第4章 異世界でWork
♢♢♢第4章 異世界でWork
昨日のミーアさんは怖かった。本当に怖かった。
正座させられこっぴどく絞られた。夜は夜でこっぴどく搾られ、で、いつもより朝が遅くなった。
居間の方から聞こえてくる声で、お客さんが来ていると気づく。
俺が顔を出すと、精悍な戦士を彷彿とさせる男が、視線を向けたかと思うと、隣の俯いている幼女らしき女の子に声をかけた。驚いたことに二人とも頭の上部に長い耳を持っていた。と、いうことは兎人なのだろうか?、初めて見た。
俺が起きて来たのを見て、ガオーさんがこちらへ来るように声かけてきた。
俺が座ると、男の方が睨みつけて来た。赤い瞳が白い髪に映え、睨まれると恐ろささえ感じる。俺、何かしたか?、相手の出方を待つ。
「お前、俺の娘に求婚したそうだな」
「えーー!」俺は思わず、驚きで立ち上がってしまった。
男は見上げるようにして、
「俺の娘の耳を掴んだそうじゃないか」
俺は腰を下ろし、俯いている幼女を見ながら考えた。
「……?、おっ、マンドラゴア!」
「だれが、マンドラゴアじゃ」男は怒り、赤い目がさらに赤さを増す。
「だってほら、土から生えてたぜ。俺、草かと思って思いっきり引っ張ったら、ぎゃー、と叫び走って行った。こっちもビックリしたよ」
「その件については、お礼を言おう。しかし、これとそれは違う。兎人族の生娘は、耳を夫となる男性以外に触られてはいけないと言う掟がある。この子は、族長たる俺の娘だ。族長自ら掟を破ったとなると、他の兎人に示しがつかん」
「しかし、俺、妻がいるよ」
「知っておる。だからこうして、族長同士で話し合いをしておる」
「え!、族長同士って、誰?」
ガオーさんが俺の方を向き、右手の人差し指で自分の顔を指した。
「ええー!」この世界に来て、これほど衝撃的な驚きは初めてだった。
結局結論が出ないまま、沈黙が続いた。
娘さんは相変わら俯いたままで、こんな幼い子が、悩んでいると思うと可哀想になる。なんとか良い方向に行くよう考えよう。
俺は席を立ち、台所で準備して、娘さんにジュースと大判焼きを出した。
二人がすげーガン見しているが、俺は無視して、美味しいから食べてごらん、と微笑んだ。
娘さんが一口パクリすると、バラ色の笑顔を見せてくれた。子供はやっぱり笑顔が一番だ。うん、一番だ……。
「クロバ、それうまいか」今にも横取りしそうな勢いだ。こいつ本当に父親か?。
このままだと本当に横取りしそうなので、外で食事でもしようと提案した。ガオーさんは即賛成して、準備に取り掛かる。
外へ出ると村の大半の人が集まっていたので、その人たちも誘い食事会をすることにした。その中には護衛だろうと思うのだが、兎人も二人いた。
ミーアさん、シロさんにも手伝ってもらう。
ミーアさんはクロバちゃんを女性陣の方へ連れていった。
護衛できていた二人もテーブル席に招待する。
席は兎人族族長、護衛二人、ガオーさん、そして俺だ。
焼き鳥の盛り合わせと、チュウハイを出し、ガオーさんに配ってもらう。
その間俺はBBQコンロを出し、焼きに入る。
兎人族族長が先に焼き鳥を取りパクリ、その瞬間「これは美味い」と絶賛。倣って護衛の人たちも食べ同じ反応をする。チューハイも飲み同じ反応をする。
ガオーさんが
「初めて飲んだが、これもうまいなあ、なんで今まで出さなかったんだ」俺に文句を言うが無視しよう。
俺はビールを飲みながら、どんどん焼く。その間も時折クロバちゃんの方を見ていたが、ミーアさんは先日やったケーキをクロバちゃんに出していた。一口食べたクロバちゃんはとても素敵な笑顔を見せてくれた。俺はホッとして、焼くことに集中した。
俺には考えがある。兎人族も美味いものには飢えている。それなら俺が美味いものを提供して、兎人たちの胃袋をがっちり掴む計画だ。なんなら俺が出向いて、兎人族の人たちに美味しいものを食べてもらってもいい。うん、いい計画だ。
名ずけて「兎人は美味しいものを食べれないと死んじゃう作戦」俺ながらいい考えだ。
先ずは族長に特製のつくねをだす。
「ほほう、これは美味い。今までのも美味しかったが、これは最高だ」
それを見たガオーさんが、俺にもくれ、と言っているが無視をする。
護衛さんたちにも出す。二人ともご満悦だ。
次はカシラだ。
「これもいい。このコリコリ感がなんとも言えないなあ。うん、美味い」
護衛さんたちの反応も上々だ。
スイさん。俺のは……。無視する。
最後はこれだ。特製のレバー、でかいし美味い。
「おお、これはたまらん。うまい。美味いとしか言いようがない」
気にいてもらえたようだ。俺の作戦は成功だな。
スイさん、スイさん、ガオーが泣きそうな顔で訴える。
(おまえ、俺の気持ちをちっとは考えろ!)
「これで最後です」まだあるけど無いことにして、いつもの焼き鳥を出す。
兎人族族長たちは満足したようで、娘を連れ、帰って行った。
俺の作戦は成功した。




