この世界の初めての仲間
第8話投稿しました。
シュウリス学園都市冒険者支部を出て、今晩の宿を探す。
受付の女性からは、支部を出て左へ進みしばらく行くと冒険者になって日が浅い者が寝泊りする宿が多数あるそうだ。
逆に、右に向かって進むと、並みの実力を持つ冒険者が泊まるような宿がある。
そして、高い実力をを持ち稼ぎも多くなると、学園都市の中央を通る通り沿いの高級宿に泊まれるのだ。
もちろん、自分やコトネはまだ冒険者に成り立てである。
早速、薬草採取の依頼は受注してある為、時間を作って試してみようと思う。
篝火が焚いてあるが、暗い道をコトネと2人で歩く。
「コトネ、少しいいか?」
「はい、分隊長!」
「もう少し、声は抑えて。 分隊全員分の冒険者証を発行しようかと思うんだがどう思う?」
「分隊長のお考えに賛成です。 ですが、1つだけ発言よろしいでしょうか?」
「なんだ?」
歩きながら話していたのだが、不意に立ち止まったコトネに振り返る。
意を決したかの様な表情だった。
「我々、イシダ分隊8名はイシダ分隊長に死ねと言われれば死にます。 ただ協会に登録する事で任務に強制執行される物もありますがいかがしますか?」
協会は、ただ登録して自分の依頼をこなすだけではダメらしい。
何かしらの緊急事態、例えばギルド支部の所属する都市に危険が迫っている場合などだが、強制的に徴発されて依頼に傘下する必要があったのだ。
コトネは、副官という立場上、このように意思疎通するにしても問題は無いのだが、妖精達は違う。
自分かコトネがいれば妖精との仲介をして依頼に参加する事は可能かもしれないが、自分の指揮下にいる妖精は指揮範囲内から出る事は出来ないし、その効果範囲はまだ半径500m圏内である。
もう少し指揮範囲が広がるなどしてくれればと思うのだが、まだまだ経験が足りないらしい。
タブレットで見ると、指揮値は一番最初の1のままである。
「とりあえず、この件は保留だなぁ」
「もうしわけありません。 でしゃばった真似を致しました」
「いや、コトネのお陰で考えずに登録してしまうところだった。 ありがとう」
「いぇ、私はその、あのお役に立てたなら光栄であります」
また2人で歩き出すと、すぐに1軒の宿に辿り着いた。
泊まれるか確認すると、もう空きがないと断られる。
次もそうだった。 その次もと宿の間を行ったりきたりしてもどこもダメだった。
最後の最後、もう街の門からも遠く細い路地を通って辿り着いた少し古い建物に辿り着く。
三日月亭という名前の宿らしい。 営業はしているようだ。
ドアをノックし中へと入ると、そこには熊が居た。 体長は2mほどだろう。
慌てて銃へと手を伸ばすが、振り返った熊に拍子抜けしてしまった。
茶色の毛並みに、優しそうな瞳、ピンクのフリフリのエプロンを来た熊が受付に座っていたのだ。
この世界では亜人と呼ばれる人種のようだ。 先ほど助けた少女もそうだった。
明日、ゆっくり話を聞いてみよう。 そう考えていると、熊が喋った。
「あら、お客様かしらね! ようこそ、三日月亭へ! 女将のベルンよ」
「はっ、はぁ……」
「お客様は何名様でしょう? お2人以外にもいる?」
「あっ、今は2人です」
「あらあら、仲も良さそうね。 同室でいいのかしら?」
「いっ「はいっ!」
女性でもあるし、別々の部屋にしようかと思ったのだがコトネが自分の発言を遮ってまで同室にされてしまった。
熊って笑うんだなぁなんて考えながら、ベルンの案内で部屋へと向かう。
扉を開けると、ベッドが1つ、窓が1つある程度だ。 あとは何にも無い。
「お客様、ここはこんなだが1階の奥では食堂もやってんだ。 料理の腕は任せていいよっ。 あぁ、今日はもう締めちゃったから明日の朝からだね」
豪快に笑うと口元から牙が見え、ドキリとするが女将のベルンは全然気にしていないようである。
身体を洗うには銅貨で50枚で桶と布を用意してくれるそうだが、基地に戻ればシャワールームなども完備されている謎仕様だ。
特に問題は無い。 借りる時に声を掛けてと言ってベルンは部屋を出た。
「さて、ベッドが1つだからコトネが使ってくれ」
「何をおっしゃいますか! 分隊長がご利用下さい!」
「そうはいかない、女性を床に眠らせるなんてとんでもない。 自分を置いては基地に戻らないつもりだよね?」
