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『駄犬ラッシー』結構面白かったな。
冒頭の駄犬ぶりが面白い。
朝の散歩で、すれ違う近所の奥さんの股間に鼻を突っ込むは、反対から散歩してくる雌犬の上に乗っかるは、いつも御主人を困らせてばかりのラッシー。
だが、この駄犬には秘密がある。御主人が会社に行っている間は、庭で自由にしているのだが、抜け道があって、外へ出て、散歩している。
そこで、誘拐犯を追いかけ警察に知らせたり、引ったくりを捕まえたり、川で溺れた子供を助けたりして、世間では謎の名犬として有名になるのだが、当の御主人は全く知らない。最後には御主人も知ることになるのだが、感動のラストシーンは……。これ以上言うと、作者に著作権で訴えられそうなので、気になる方は本屋で買って読んでね。
さて、コーヒーでも一杯と椅子から立ち上がろうとした時、クロバちゃんの叫び声が聞こえた。
外へ出ると、川上の方から何か流れて来ている。人?。俺は迷うことなく、川に飛び込み、服を掴むと、こちらの川岸へ引き寄せた。
何とか川から上がることが出来たが、だいぶ流された。助けた人物を確認すると、胸の膨らみで女性だとわかる。だが、呼吸はしていない。躊躇している場合ではないので、俺は素早く心臓マッサージと人工呼吸を行う。
息をしろ、息をしろ、息を吐け、息を吐け、頼む、息をしてくれ。必死の思いで、心の中で叫ぶながら、マッサージ30回、人工呼吸2回の割合で行う。
「げほっ、げほっ」水を吐きながら、むせるように咳をして、呼吸をする。よかった、よかった、嬉しさに目頭が熱くなった。
俺はこの子をお姫様抱っこして、テントの方へ歩き出す。クロバちゃんが心配そうにこちらを見つめる。手がふさがっていなかったら、手で頭をポンポンしてやりたかったけど、今は「大丈夫だ」と、ひとこと言葉をかけるだけにした。
テントの中へ入り、ベットに寝かせる。濡れた服を脱がせて、下着はクロバちゃんに任せる。体温が下がらないように毛布をかけて、様子を見ることにした。
俺も濡れたので、アイテムボックから服を取り出し、着替えることにした。
それから、お湯を沸かし、自分にはコーヒーを、クロバちゃんにはココアを作って渡す。やっと落ち着いたので、眠っている、溺れていた子の様子を見る。
緑色の短髪に、垂れ耳が頭部の左右にある。肌は驚くほどに白い、目の色は眠っているのでわからない。尻尾は確かふさふさしていたように思う。はて?、なんて人種だ。犬人?、狼人?、龍人?、わからない。起きてから尋ねるとしよう。
目を離すわけにはいかないので、テントの中で遊ぶことを考えた。
クロバちゃんにゲームしようと、アイテムボックスから『黒◯げ危機一髪』を出して始める。最初は俺が負けて、クロバちゃんキャッキャいって喜んだ。2回目は俺が勝ち、3回目はまた俺が負けた。クロバちゃん結構気に入ったみたいだ。4回目やっている途中、物音がしたので振り向くと、溺れていた女の子がスッポンポンで立っていた。
俺は慌てて外に出て、干してある彼女の衣類を掴むと、クロバちゃんを呼び渡した。
クロバちゃんの呼び声で、テントの中へ入ると、彼女が俺の座っていた椅子にちょこんと座っている。
何から話そうか、そう考えていたら、沈黙の中、グウーとお腹がなる音が聞こえた。顔を赤くしてうつむく彼女に、微笑みながらアイテムボックスからケーキ一箱を出す。
彼女の目の色が変わりこちらを伺う。どうぞと言いと、一つ取り出しパクリ。気に入ったようだ、表情を見ればわかる。
それを見て、おあずけ状態のワンコになっているクロバちゃん。そんな目で見たら、することは決まりですよね。はい、と言って、アイテムボックスからもう一箱取り出す。
二人の幸せそうな笑顔を見ていると、こちらも幸せになる。
俺はコーヒー、二人にはミルクを渡し、食べ終わるのを待つ。
結局二箱完食して、落ち着いたところで聞いてみた。
「君、名前は」
「ミニドリオ」
「どこから来たの」
「あっちから」
「何で川に」
「落っこちた」
(か…、会話が続かない)結局、どうしたらいいかわからないので、連れ帰ることにした。




