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こどもだけのくに  作者: 桜江李彩子
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三日目

 昨日の日記を読み返したらかなり短かったです。もっと細かく書かないとダメだなと思いしました。今日はいろんなことを思い出しながら書きたいと思います。


 今日はとても嬉しいことがありました。

 女の子二人が私に話しかけてくれました。

 朋輩(ほうばい)以外と話すの初めてでドキドキしました。


 三番目の女の子は自分のことを魔女だと言いました。

 こっちに来る前、周りのヒトから「魔女」と呼ばれていたそうです。

 私は不思議に思いました。

 だって彼女はこっちに来る前に魔法なんて一度も使ったことがなかったからです。

 第一、彼女の名前は「魔女」ではなかったはずです。

 それを言うと彼女は「本当の名前は忘れた」と抑揚のない声で言いました。


 四番目の女の子は自分のことを天使だと言いました。

 確かに彼女の背には白くて広げると体の二倍もある立派な鳥の翼がついてます。

 けれどやっぱり彼女にはまた別の名前があったはずです。

 それを同じように言うと彼女も同じことを言いました。


 二人は名前をなくしたようです。


 名前をなくすということは、存在がなくなったということと等しいことです。名前は言わば私たちにとって識別番号のようなもので、その魂の存在を表すものです。


 だから、彼女たちに名前をあげました。


 魔女の子にはジャンナという名を

 天使の子にはアンという名を


 それぞれの名に意味を込めて与えました。


 意味についてはまた別の時に書こうと思います。


 二人は照れくさそうにうつむいてからお互いの顔を見て声を立てて笑ってくれました。

 初めて笑顔を見せてくれました。

 嬉しかったです。

 よくヒトが笑ってるときが一番いい顔だと言いますがその通りだなと思いました。


 その声につられて五番目の男の子がきました。

 ジャンヌとアンより一回り小さい子です。

 名前は?  と聞くと小さな声で「フラン」と答えてくれました。

 フランは名前をなくしてなかったようです。

 嬉しいことだけど名前を付けれなくて少し残念に思いました。

 私はフランのことはよく知っています。フランは私のためにいつも歌を歌ってくれていたからです。

 フランの歌声は心地よく暖かいのです。


 一曲歌って欲しいと頼むと困った顔で「練習してないから上手く歌えない」と断られました。

 それでもいいともう一度頼むとしぶしぶ引き受けてくれました。とてもいい子です。

 何を歌えばいい?  と聞かれたので私の一番好きな曲を頼みました。

 フランの歌声はやっぱり暖かく張り詰めていた氷を溶かしてくれました。


 明日は、この質素なところを大改造したいと思います。他の朋輩(ほうばい)たちみたいなに色のある所にしたいと思います。

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