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新説 六界探訪譚  作者: 楕草晴子
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9.閑話休題ー2

落ち着かなくて寝れない。

夕方からは珍しくテレビ見ながらスマホいじりながらゴロゴロ。

だらだらPCいじりの時を過ごす親父は、横目で俺の珍行動を多少訝しんでた模様。

けど大きな害があるわけでもないからやっぱ黙って見てるだけで。

なんとかそうやって日付が変わる前11時までやり過ごせたけど。

でも、まだ明日の午前中が空いてる…。

どうやって過ごそうか、モヤモヤっとしたものが出現し。

そう思ったら寝れなくなってしまった。

『どうしようもないことは考えてもどうしようもない』。

検索エンジンって名前の先生は検索結果一覧のサイト本文抜粋にそのドライな文字列を表示してたけど。

それ言うんなら、考えてしまうのだってどうしようもないじゃないか!

だから学校の先生や大人やこういう格言っぽいのって嫌いだ。

言われたってやってしまう、言われたって本当にできない、そういうのを全否定してくるから。

『努力したのか?』『やってみればいいじゃないか』なんて。

したさ。

今日だって考えないようにしたさ。

絶対にできないORやっちゃダメなこと以外は全部したさ。

それでも無理な時は無理で、諦めるのすら無理になって、もうどうにもならない事だってあるんじゃないか?

精神論でぶったぎられたら火に油だってこと、分かってないんだもんな。

うじうじしてるだけだなんて自分が一番分かってる。

だから余計、たくさんの人達がみんなして作り上げたプログラム先生とやらにああやって切り返されただけで、超イライラした。

もういいや。

起き上がって真っ暗な部屋の中、うっすら見える机を手探り。

学習机の蛍光灯をつけただけで一気に目が冴える。

こういう時の暇潰しってスマホがあったほうが絶対いい。

てかそうじゃなくても学校生活スマホがあったほうがいい。

高校入ったらって言われてるからそれまでの辛抱。そう分かってても欲しかった。

その思いを一旦脇にどけるように、昼間放り出した基板の白い所を、これまた放り出した乾いた布でそっと拭い去る。

何とか取れそうか?

この時間だとエアダスターは使えない。

でも。

やり始めたら何となく興が乗った。

そろりそろりと拭い、爪楊枝でちょっと埃の端を引っ掛けて残りの除去を試みる。

しつこいなぁ。強くやると傷つくから、しょうがない。

エタノールを取り出して綿棒の先っちょを濡らす。

一瞬鼻につくアルコール臭。

そしてこれまたそろりと、残ったところを拭き取り。

埃が絡まっていたLEDの足は、とうとう蛍光灯の光を銀色に反射した。

いけそうか。

もうちょっとこっちが…。

結構くすんでた基板本体は、昼間のひと吹きが効いて今やテカッた深緑。

他の所も大丈夫そう。

よし。

乾電池をセットし、電源スイッチを丸印のほうにパチッと。

3色のLEDがぁ~…。

点かない。

あっれぇ?

ここが光るはずなんだけど…

ああ、ここか。なんだ。

銅線が劣化してる。

多分被覆の中で切れてるんじゃなかろうか。

引き出しから取り出したハンダごてに熱を入れる。

くそ暑いはずなのにさほど気にならないのはなんでだろう。

静まり返った部屋の中、明かりの下に細い煙が上がる。

音楽好きだったら聞きながらやったりするんだろうか。

Mスタも実の所話合わせるためにしか見てない俺。

…音とか何もないほうがいいな。

この夜の静けさと蛍光灯の白い光。

細い別のパーツの余りから取った銅線の被覆にニッパーでそっと切れ込みを入れると、隙間から覗く線維の束はそれを受けて名前通りの赤銅色に輝いた。

つるりと指で剥き取るのが気持ちいい。

そうこうしてる間に、いつものごとく時計を見なくなる。

どれだけ経過しただろうか。

銅線を外し、新しいので一箇所繋ぎ直し。

これで。

パチッ

点灯した。

ただし基板から上に飛び出した4つのLEDのうち、赤・黄色・緑だけは。

青だけ付いてないじゃないか。

それは良くないな。

青はスペシャルだから。

親父から聞いた話じゃ、昔はそんな色なくって、日本人の誰かさんが発明したことで色々あったとか。

『衝撃的だったもん』

『世界が変わると思いましたからねぇ。腐っても理系学生だったし余計』

『教授が大興奮してこーんな顔んなったの、忘れたくても忘れられん』

親父と川藤さんの顔真似含めた立ち話が思い出された。

生まれたときからある身としてはスゴさ加減の源がよくわからないながらも、当時親父が熱っぽく思い出話をしてたから余程すごかったんだろう。

それ以来なんとなく青LEDは俺の中でもスペシャルだった。

だから。

それが付かないなんて有り得ないぞ。

んーどこだどこだ?

これか? いや…?

そうやって格闘することしばし。

時間の感覚はとうになく。

ついに4つ全てが点灯したとき、キッズケータイの電源ボタンを押すと既に日付は変わって3時になろうかという所だった。

うん、捗ったな。

明日に持ち込そうかと思ったけど、続けてよかった。

昼間よりもこういうのは夜中のほうがいい。

それにこれでの夜更かしについては親父も何も言わないしーー理由は明白、親父も同じ事をかつてしてたから。っていうか、かつてどころか偶~に今もしてるからーー。

光を浴びたせいかまだ目が冴える。

ブルーライトを夜見るのは良くないらしいし、そのせいかな。

そう思っていたのに、一通り机の上を片付け、置いてある立体模型などの飾り付けをいつもの位置ぴったりに戻して布団に横になると、直ぐに意識が薄れた。

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