表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大切な幼馴染と聖女を寝取られた少年、地獄の底で最強の《侍》と出会う  作者: 剣竜
第四章 治水の街の解放

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/101

第五十三話 目指せ治水の街 クレストコール

 治水の街『クレストコ―ル』。

 最強の藩将と呼ばれる男アレックス・サンダーが治める街だ。

 次なる目的地をめざし、進むコロナ一行。

 コロナ、カケスギ、レービュ、ソミィ…

 奪われた剣と刀。

 そして行方不明となったルーメを探すために。

 しかし…


「なんでお前たちもついて来てるんだ?」


「どうせもう村にはいられませんし…」


「ついでだよ、ついで!」


 偽勇者パーティの二人。

 偽ミーフィアのマリスと。

 そして偽キルヴァを名乗っていた少年ケニーもついてきたのだ。

 偽勇者であることはフェイケスの村ではばれたわけでは無い。

 しかしあのまま居続けることもできない。


「他に行く場所も無いですから」


「強いヤツと一緒にいたほうが安心できるからね」


 なかなか強かな二人だ。

 そう思うコロナ。

 伊達に偽勇者を名乗っていたわけでは無い、ということか。


「まぁ、いいんじゃないかコロナ」


「足手まといになったら捨てるぞ」


 そう言うレービュとカケスギ。

 一緒にいる分には問題は無い、ということか。

 クレストコールへと続く道を進む一行。

 フェイケスからは結構距離があるらしく、しばらく時間がかかるそうだ。

 しかし、厳しい山越えが無いだけありがたいと思うべきかもしれない。

 大きな道も無く、森の中の細い道を通っている。


「ん?」


 ふとコロナは妙な気配を感じた。

 周囲の森の木の発葉が不自然な動きをした気がした。

 それと共に何かが動いたような気が。

 いや、単なる気のせいかもしれない。


「…気づいたか、コロナ」


「ああ、『いる』な」


 周囲に広がる奇妙な気配。

 魔物では無い。

 この辺りを根城にするならず者だろうか。

 旅人をカモにする盗賊の類か…


「どうしたんですかコロナさん」


「兄ちゃんたちどうしたんだよ…」


「マリス、ケニー…」


「え?」


「なんだよ」


「二人とも、ソミィを連れて少し離れていてくれ!物陰に!」


 そう言って辺りをゆっくり見まわすコロナ。

 辺りを軽く見まわし、臨戦態勢をとるレービュ。

 刀が無いため、武器になりそうな木の棒を拾うカケスギ。

 マリスとケニーはコロナの言葉を受け、ソミィと共に物陰に隠れる。

 そしてそれと共に謎の人物たちが森の中から姿を現した。


「ちょっと待ちな!」


「この道の通行料を払ってもらおうか」


 そう言って近づいてくる盗賊二人。

 当然、通行料など口から出まかせだ。

 プレッシャーをかけるように十人ほどの男が一行を取り囲む。

 話し合いは通用し無さそうだ。


「コロナ、カケスギ、攻撃は任せるぞ」


 そう言って小さい炎の壁を展開するレービュ。

 以前のコロナとの戦いで使った技だ。

 防御はレービュ、攻撃はコロナとカケスギ。

 役割を分担して戦うというわけだ。


「チッ!刀を無くして無性に腹が立っているんだ。少し身体を動かさせろ」


「カケスギ…!」


 コロナとカケスギも前に出る。

 カケスギは長めの木の棒を持っていた。

 道に落ちていた物をカケスギが見つけたのだ。

 相手が十人ほどに対し、こちらはマリスとケニー、ソミィを除き三人。

 数では負けているが…


「いくぞッ!」


 レービュの掛け声。

 それを合図にコロナとカケスギが盗賊に攻撃を仕掛けた。

 まずは剣を持っている三人に狙いを定める。

 乱戦になった場合、剣を所持している者がいると厄介だ。


「ずあっ!」


 コロナが放った衝撃波で盗賊の動きを一瞬止める。

 その後、カケスギが木の棒で三人を殴り飛ばした。

