マリンの方を見ると困ったような焦ってるような顔をしたがすぐに「行ってらっしゃい」とはにかんで言ってくれた。
なに、ここの使用人の器東京ドーム3個分くらいあるでしょ。優しすぎでしょ。ちなみに東京ドーム1個分の大きさがどれくらいかは知らないけど。