「もちろんです。 分隊全員を代表して勝ち取った護衛です! 絶対にありえません」
勝ち取ったと言うのが気になるところだが、今聞くと眠れなくなりそうだからやめておく。
なんとか、ベッドを使うようにコトネに了承させた。
タブレットを起動して街の地図を出す。
今日歩いた内壁の門までの道のりとこの三日月亭への道が表示されており、それ以外の場所は表示されていない。
近いうちに、街の地図を完成させておくべきだと考えていた。
万が一、何か有った時には対処出来るようにしておきたいからだ。
さらにタップして地図上に出会った人を標示させる。
これについては、オンオフ出来る事に気付いた為、地図を見たい時はオフ、人の配置を見たい時はオンにしていた。
効果範囲は、指揮範囲と同じである。 その為、1度会った人間が標示されていたのだが、正体不明の人物がいた。
宿から出てすぐの路地に2名いる。 どうも、冒険者ギルドから出てからずっと後をつけてきているようだ。
振り返っても、隠れる為何かしら自分達を監視しているのかもしれない。
あまり思い切った行動をするのもどうかと考えたのだが、これが寝静まってから襲撃とかされたら正直怖い。
「コトネ、気付いている?」
「はっ、2人いましたが動きは無いようです」
コトネも気付いていたようだ。 さすが、副官である。
宿を探している間も、気付かれないように警護してくれていたようだ。
「そうか、何か気になる点があれば遠慮なく言って欲しい」
「はっ!」
「良し、あの2人組みも気になるし今日は交代で見張りに立とうか」
一瞬、分隊を配置しようかと考えたが、部屋は狭いし、借りたのは2人である。
分隊の7人分の身分証も持っていない事から、今回はやめておこう。
襲撃を考慮し、すぐに反撃出来るようにして銃を手の届く場所に置く事を忘れない。
狭い部屋の中でもある事から、ベレッタM92が望ましいだろう。
M4カービンだと、銃身が短いとは言え取り回しにも注意が必要だし相手に向けるまでの時間差など考慮する結果だった。
その辺、これから装備についても考えていかなければならない。
タブレットを起動して、さらに陸上兵器へのポイントを振る。
奴隷兵として扱われていた少女を助けた事から神様からCPを手に入れていたのだ。
これで陸上兵器の開発レベルが3にあがったのだ。
生産リストを開いてみると、あまり代わり映えしていないかと思ったが違った。
小銃では元から所持しているM4カービン、拳銃はベレッタM92があるから問題は無いが新たに増えている分類があった。
車両はまだ無いのだが、分隊支援火器が生産できるようになっていたのだ。
そして、もう1つ目に付いた物があった。 ボルトアクションライフルの項目の中に『スプリングフィールドM1903A』の項目がある。
確か、狙撃銃としても性能が高く長く使われていたと記憶している。 ただ、使用弾薬が現在主力のM4カービンとベレッタM92とはまた違うのだ。
『30-06スプリングフィールド弾』を使用しており、別でまた用意する必要がある。
現在は所有していないが、第二次世界大戦時の重火器には良く使われている弾薬である為、今は作っておいてもいいかと考える。
さらにポイントを消費して支援用に1丁アクセサリのリストにあったM84スコープを取り付ける。 また弾薬を1000発用意しておく。 もちろん、弾薬箱も用意も忘れない。
これで手に入ったポイントはすっからかんに近い。
本当なら、分隊支援火器も欲しかったが、必要ポイントが高く弾薬までは手に入らなかったのだ。
ブローニング・オートマチック・ライフルとか興味をそそられたのだが、今回は保留にしておこう。
30-06スプリングフィールド弾も共有出来るのだから、まだ焦る必要は無い。
また、5.56mm×45mm NATO弾よりは銃の口径が大きいのだから1発の威力は高い。
携行数では5.56mm×45mm NATO弾には劣るが魅力的な装備になると思う。
「おはようございます、分隊長」
「うん? コトネおはよう」
2時間の仮眠で見張りを交代すると言って寝ていたので5分前に起き上がってきたコトネだった。
地図を確認すると、やはり2人はこちらを見張っているようだ。
ずっと微動だにしていない。 その事をコトネに引き継ぐ。
