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戦力増強、そして迷宮《ダンジョン》の調査へ

 第15話投稿します。

 孤児院の中はシンと静まり返っている。

 与えられた自室で、タブレットで色々と確認していく。

 現在、生産できる兵器は自分がいた世界と同程度の水準の兵器が開発可能となっている。

 銃、弾薬、各種車輌、航空兵器、艦船、色々だ。

 しかし、M3ハーフトラックを生産して分かった事ではあるが、やはり高い。

 しかも現代兵器になるにつれて高くなっているのが分かる。

 例えばだ、アメリカ海軍の保有する原子力空母の生産に必要なCPコマンドポイントは、どうやって貯めればよいのか分からない。

 キラービーをこの世界から絶滅させても足りない。

 やはり、艦船の類が高く、続いては航空機と言ったところだろう。

 陸上兵器でも、戦車なども手が出ないほどだ。

 M3ハーフトラックが手に入ったのは、本当に運が良かったのかもしれないし、逆に言えばあの時使ってしまったポイントを残しておけば良かったのではなんて悩みもある。

 今回、神であるバルトスの勇者であるサァヤを救出した事からうちの神様のアビーにバルトスが交渉して10万ポイントというかなり高収入はあったのだが。


 「ふぅ、これは中々難しい」


 分隊の編成はまだだったが、今回新たに2個分隊の人員を確保する事は出来た。

 副官サポートキャラは分隊に付き1人いるのだが、まだそちらには手をつけていない。

 FairyWarフェアリィウォーを開始した直後は、自分直属になる初めての分隊はスタートアップキャンペーンとかで、アメリカ海兵隊の装備が支給されていた。

 しかし、新たな分隊になると話は別だ。 プレイヤー自身で武器弾薬、各種装備を揃えていかなければならない。

 そこも、ゲームの醍醐味でありまた他のプレイヤーと協力する事で最初に配属される分隊だけでも楽しめると言う訳だったのだ。

 現在の主力は、M4カービンだから弾薬及び弾倉を共有出来るようにしたい。

 3個分隊全てを歩兵ライフルマンにすべきか悩む。

 M3ハーフトラックを増やすのは、正直勿体無い気もしてきたのだ。

 ただ、ビッグボアクラスの魔物が出た際に自分達が太刀打ち出来ないという事にはなりたくなかった。

 傷を負ってはいたから、倒せない相手では無さそうだが相手によって武装の切替も必要では無いだろうか。

 武器の生産リストから、重機関銃の項目を開きある1つの重機関銃に辿り着く。


 名称『ブローニングM2重機関銃』

 使用弾薬12.7mm×99

 ベルト給弾式

 有効射程 2000m


 戦車や装甲車などの車載機銃、艦船の対空機銃、航空機の搭載機銃と陸海空のあらゆる用途で使用されている。

 100年以上経った現実世界でも、使い続けられている傑作重機関銃だ。

 使用している弾薬の12.7mm×99の射程距離は2000メートルと長射程で、遠距離対人狙撃の成功例もある。

 『バレットM82』の開発参考例にもなっている。

 迷わず、1丁を生産する。 もちろん、12.7mm×99の弾薬も1000発を確保。

 専用の弾薬箱にベルト給弾方式として保管しておく事にした。


 この武装はM3ハーフトラックに取り付けられる。

 取り付けられるが、心許無い感じがするのだ、装甲車で何か無いかとリストを確認していくと所持しているCPコマンドポイントで購入できるものがあった。


 名称 『73式装甲車《APC》』

 乗員 4人(後部兵員室8人)

