迷宮《ダンジョン》突破!
第17話、投稿しました。
長い時間を開けてしまい申し訳ありません。
また更新を再開したいと思います。
これからも、よろしくお願いします。
迷宮の主だった四本鎌のグラットンマンティスを倒した事で魔物が消滅している。
カガリ達の居る拠点にもキラービーが出てこなくなったそうだ。
登ってきた道を戻るが、グラットンマンティスもキラービーも現れる事は無く、まっすぐに拠点へと戻れそうだ。
「ミィは迷宮を攻略したのは初めてなのですか?」
「初めてだにゃ。 ここ何十年も迷宮は攻略されてにゃいんだよ?」
迷宮は現在、世界にどれだけあるのか確認されていない。
新しく生まれては消えているとされていて、シュウリス国内には20以上が確認されているそうだ。
過去に攻略された際に、倒された迷宮主が復活するまでの間は魔物が一切現れる事が無くなる。
その迷宮停止期間はその時々によって違う為、解明されていない。
「だから、こうして迷宮攻略にご一緒出来て光栄だにゃ」
「新しい迷宮だったからですよ」
「そんな事無いにゃ。 ここだって、グラットンマンティスが変に出てくるところがあったにゃ。 あれはすぐには攻略できにゃいよ」
十分な装備を持ったパーティーが、十分な物資を持って迷宮に挑戦してやっと攻略できると言う。
ミィが言うなら、そう言うことだと納得しておく。
拠点まで戻ると、カガリとミケが分隊を整列させて待機していた。
魔石とキラービーの素材を73式装甲車《APC》の後部兵員室へと積載し終えて撤収準備が完了していた。
「迷宮攻略、お疲れ様でした」
「にゃん」
「ありがとうございます。 カガリとミケも拠点防衛お疲れ様でした」
「勿体無いお言葉です」
カガリに指揮を任せていた第2分隊のH&K MP5の弾薬も補充しておく。
必要最低限の人数に絞り、妖精達は基地へと戻す。
自分、コトネ、ミィ、カガリ、ミケの5人で73式装甲車《APC》と共に迷宮を出るのだった。
シュウリス学園都市
冒険者協会はまるで蜂の巣を突いた様な騒ぎになっている。
それもそのはずだ、新しく出来た迷宮のウラル山、そこに出現するキラービーの異常発生。
しかも、キラービーは迷宮から外へ出ており、まだ目立った被害報告はないが時間の問題だと言われていた。
多数の冒険者から報告を受け、急遽冒険者を集めてウラル山の調査へと向かう手筈だった。
その為、依頼を張り出していた。 その矢先の事だった、迷宮を《ダンジョン》を攻略したと現れた為だろう。
「こ、これは……」
目の前に置かれた魔石の山を前にして絶句する受付だった。 今日はいつもいるアシュリーは見当たらない。
結局、全部を一気に運ぶには73式装甲車《APC》を街の中へと入れる必要があったのだが、それは今回は止めておいた。
ある程度道は舗装されているのだが、石畳を破壊する恐れがあったのだ。 自分達5人で運べるだけ運びながら、装輪式の輸送手段を確保する必要があると考え、生産リストを思い浮かべていた。
受付に並び、やっと自分達の番が周ってきたので持ってきた魔石を1つ机の上に置く。
「あの、これって……。 グラットンマンティスの魔石では?」
「はい。 ウラル山の中腹より上の階層とでも言いましょうか、そこからはこのマンティスしか現れませんでした」
「そんな馬鹿なっ!? あの魔物が生息が確認されているのは、木の多い森林型迷宮です。 それがウラル山だなんて」
「頂上には、4本腕の迷宮主もいました。 一応、撃破しています」
「4本腕?! 新種でしょうか。 情報はありますか? 買い取ります!」
鑑定させると言って、4本腕のグラットンマンティスの魔石を職員の1人が奥へと運んでいく。
それを横目で追いながら、見たまま戦ったままの情報を伝える。
それを、記録していくがこんな簡単な情報でよかったのだろうか。
迷宮内でだが、距離をとって戦うとグラットンマンティスが際限なく出現し続ける事も伝えておく。