「あとは頼む。 自分も2時間後に」
「はい。 お任せ下さい」
そうして、2人で見張りをしながら朝を迎えたのだった。
朝まで結局、動きは無くタブレットでずっと気にしてはいたのだ陽が昇る前でも見張り続けているようだ。
三日月亭の1階へ降りると、ちょうど朝食を作っている最中だという事で奥へと案内された。
テーブルには自分とコトネの2人だけが食堂にいるだけだった。
テーブルにつくと、サラダとパンとシチューが並べられていく。
どうも、この世界の食料は元の世界とは大差ないらしい。
ゲテモノではなくて良かった。
シチューも良く煮込まれておりとても美味しく、パンもまた美味しかった。
「これ、すごい美味しいですね」
「そうだろっ、泊まってくれたヤツには銅貨15枚で安くしてんだが、最近は泊まってくれる客も少なくてよ」
「そうなんですか」
こんなに美味しいのに勿体無い。 コトネも美味しそうに食べていたが、元々は妖精の1人であるはずなのに、食事も問題ないのか。
コトネに小声で、待機中の分隊はどうしているのかと聞くと、兵舎で糧食があるらしい。
今度、皆で食べにこよう。 基地内にいる間は食堂でも食べれるように基地を充実させておく必要もあるな、なんて考えながら食べていたらいつの間にか全部綺麗に平らげていた。
「そうだ、ベルンさん。 この近くで薬草が採れる場所と言うとどこでしょうか?」
「薬草かい? 駆け出しの冒険者なんだねぇ。 門を出て北の方の丘を越えたところで良く採れるらしい」
「ありがとうございます。 昨日登録したばかりでこれから冒険者生活のスタートです」
良い情報を聞けた。 礼を言って席を立つ。
部屋が空いていれば、また来ますと女将に伝えて外に出る。
まだ薄暗い通りを門へと向かうが、自分達を見張っていた2人はどこかへ消えてしまっていた。
『コトネ、気付いたか?』
『はい。 すでにどこかへと消えたようですが』
無線機を使ってコトネとやり取りをする。
首にチョーカーのように巻いている無線機に手をあて口を動かさない様にしてでも話せる。
見張られているだけで、何も無かった事が逆に怖い。
せめて、こちらから何か行動をすべきだったかと思うが今となっては仕方ない。
何があっても、対処可能にすべきだろうと考える。
今は考えてもしょうがないのだから、頭を切り替える。
門から出る前に、屋台が出ておりサンドイッチと果物を搾った飲み物を購入。
「コトネ、街を出たら分隊を出そうと思うんだが、どう思う?」
「良い考えかと思います。 まずは薬草を集めるのですか?」
「そうだね。 それ以外にも考えている。 今日は昼頃に呼ばれているから服装もどうにかしたい。 魔物がいるならいくらか倒しておきたい」
「了解」
冒険者証を提示して街を出ると、三日月亭の女将に教えてもらった場所へと向かう。
丘を越えると、川が流れていた。 川を越えると、森が見えた。
街から見えないところへと向かうと、分隊を呼び出す。 街の外では何が出るか分からないのだ。
ちゃんと装備は忘れない。 コトネには、
8名が揃い、イラストを見せながら薬草を採取するように指示を出して草原へと散らばってもらう。
コトネが、分隊の監督をしてもらい、自分は基地へと戻ると、昨日助ける事になった少女を司令室から連れ出してきた。
神様は、まだ眠っていたので何も言わずに出てきたのだが、また次戻った時には何かお土産を持っていこうと思う。
丘へ戻ると、薬草の採取で広範囲に分隊が広がっている。 2名ずつに別れて採取しているようだ。
すると、グゥッと大きな音がすぐ横から聞こえてきた。 そちらへ視線を移すと、少女が照れているようで俯いていた。
少女はかなりお腹が空いていたようで、サンドイッチと飲み物を渡すと、物凄い勢いで頬張りあっと言う間に平らげてしまう。
しかし、よく見ると昨日出会った時とだいぶ印象が変わって見える。
ほのかに石鹸の匂いもするから、お風呂に入ってきたようだ。
毛並みも茶色と思っていたが、汚れていただけらしく今は白くなっている。
「すまない、お腹を空かせてしまっていたね」
「別に、いいです。 僕はあなたの奴隷ですにゃ」
「君はもう、奴隷じゃないよ」
「奴隷じゃないとどうにゃるにゃ?」
奴隷じゃないとどうなる、か。 一般市民に戻れるじゃないか。
