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こどもだけのくに  作者: 桜江李彩子
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四日目

 今日は何にもないここを色んなもので溢れさせました。


 今までは私しかいなかったけどそうじゃなくなったので大改造して楽しくて退屈しないところにしました。


 最初に魔女の子・ジャンナの希望でここに色を付けることにしました。

 上は青で下は緑。

 ジャンナたちは草原みたいといって喜んでました。

 声には出してなかったけど一番目の男の子も喜んでました。

 けど、二番目の男の子は戸惑っているようでした。彼は背中に生えた大きくて黒い翼をゆっくりと動かしてました。


 いつか手を伸ばして届かなかったあの青い部分を空だと思ったのでしょうか。


 次に天使の子・アンの希望でおかしの国を作りました。

 おかしというものがよく分からなかったので地球という惑星の様々な国をまわっておかしと呼ばれるものを食べました。甘いものがほとんどでした。

 それを元に草や川に雲や土、惑星にあるもの全てがおかしになってる場所をつくりました。他の二人も喜んでくれたので嬉しかったです。


 次に歌声の子・フランの希望で楽器を用意しました。

 ピアノ、ハープ、トランペットにフルートその他もろもろの楽器をあげました。

 これらは、貢ぎ物で届いたものです。フランに教えてもらうまで名前、知りませんでした。

 使っているのは見たことあるけど使い方は知らないのでそのままにしていたやつです。

 ピアノを見たフランは大喜びで使ってました。正直、上手ではありませんでした。

 音は途切れるし時々押すところを間違えます。

 ジャンナやアンは初めて楽器を見たようで恐る恐る触れていました。


 三人がそれぞれの楽器を使っているとふらっと一番目の男の子が私のところに来ました。

 名前は? と聞くと「ルートヴィヒ・エイベル・レニー」とつまらなさそうな顔をして言いました。

 彼も名前をなくしてなかったようです。

 ルートヴィヒじゃ長いからルートでいい? と聞くと「トランペットをくれるならいい」と言われたのでトランペットをあげました。

 ルートはトランペットで私の知らない曲を上手に演奏してくれました。

 私たちは曲が終わるまで音を立てませんでした。

 青と緑の世界に柔らかくて暖かい心地の良い音が響きました。


 向こうから音が聴こえてくることはありましたが、ここに直接音が響くことは初めてです。


 色も音もヒトもいないここを今までつまらないと思ったことはありませんでしたが、ここって本当は結構つまらない所だったんだなと今日初めて思いました。


 ヒトの様子を観察するのも楽しいけど直接感じることはもっと楽しいです。


 明日、もし二番目の男の子が話しかけてくれなかったら私から話しかけにいこうと思います。仲良くなりたいです。


 早く服がこないかなあ。

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