 そして彼らが持っていた剣を奪い取る。


「下品な剣は嫌いなんだがな…」


 ナイフやサーベルを持って襲い掛かる盗賊たちの攻撃を受け流し、顎を蹴り飛ばすカケスギ。

 反撃のため、殴りかかろうとする盗賊をカケスギが止めレービュが倒す。

 さらに返す刀で魔炎を放ち、残りの二人を弾き飛ばし気絶させる。


「意外と早く片付いたな…」


 そう言いながら盗賊を下すカケスギ。

 そうすると盗賊たちが見逃してくれと懇願してきた。

 カケスギは剣を奪って見逃すことにした。


「剣だけ貰っていくぞ。戦利品としてな」


「ひ、ひぃぃぃ…!」


 そう言って散り散りになり逃げていく盗賊たち。

 一方のカケスギは盗賊から奪った剣を二本、ソミィに渡す。

 残り二本を自身の腰に収める。

 そしてサーベルを一本、背中に担ぐ。


「持っておけ、ソミィ」


「うん、わかった」


「なぁカケスギ、なんでそんなに持ってくんだよ?」


 剣が四本、サーベルが一本。

 合計して五本。

 何故そんなに多くの剣を持っていくのか。

 コロナは純粋にそれが気になったのだ。


「壊れた時の替えだ」


「すぐ壊しちゃうの」


「余計なこと言うな、ソミィ」


 カケスギは武器の使い方がとても荒い。

 それゆえ刀剣の類をすぐに壊してしまうらしい。

 彼の腕に並大抵の刀剣がついて来れない、というのもあるのだが。

 以前、キルヴァの聖剣に興味を示していたのもそれが理由だったりもする。

 その無茶を全て受け止めていたのが、普段彼が使っている刀だったのだ。


「なるほど。ははは…」


「ふん」


「あの~…コロナさん?」


「もう出てもいい?」


「あ、もういいぞ二人とも」


「ええ」


 そう言いながら、物陰から出てくるマリスとケニー。

 二人はあくまで旅に同行するだけ。

 戦闘要員では無い。

 治水の街『クレストコ―ル』に到着した後、二人はどうする気なのだろうか…?




 -------------------



 一方その頃。

 フェイケスでコロナたちと思われる怪しい旅人の調査をしていたナグモ。

 村人の聞き込みにより、その怪しい旅人はクレストコールの方面に向かったと判明した。


「クレストコールか…」


 村人に礼を言い、旅の準備を整えるナグモ。

 旅に必要な資材を購入し次の目的地に備える。

 次なる目的地、クレストコールへと。


「まだコロナさんたちと確定したわけではないけど…」


 まだ、その怪しい旅人がコロナなのかは彼には分らない。

 村人もそんな旅人の名前など、いちいち聞いていなかったのだ。

 とはいえ、他に証拠らしい証拠も無い。

 この辺りにいたらしい、ということだけ。

 それ調査し、その結果のみを上に報告しよう。

 そう考え、次なる目的地であるクレストコールを目指す。


「どっちから行こうかな?」


 クレストコールに至る道は二つある。

 一つはわき道や裏道を通る方法。

 整備があまりされておらず、道中で盗賊が出るかもしれない。

 しかし、早く着く。

 もう一方は整備された旅のための大通りだ。

 旅の往来であり、商人や旅人などは通常はこちらを利用するのだ。


「よし…ん?」


 大通りを通っていこう。

 そう考えたナグモ。

 しかしそこで彼はある人物を目撃した。


「あれは…騎士団のエリムさん!?」


 大通りを相棒である白馬を駆り激走する女騎士。

 キルヴァを殺したと言うコロナに対し恨みを燃やす少女。

 エリムだ。

 独自のルートでコロナの行先を調べ上げたのだろう。

 彼女の配下の密偵や調査員を使ったのだろう。

 こればかりは彼女に先を越されてしまった。

 それを見たナグモも、急いでクレストコールへ向かった。


「待っていろコロナ!この私がお前をクレストコールでうち取って見せるぞ!」




武熊、評価ポイント、感想などいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