しかし、一人称が僕っ娘とは……。 猫又族恐るべしである。
背丈は、妖精と同じくらいであるが、違うのはやせ細っていて顔色もどこと無く悪く見えていたが、今は多少回復しているようだ。。
「年齢は幾つ?」
「13、成人したにゃ」
わざわざ嘘を言う事もないだろうし、信じる以外には分からない。
名前はと聞くが、それは無いと言われた。 ただ、番号で呼ばれていたそうだ。
亜人の種族の中でも人口の多い、猫又族と呼ばれる種族で、機敏な動き、闇夜に溶け込む技術など聞いた印象では忍者のようだ。
装備も、軽装を好んで装備しているそうだ。 現在も出会った時と同じ皮製の鎧を着ている。
ちなみに、隷属の首輪はとっくに神様が外していた。 効力も無くなっているが、昨日の今日である為、ただの首輪になった物を着けてもらっていた。
着ているのは布切れを縫い合わせたような服だけで昨日は着けていた鎧などの装備は無く、剣などの武器も携帯していない。
ジッと見つめていると、手の作りは人間と同じように指がありそれで物を掴んだり出来るそうだ。
「そっか、君も名前が無いんだね。 うーん、番号で呼ばれる前は無かったのかい?」
「はい。 僕の両親が奴隷だったにゃ。 僕の身体能力が高くなければ今頃は身体を売っていたかもしれないにゃ」
身体はこれでも清いままだよと言って笑う。
彼女がどんな経験をしてきたか想像する事は出来ないけれど、せめて自分が助けたのだから自分の幸せを探して欲しいものだ。
だから、奴隷じゃないとどうなるなんて聞いてきたのかもしれない。
「君はこれからどうしたい?」
「そりゃ、ナオトさんに助けてもらった恩を返したいにゃ」
「そんな事は気にしないでいいよ。 勝手に手を出しただけだ」
「それでもにゃ。 猫又族は3日経てば受けた恩を忘れるって言うけれど、僕は絶対そんな事にならないにゃ!」
気合を入れすぎているのか、今にも飛び掛ってきそうである。
でも、聞き捨てなら無い事を言っていたぞ、3日経てば忘れるのか……。
その話は取りあえず置いておこう。 本人が大丈夫だと言うのだ。 それを信じよう。
「一緒に居たいと?」
「そう、その通りだにゃ」
これも何かの縁だと思う事にした。
そうと決まれば彼女の名前と、服装と武器が必要だ。
そしてCPは必要、その為に魔物も狩る必要がある。
そうと決まれば、と立ち上がると目の前の猫娘を見つめる。 少女もまた、自分をじっと見つめていた。
タマ、シロ、ペットの名前じゃないんだ。
周囲を見渡すと、分隊員をコトネが指揮して薬草採取を続けている。 分隊全員の名前も考えなきゃいけないのだが……。
ふと、思い立った名前があった。 昔だが野良の子猫に名前を付けたのだ。 その子も白くて黄色い瞳の猫だ。
「ミィ、なんてどうかな?」
「ミィ?」
「あっ、すまん! ペットみたいな名前は嫌だよね」
自分のレパートリーの無さに、顔が熱くなっていく。
あの子猫も、ミィミィと鳴くからミィという名前にしたんだった。
「にゃっ! 僕の名前、ミィがいいにゃ! ミィだにゃ!」
良かった、気に入ってくれたらしい。
耳と鼻がピクピクと動いている。
チラリとお尻の方を見ると、尻尾も揺れていた。 猫又族と言っていた通り二又に別れているようだ。
「はっ!?」
妖精から、通信が入る。
何も言っていないのだが、何を言おうとしているのか分かるのは無線でも変わらないようだ。
初めての戦闘から、コトネの班に入れていた妖精の1人からの報告だった。
確か、おかっぱ頭の娘だったはず。 ここから山へと続く道があるようだが、そこから魔物が現れたようだ。
「分隊応戦用意! 魔物の特徴は……、隊長が1m程度の蜂が6体接近中」
コトネはと言うと、伏射の姿勢を取って狙撃の体制に入っていた。 新しく生産していたスプリングフィールドM1903A4を早速使用しているようだ。
感覚の問題だろうが5.56mm×45mm NATO弾を使用しているM4カービンよりも重い音がしたと思うと、1体の巨大蜂が地面へと落下していた。
「ご主人様っ、あれはキラービーにゃ! 肉食の魔物ですにゃっ!」
ミィが戦った事があるらしい。
硬い甲殻であり、剣などで倒すのが至難の業なんだそうだ。
初級の魔法、特に火の魔法に弱いらしい。 魔法が使えない冒険者には戦うには難易度が高い。
