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カレーが出来上がり、俺も出来上がった頃、例の二人がやってきた。遅れてあの美人のお姉さんが、さらに幼く見える子供と手をつなぎやってきた。その子も猫耳と尻尾を付けている。これって子供達に流行っているのか?。奥さんいない、子供いない、そんな俺にはそのへんの知識は疎い。
早速二人がクレクレ光線を目から発している。
俺は目でOKサイン出して、二人にカレーを渡した。
二人がガツガツ食べる。目がキラキラ光り、尻尾がブルンブルン振っていて、今にもちぎれそうだ。
すぐにおかわりがきた。
美人のお姉さんにカレーを渡してから、二人の皿に盛り付けて渡す。
二人がまたガツガツ食べ始めて、見ていて気持ちいい。
美人のお姉さんは、連れてきた子にスプーンで食べさせると、その子の尻尾もブルンブルンしてきた。きっと気に入ったのだろう、よかった。
美人のお姉さんも食べて気に入ったようで尻尾が振れている。
こうしてみんなブルンブルンしているとわかりますよね。つい、むにゅっと掴んでしまった。
すげー、本物みたいだ。最近のオモチャってすごいなぁ……。
「キャー」突然可愛い叫び声。
その声の主に視線を向けると顔が赤い。こちらの視線を避け、走って行ってしまった。
アニメでよく見るホコリをたてながらアップダウンの道を爆走しているような感じで、あっという間に見えなくなった。
「あっ、いっちゃった」独り言を口に出し、この子どうしようと思案する。
(答えはわかっているんだけどね。何をやろうか迷っているんだ)俺のつまみから子供でも喜ばれそうな物……!。100均のつまみコーナから買った麦チョコを渡した。例によって目をキラキラさせながら食べる。交渉成立。
3人仲良く手を繋いで去って行った。
残ったカレーとご飯は俺の胃袋へ消えると眠くなってきた。
奥で横になっていると爆睡モードに突入、外が薄暗くなるまで寝ていたようだ。
起き抜けに一本、今日何本目だっけ?のカシャ。
しかしよう寝たな。今夜は外で焼き鳥に一杯と決めていたので、準備に取り掛かることにした。
道具を外へ持ち出す。
ランタンに火を入れスタンドにかける頃、日がどっぷり暮れ雰囲気が出て来た。
夜空を見ながら、ビールに焼き鳥、もう最高!。
焼ける音と匂いが食欲をそそる。まずは塩で一本。うま!、ビールを喉に流し込むと、気分も盛り上がる。
もう一本ってところで、にゅっと男の顔が現れた。横には美人の姉さんもいた。
「おめーか、俺の娘の尻尾を握ったって奴は」どすの利いた声で言っているが、目線は焼き鳥をガン見している。
「一本食べますが」と、串を一本渡すとパクリと食べた。
「うまー、何じゃこれは!」こっちがびっくりするほどの驚嘆と絶賛。尻尾がバッタンバッタンと地面を叩いている。
この人も耳と尻尾が付いている。新たな新興宗教か?、猫耳教とか?。で、尻尾を掴んだから猫耳教には入れ、と脅しに来たんだ、たぶん。
「もう一本食べます?」と、探りを入れる。
「おう、頼む」声は怖いが、尻尾はバッタンバッタンしているし、目線は焼き鳥をガン見、口からはよだれが今にも落ちそうだ。
「はい」と、渡すと、パクリと一口食べて「くー、これは最高」と、また絶賛。隣の娘さんも興味津々で見ているし、素早く5本焼きに入る。
喉が渇いたので一口ビールをゴクリと飲むと、おっさんの目線がこっちに移った。
「それは何だ」おっさんの目が怖い。
「ビールですけど」左手に持ったビールを見せる。それをおっさんが受け取りゴクリ、変顔になり口に合わなかったようだと思っていたら、「苦いけどこれ美味いな」と、残りを一気に飲み干した。
(それ俺のですけど)声には出さないで、ちょうど焼けた串4本、皿に乗せおっさんに渡した。
おっさんと娘さんが一本取りパクリ。
「何じゃこりゃ、ものすごく美味しいぞ」おっさんが、また大げさに叫ぶ。
おっさんが食ったのはレバで、それは俺もお気に入り。だから一本キープしていたのだが、おっさんの目がそれよこせと言っている。
おっさんの手が止まっている間に、娘さんは残りの串を食べてご満悦。
(それ俺のですけど)もちろん声に出さないで、串をおっさんの持っている皿に載せる。
また串5本焼きながら、クーラーボックスからビールを取り出しカシャっとやると、それ俺にもくれ、と当然のごとく言う。
(おっさん、ここ飲み屋じゃないですけど)言いたいのを我慢して、コップに注いで渡す。それを一気に飲み干して「ぷはー」と、一息吐き出しご満悦の様子だ。
二人で焼き鳥完食。ビールも全部飲み干し宴会?は、お開きになった。
「それじゃ俺帰るから、ミーアはここで泊まれ」そう言って、千鳥足で去って言った。
ミーアさん?はおっさんに手を振っているが、何しに来たんだ。いや、それよりも重大な爆弾発言しなかったか?
おっさんが見えなくなると当然のようにミーアさんは、幕内に入って来て、寝床の準備をし出した。
敷きマットを出し下に敷き、敷布団をその上に敷く。
(え!、どこらか出したんだ?。確か空手で来たよな)不思議に思っていると、今度は服を脱ぎ出した。大きく形の良い胸が露わになり、ビックリして、目が釘付けになる。いやいやビックリしたのはそこじゃないだろう。尻尾が…、尻尾が生えている。これ本物の尻尾と聞くとコクリと頷く。ってことは、ラノベによく出てくる獣人ってやつ?。じっと見ているとミーアさん恥ずかしそうだ。慌ててごめんと言って、外に出て歯を磨くことにした。
歯を磨きながら今までのことを考えてみる。
大きな湖、遠くに見える標高の高い山々、以前プードルマップで調べたことがある。何度見てもそんな地形は無かった。答えが異世界だと納得する。
そんなことを考えていると、いつのまにか着替えたミーアが横に立って不思議そうに見つめていた。
(おっ!、そうだ、予備あったな)それを渡し、使い方をジェスチャーで教えた。
コップを渡し、水、水、と探していると、コップが重くなり水で満たされていた。水を含みもぐもぐぺっ、とやると真似して、ぺっ。
「歯を磨くと気持ちいいだろう」と、言うと、コクリと頷く。
「コップに水を入れたのは魔法?」と、聞くと、またコクリと頷いた。