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久し振りに書店に顔を出す。
店主が、飼い猫をレジカウンターに乗せブラッシングしている。不謹慎だと思うが、地域密着の書店だ、誰も咎めるものはいないし、なかには、タマ(猫の名)おいでと、愛想を振る客人もいる。たまに、本の上で寝ている時もあるが、気にする客はいない。
店主が猫のブラッシングを続けながら、久し振りだなあ神さま、と笑顔で
言う。マジやめて、と言ったら、ここにある本全部買ったらやめてやる、と冗談笑いで言われた。
「今日は、小説ですか」いつもここで買うので、意外にも俺の好きな作品の傾向も知っていて、俺好みの本を入れてくれている。
俺が棚に並ぶ本を見ながら、ふと店主に聞いた。
「おやっさん、ジグソーパズルってあるか?」
「うーん、ジグソーパズル?あったけかなぁ、いきなりどうしたんだ」
「ちょっとな、欲しいと言う人がいて……」
「お!、もしかして、春が来たのか」
「何言ってるんですか、もう夏ですよ」俺は棚に並ぶ面白そうな小説を取り、あらすじを読む。何冊か見て、2冊『駄犬ラッシー』と『名探偵ルパン8世』を買うことにした。
店主がチラリ見してニヤリとする。
「相変わらず、くだらないのが好きだのう」
皮肉笑いに抵抗する。
「おやっさんが勧めてくれたんじゃないですか」
「そうだっけ?、それで、ジグソーパズルどうするんだ」
「えっ!、あるんですか」
「無いって言ってないぞ」
相変わらず、わけのわからない人だが、ここ贔屓にしている人多いんだよな、俺もその一人だけど……。
裏の方へ行くと山積みにされたジグソーパズルがる。半額でいいから好きなだけ持っていけ、と言われ、5箱購入する。
そのあと、腹が減ったので、ラーメン屋に寄ることにした。
まだ昼前なので客は俺一人だ。塩ラーメンを注文してテレビを見ていた。
「次のニュースです。昨日、今は亡き映画スター、ブルー3のヌンチャクが40年ぶりに発見されました。このヌンチャクはブルー3が日本の友人に日本語でサインして送られたもので……」
(え!、あれ、本物だったんだ……)
「はい、お待ち。塩ラーメン」
取り敢えずラーメン食おう。
食べた後、例の店に行ってみることにした。
店内に入ると珍しく先客がいた。どこかで見たような、和服姿に、メガネ、口髭の蓄えた人物が、仕切りと先生、先生、と言って話し込んでいる。盗み聞きは良くないので、外で待つことにした。
しばらくして和服姿の人物が軽く会釈して去って言った。風格のある礼儀正しい人だな、と思いながら中へ入る。
俺を見た店主が、どうした、と先に声かけてきた。
「あのう、こういう物、作って見たんですけど……」と、テーブルにプーさんから買ったものを出す。
どれ、と言って、眼鏡をかけて確認する。
「この革はなにかな?」
「さあ、俺にもわかりません。俺が作ったものじゃないですから……」
しばらく、見ていたが、
「これを、どうしたいわけ」
「出来れば、売り物にしたいと思っていますが、どうしたらいいかわからないので……」
店主が考えて
「この先に三国堂と言うお店がある。そこのオーナーは友人だから、行ってみたらどうだ。お前さんはお得意さんだからな、何なら電話しとくよ」
「ありがとう。お願いします」
お礼を言って、三国堂へ向かう。