岩山に巣を作り、食料を探しに人里近くまでくるそうだ。 人や家畜、魔物まで獲物としている。
魔法も使えない自分達みたいな駆け出しの冒険者なら、街へ戻ってギルドに報告するんだそうだ。
自分が到着する時には、6体すべて撃破し終わっていた。 魔石を回収し、さらには麻痺針が3本素材として回収。
CPも、1体に付き250ポイントあったようで、6体分で1500ポイントも手に入っている。
確か、アメリカ陸軍の制服が1着400ポイントで作成出来る。 自分とコトネ、ミィの3着分はこれで作成出来るから、昼頃に予定されているカイラス団長のお誘いに着ていけそうだ。
余ったポイントで使用した弾薬を補給を済ませておくのも忘れない。
「どうするにゃ? キラービーがこんなところまで来るという事は山の方に巣が出来ているんだと思うにゃ」
「そうですね、対処は可能か?」
直に交戦した妖精にも確認するが、M4カービンの5.56mm×45mm NATO弾でも十分に対処は可能のようだ。
ただし、5.56mm×45mm NATO弾では弾薬が必要のようだ。
スプリングフィールドM1903A4の30-06スプリングフィールド弾の直撃弾は頭部だったらしい。
1発で倒せたそうだ。
「コトネも、狙撃見事だったと思う」
「ありがとうございます!」
薬草も、かなりの量が採れた様だ。
陽もそろそろ高くなってきたし、用意してカイラス団長の下へと向かわなければいけない。
薬草を布袋へと入れておく。 安くで売っていたから購入しておいてよかった。
分隊を基地へと帰投させ、コトネとミィと共に街へと戻る事にした。
街では、ミィが冒険者証を持っていないから入れないかと危惧したが、見張りの兵士がミィの首輪を見て「何かしたら責任は奴隷の持ち主にあるぞ」とだけ説明されて中に入れたのだ。
冒険者ギルドへとすぐに向かうと、キラービーが発生している事を報告する。
至急、依頼を出すそうだ。
冒険者のランクがDランク以上ある冒険者に召集をかけると言っていた。
巣の駆除にはかなりの危険を伴うのだからだ。
また、ミィの冒険者証をさっそく発行すると首輪を外させた。
「なんだか、スースーするにゃ」
首輪があった場所を手で擦り、気にしているミィである。
すぐに慣れるよ、と言っておくがミィは笑っているだけだった。
冒険者ギルドから出て、三日月亭へと戻る。
魔石と素材の麻痺針が高くで売れた。 魔石が1つで銀貨1枚だったのだ。 麻痺針は銀貨5枚である。
薬草は量り売りされているようで、今回は銅貨30枚になった。
最初、キラービーの報告をしたときに協会の受付は怪訝な顔をしていたが、魔石と麻痺針を見て顔色を変えていた。
確かに、自分達の冒険者証はFランクだから疑うのも仕方ないと思うが。
「コトネ、ミィ。 1度基地へ戻って制服に着替えてきて欲しい」
「はい!」
「にゃっ!」
2人が先に基地へと戻る。
基地へ入る前に、タブレットを呼び出すと早速制服を生産。
まずコトネの服装を制服へと変える。 アメリカ陸軍の式典で着たりする礼服だ。
ミィはどうしようかと考えると、編成画面にミィもいた。
悩んだが、すぐに制服へと装備を変える。
銃剣をミィには護身用に持たせておく。
自分とコトネは、ベレッタM92とその弾倉を腰へと装着しておく事を忘れない。
妖精達は装備は一切変えずにおく。
制服を来た2人が出てきた。
下はスカートだから、なぜかモジモジと足を摺り合わせている。
「あの、これは、スースーします」
「にゃ、ほんとにゃ」
女性が着用するとスカートに切り替わるらしい。
これはこれで、良いと思います。
「制服だから。 これが自分達の正式な制服になるよ」
「そっ、そうなのですか!」
「にゃ! ボク嬉しいにゃ!」
2人ともなぜか喜んでくれた。
「分隊長もすごく似合っております」
「にゃ! ご主人様もカッコいいにゃ!」
「あ、ありがとう」
自分が褒められるとは考えていなかった。
照れ隠しに、そっぽを向いてしまったが窓から外を見て慌てる。
「おっと、もう行かなきゃ。 護身用の武器は持っているけれどよほどの事が無い限りは使用は厳禁だ」
「了解(にゃ!)」
女将には晩御飯は外で食べてくると伝えて、待ち合わせ場所へと向かうのだった。
読んでくれてありがとうございます。
まだまだですが、これからも宜しくお願いいたします。