 武装 固定武装無し。 ブローニングM2重機関銃×1 7.62mm前方車載銃×1装備可能。


 自衛官だった頃に操縦する為、免許を取らされたのを覚えている。

 各駐屯地の部隊から何人も集まって操縦訓練したなぁ、と感慨深い。

 M3ハーフトラックを解体しCPコマンドポイントへする。

 もっと良い物はあるのだろうが、つい自分が使用していた物と考えれば悪くない選択肢だと思いたい。

 思い入れのある車輌なのだ。

 2個分隊に1台の73式装甲車《APC》を配置しておく。


 「副官サポートキャラは作成出切るとは言うけれどっと」


 タップして開くと、選べる項目が増えている。

 前回はコトネを作成した時には、性別しか選べなかったが今度は種族が選べるようになっている。

 ミィと同じ種族の猫又が選べるようになっていた 性別は女性しか選べないようだ。

 可能性としては、ミィを仲間にしたからだろうか。

 副官サポートキャラを猫又にすると、部下になる分隊員も猫又になるようだ。

 ミィの能力を見ると、1個分隊を揃えておきたい気もする。

 エンターキーを押して、猫又族の1個分隊を編成し終えた。

 もう1個分隊は、人族だ。 技能スキル値が平均値だからで、覚えられない技能スキルが無いのだ。

 猫又族の技能スキル値では、車輌や航空機関係の技能スキルを持てない。

 その代わりに戦闘技能スキルが初期値から高い。

 例えばだ、ミィのステータスだと


 隠密 4

 射撃 1

 白兵 4

 指揮 1


 と戦闘に特化しているようだ。

 射撃能力はあまり高くは無いようだが、ミィは使えないが弓が得意な者もいるそうだ。

 近接戦闘能力が高いと思う。 あと、隠密も高い事から偵察にも向いているだろう。

 その代わり、車輌関係の技術スキルはてんでダメだ。

 ポイントを振ろうと思っても選べない項目になっていた。


 第2分隊の副官サポートキャラをまず作成する。

 人族で髪型は、黒のロングのストレート。

 コトネとは違い、眼鏡は無し。 目は丸く大きい瞳で美人と言うよりは可愛らしい。

 第3分隊は、猫又族。

 頭頂部には、大きな耳があるがミィとは垂れ耳。

 瞳は細く糸目である。

 2人とも、妖精フェアリィだから身長は140cm程度であった。

 名前は、人族が『カガリ』、猫又族は『ミケ』となった。


 「カガリ着任致しましたわ」

 「ミケ、着任したにゃん」

 「ナオトです。 宜しくお願いします」

 「宜しくだなんて言わないで下さいまし。 どうぞご命令下さい。 私達は分隊長の為なら命を捨てる所存でありますわ」

 「にゃん!」


 コトネの時もそうだったのだが、なぜこうも彼女達は自分に対して盲目的なのだろうか。

 これもゲームの設定から来ているのだろうが、不思議なものだ。

 あとは、残されたポイントで彼女達と分隊の装備を揃えていく。

 迷彩服は全員分は元からあるので、武器だけは最低揃えていく。

 弾薬が、5.56mm×45mm NATO弾が1番多く用意しているのでなんとか全員で使えるように装備を選びたい。

 弾薬自体が、現代の装備に多く使用されているので弾薬を共有するべきだ。


 「まだ、分隊に武器を支給し切れていません。 これからになると思います」

 「はっ、わかりました。 それまでは待機でしょうか?」

 「いえ、多少の戦闘を経験してもらいたいです。 問題ありますか?」


 2人とも首を横に振る。


 「よしっ、それではまた後で通達します。 1度、基地ホームへと戻ってほしいのですが」

 「よろしいでしょうか、分隊長」


 カガリが、挙手して質問していいかと問う。

 なんだろうかと、先を促す。


 「あの、ですね。 先任のコトネ伍長やミィさんは分隊長とご一緒された時間が長いと聞きます。 私達も今日はご一緒させていただけないでしょうか」

 「お願いしますにゃん」


 いったい彼女達は何を言い出すのだろうか。 こめかみに手をあてると頭を整理する。

 ようは、自分達も一緒に過ごす時間がほしいという事だろう。 いや、意味が分からない。


 「いや、ちょっと待って下さい。 何を言っているのかわかってますか?」

 「分かっていますにゃ。 それでもですにゃ」

 「でも、寝ますよ? 明日も朝から早いですし」





 「どうしてこうなった?」