「罠のような造りですね。 気が付かなければずっと戦い続けさせられる事になってしまう」
「そんな貴重な情報をまで……。 よく突破出来ましたね?」
「それは、仲間のお陰です」
「とても、素晴らしいパーティーなのですね」
そう言われて悪い気はしない。 振り返ると、後ろに控えているコトネ、ミィ、カガリ、ミケも嬉しそうに見える。
自分も、褒められて悪い気はしなかった。
「魔石ですが、これだけではないんです」
「えっ?! まだあるんですか?」
「えっと、はい」
結局、協会内部へと運ぶ為に協会の荷馬車と職員の手を借りることになった。
まず、荷馬車だけ借りて街の外へ出る。
73式装甲車《APC》を出して、妖精達の手も借りてから荷馬車へと魔石と素材を乗せ替える。
それを何度か往復して協会へ全て運び終えると、鑑定や素材の換金に時間が掛かると言われてしまい今日はキラービー30体とグラットンマンティス5体分の報酬だけを受け取る。
また明日、協会職員と共に攻略した迷宮へと出向く事になった。
協会職員に伝えた迷宮の情報に虚偽の報告が無いか確認する為である。
必要な手続きを終え、これからどうするかと考えていると協会の扉がバンと開かれた。
「あーっ!! イシダさん、なんで置いていったんですかっ!」
声のするほうへと視線を向けると、サァヤ、マリル、リルル、チセが任務に出る用意をして出入り口に並んでいる。
4人とも、迷宮へと向かう準備をしていたようだ。
サァヤが、自分の方へと歩み寄ってくると、身長差の為、下から見上げてくる格好となる。
「てっきり、一緒に迷宮に行くと思っていたのに起きたらいないんですもん。 びっくりしましたっ!」
サァヤ以外の3人も同じ意見のようでウンウンと頷いている。
こんなに詰め寄ってくるとは思っていなかった。
「しかもっ! ウラル山攻略って本当ですか??」
「えっ、えぇ。 まだ出来たばかりですからサァヤさんや皆さんを助けたところからすぐのところで迷宮主でした。 やっかいな罠はありましたが」
まさか、自分達が辿り着いたその先に迷宮主がいたとは思ってもいなかったのだろう。
サァヤも驚きを隠せないようだ。
「そ、そうだったんだ。 主はやっぱりキラービー?」
「いえ、グラットンマンティスと言うカマキリの大きくて、鎌が4本ありました」
さらに、頂上につくまでに悪質な罠を越えなければ進めない事を説明する。
「どのみち、今の私達には到底攻略は出来なかったんだ。 残念」
「それは分かりませんよ。 自分達も、今回はうまくいっただけかもしれません」
サァヤは、落胆しているように見えた。
「もし、良ければ協会の職員さんと明日一緒に行きますので、サァヤさん達も一緒に行きませんか?」
「行くっ!」
明日は絶対に着いていくと言うと、サァヤ達4人は協会から出ていった。
「あの、それでは明日はよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
明日は陽が昇る前に出発するとい言う。
サァヤ達にはも知らせる為、孤児院へと向かうが、出ていったきりまだ戻っていないと言う。
4人でいつもの協会の任務だろうと言うので、明日の集合の事を伝えるようお願いした。
今日も泊まっていかれたらどうかと誘われたが、今回は辞退しておく。
このままだと、毎日のお世話になってしまいそうだったからだ。
久しぶりに、三日月亭に泊まらせてもらおう。
女将のベルンさんに笑いながら、「生きてたかい?」なんて冗談を言われたが、元気そうで良かった。
「あれ? こないだは居なかった娘が増えたんじゃないかい?」
カガリとミケの2人がベルンさんに挨拶を済ませると、部屋を借りる事を伝える。
5人もいるからと、空いている部屋が一番大きな部屋を用意してくれた。
案内された部屋は大きなベッドが2つ、初めて借りた部屋とは大違いだ。
