7-1
♢♢♢7-1
「エンマ様大変です」
「何をそんなに慌てている」
「これを見てください」侍従がエンマに書き置きを渡す。そこには、
『パパ、私お嫁に行きます。 サキリより』と書かれていた。
自分の部屋があるっていいね。
そう、俺たちは引越しをしたのだ。
俺だけ3階。他の女子は2階。
自分の引越しをかたずけると、2階に下りた。
階段を下りるとリビング。そこにみんな集まっている。
そこへ来客を報せるチャイムが聞こえた。
一階に下り玄関を見るとガラスのドア越しに着物を着た女性が立っているのが見えた。
僕が鍵を外すと、その人は入り、いきなり抱きついて泣き出した。
「えっ!、えーー!!」つい声が出た。後ろからの視線が刺さってくる。
どうしたらいいかわからないので、取り敢えず、リビングの方へ案内した。
落ち着いたところで、まず、名前を聞こう。
「あのう、お名前は?」
「サキリ」
聞いたことのない名前だ。それに、容姿を見ると、尻尾がないようだ。頭部にも、うさ耳や猫耳といった獣人特有の耳がない。ツノも見当たらない。すると俺と同じ人か?。疑問がいっぱいでどこから聞いたら……。
「なんで、泣いてたの?」無難なところから聞くことにした。
「嬉しくって」予想外の返答に、疑問がさらに深まる。
「えっ!、嬉しかったんだ……」嬉し泣きするようなことあったのか。でもなんで俺に抱きついて泣いた?、その辺のところはっきりしないと……。
「約束覚えてる」サキリさんが尋ねる。
「約束って?」
「私をお嫁さんにしてくれるって」
足に激痛が、振り向かなくてもわかる。隣に座っているのはミーアさんだからな。それよりいつのことだろう、全くわからないのだが……。
「あのう、いつ約束した」
「神社で……」
俺は小さい時、神社で着物を着た女の子と一緒に遊んだ記憶があるが、まさかね……。そのまさかだった。
すると、サキリさんは、20年もその約束を信じていたのだろうか。俺は全く約束した記憶すらないというのに……。ある意味すごい。いや、まてよ。凄いのはそこじゃないだろう。20年前といったら、俺はあちらの世界にいた。すると、サキリさんはやはり人間?、そこのところを聞いてみた。
「龍人よ」
さらに凄いことがわかった。
「あのう、まさか黒龍ですか」ミーアさんが代表で尋ねた。
「そうです」の、ひと言にみんなが驚愕する。
「黒龍って凄いのか?」俺は知らないので尋ねた。
「ばかねえ、黒龍って言えば、龍人の最高位種よ。神とも言われている種族よ」なんか頭が痛くなってきた。これ以上考えると、頭がフリーズしそうなので、コーヒーブレイクにしませんか、とテーブルにケーキを出した。
みんな、色気より食い気だもんね。特にサキリさんは、こんな美味しいもの食べたことない、と大喜び。これで少しは話し易くなるだろう、と思ったが、なぜか女子会になってしまった。俺はお呼びじゃなさそうなので、マイルームへ……。




