「はぁ……なんでこうなっちゃったんだろ……」
私は立花杏奈。18歳。大学に行っていれば大学1年生。
だけど、今はこの歳でニートをやっています。
本当は志望していた大学には合格しているため、今頃華の大学ライフを送っていたはずだった。だが、父が事故死して、高校時代ずっと働いていたバイトも潰れ、金銭面で苦しくなったため、就職せざるを得なくなった。
だけど、就職先はなかなか決まらずにこうしてニートをやっている。
私は就活しつつもどうしても暇を持て余していたため、最近やり出した乙女ゲームをひたすら攻略していた。
そういう類のゲームはやった事がなかったが、案外やって見ると楽しいものでかなりハマっている。
絵も綺麗だし、ストーリーも普通に面白いし飽きない。
「杏奈ーっ! 買い物行ってきてー!」
「なんでよー!」
下から母の声がして、私はぶっきらぼうに聞き返す。
「だって、どうせ暇でしょー!」
うっ……それを言われちゃ言い返す言葉がない。
「わかったよ!!」
あー、面倒臭い……
ニートになってしまってからは私の行動範囲はこの家の中で制限されている。そのため、外に出るなんて何週間ぶりだろうレベルで出ていない。
私は軽く身支度を終え、パソコンでやっていたゲームを閉じると重たい足取りで部屋から出た。
そして、階段から下に降りようとした。
その時ーー。
……え?
身体がゆっくり空中に浮いたかと思ったら、物凄いスピードで急降下していく。
嘘っ! 階段踏み外した!?
「きゃあああああああああ!!」
劈く悲鳴が家の中に響き、母親が大声でなにか叫びながら駆け寄ってくるのがわかる。
何を言ってるかわからないが、私の名前を何度も何度も連呼している事だけはわかる。
身体を動かそうとしても指1本も動かない。目も開かない。音もだんだんと遠くなっていく。
私、死ぬのかな?
不思議と死ぬのは怖くなかった。
ただ、大好きな母をこんな事で悲しませてるのが辛かった。
ごめんね。親不孝な娘で。
こうして、そのまま私は意識を失った。
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