「ベッドは2人ずつで使って下さい。 組み合わせは任せます」
「あの、分隊長は?」
「そうです! もしよろしければわたくしのベッドでご一緒に」
コトネとカガリがグイっと寄ってくる。
ミィとミケもこちらの様子を窺っているように見えたが、コトネとカガリの気迫に怖気着いたようで、ベッドの1つを2人で使う事にしたようだ。
あのベッドの方が平和そうである、ではあるが、まずは2人をなんとかしなければ。
「コトネ、カガリ2人共聞いて下さい。 ミィとコトネは2人でベッドを使うそうです。 2人も同じベッドを使って下さい」
「カガリ?」
「コトネさん?」
満面の笑みで、2人に両腕を掴まれると、そのままベッドへと引っ張られていく。
「いや、そのですね? 2人で使ってほしいんです」
「分隊長も御疲れでしょう?」
「そうですわ。 是非ご一緒致しましょう」
「分かりましたから。 やる事が残っていますので、2人は先に寝ていて下さい」
なおも食い下がる2人を宥め、ベッドへ
疲れていたのだろう、横になるとすぐに寝息を立て始めた。
ミィやミケもとっくに寝息を立てており、夢の中にようだ。
タブレットを呼び出し、基地を開く。
見慣れた司令室が現れた。
「こんばんは、神様」
「やぁ、とりあえず迷宮攻略おめでとう」
「ありがとうございます』
司令室にある机の向こう側、椅子がくるりと回ると少女が現れた。
見た目はまだ幼いが、自分をこの世界へと呼び寄せた神様の1人だ。
「どうも、今回の迷宮は色々あったみたいだね」
「その様ですが、初めてだったので、まだ詳細が分かりません。 明日、協会職員と一緒に迷宮の調査に向かいます」
「今回の迷宮攻略でCPもかなり奮発しておいたからね」
迷宮攻略で追加されたポイントは、100万ポイントも入っている。
またこんなに貰ってもよいかと神様の様子を伺うが、ニコニコとしているだけだった。
「ありがとうございます、神様」
「なぁに、これくらいしか役に立てないんだ。 これくらいしか出来ないのが悔しいよ」
「いつも助かっています」
笑う神様は、見惚れるくらい可愛い。
「そう言えば、バルトス様はどちらに?」
「バルトスは、自分の神域を新しく創るんだとさ。 この基地のどこかだと思うんだけれど、今度招待するって」
「えっと、創るって出来るんですか?」
「ナオトが許可したからね」
「なるほど」
もしかすると、これからも増えるかもしれない。
それから、他愛の無い話を神様としていた。
また、何かお土産を持ってくること約束して基地を出る。
部屋へ戻り、早速生産リストを開く。
今回、魔石や素材を運ぶのに苦労した。 その為、73式装甲車《APC》も良いが、装輪式兵員輸送車も欲しいと考えている。
APCのような装軌式車両の様な不整地走破能力は劣るが、機動力の高さや価格も安価である事から火力支援や偵察と言った各種任務にも対応出来るのが良い。
但し、重装甲は施せず火力についても主力戦車には程遠い。
しかし、この米軍採用のストライカー装甲車には火力支援型として、105mm砲を搭載した物もあった。
名称 『ストライカー装甲車』
乗員 2人(後部兵員室9人)
ブローニングM2重機関銃×1
40mm擲弾発射機×1
このストライカー装甲車を2台用意し、第1、第2分隊共に機械化する事が出来た。
明日の迷宮への調査にはこういう装備を持っているとは言っていない為、使う事は無いだろうが、念の為用意はしておくのも悪くない。
タブレットを開いて作業するとつい時間が経つ事を忘れてしまう。
そろそろ寝よう。
明日もまた早いのだ。
結局は、この日は寝袋を用意しベッドは4人に譲って眠りにつくのだった。
第17話、いかがでしたでしょうか?
いつも読んで下さってありがとうございます!
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