 何時いつかのデジャヴである。 陽が昇る前に起きて行動しようと思えば動けない状況だった。

 右手はカガリ、左手はミケが腕枕として使用している。

 眠る時は、同じ部屋で一緒に眠れるだけでいいなどと言っていたが、朝目が覚めたらこうなっていたのだ。

 彼女達が来る前に、ここから抜け出さなければならない。

 起こすと、また昨夜の様に一緒にとか色々と言われそうだったから、腕を引き抜こうとする。

 しかし、彼女達は掴んで離さない。

 幸い、部屋には扉が付いており鍵も付いていた。

 閉めていたはずである。 2つの足音が近付いてくると扉をノックする音がした。


 「おはようございます。 分隊長」

 「おはようにゃ!」

 「失礼します」


 静止する間も無く、扉が開け放たれ2つの影が部屋の中へと入ってくる。


 「なっ!?」

 「にゃ?!」


 2人の纏う空気が変わった。

 ここには、クーラーなんていう部屋を冷たくする機械は無いはずだ。

 しかし、実際には部屋の温度が下がったように感じる。


 「イシダ分隊長、これはいったい?」

 「知らないおんにゃのこ、おんにゃのこ、おんにゃのこ」


 強烈なプレッシャーに当てられたのか、寝ていた2人も起き出した。

 「ひぅ」と息を呑む音がする。


 「あー、えっとですね。 コトネ、ミィ。 彼女達は新たに配置されたカガリとミケです」

 「初めまして! カガリと申します」

 「ミケにゃん!」


 直立不動になった2人の傍で、自分も背筋を伸ばして立つ。

 コトネとミィの2人も同じように自己紹介をしていた。

 しかし、顔は笑っていない。


 「新しい仲間だから、みんな仲良くしてほしい」


 全員から了解、と聞いてやっと一息つけた。

 タブレットを開き、第1分隊の編成から妖精フェアリィを2人外し、カガリとミケを編成しなおす。 装備も彼女達に変更しておく事も忘れない。

 こうやって同一の分隊に編成出来る事で新しく作成した副官サポートキャラの育成もする事が出来るのだ。

 第2、3分隊の妖精フェアリィには装備が揃うまでは待機していてもらう。

 全員にその旨を通達し、装備を確認すると孤児院を外に出ようとする。

 まだ全員が寝ているかと思い、置手紙を残して行こうとしたのだが院長であるエイリスさんが待っていた。


 「おはようございます、ナオトさん。 あら、昨日お会いしていない方もいらっしゃいますね?」

 「あぁ、彼女達も自分の仲間です。 すみません、突然人数が増えてしまって」

 「いえいえ、お気になさらずに。 サァヤ達にはわたしから言っておきましょう」

 「助かります。 まぁ、また会えると思いますから」


 エイリスさんに礼を言って外へと向かう。

 門を出てから73式装甲車《APC》を基地ホームから呼び出し、妖精フェアリィも呼び出す。

 車長席に自分が座り、ブローニングM2重機関銃にはカガリ、正面から見て右側ある7.62mm前方車載銃にはコトネが座る。

 妖精フェアリィの1人に操縦は任せて残ったミィ、ミケと妖精フェアリィ4人は後部兵員室に乗ってもらう。

 さらに、弾薬と衛生キットを積載して向かうは迷宮ダンジョンである『ウラエ山』へと進路を取る。

 タブレットを起動、地図マップを開いて周囲の魔物の存在を確認するが15km圏内に何体か反応はあるがここから向かって倒すには距離があった。

 『ウラエ山』だけは、地図マップでは魔物の状況が分からない。

 迷宮ダンジョン内部に入って地図マップ機能を使うと自分の通った場所が判明していてさらに魔物の位置も表示されるのはそう言う仕様なのかもしれない。

 ウラエ山の麓へと到着、操縦を担当する妖精フェアリィ、ブローニングM2重機関銃、7.62mm前方車載銃にも妖精フェアリィを配置して73式装甲車《APC》の直衛にし自分とコトネ、ミィ、カガリ、ミケは降車して徒歩で進む。

 理由としては、迷宮ダンジョン内部ではキラービーは前後左右から現れた。

 乗ったままだと戦いづらいと考えてである。


 「コトネとカガリは後方を。 ミィとミケは前方をお願いします」


 自分は、妖精フェアリィ2人と73式装甲車《APC》の横について歩く。

 迷宮ダンジョンに入ってすぐにキラービーが現れる。

 M4カービンでしっかり狙いを付け近付かれる前に撃破していく。


 「3体撃破ですわ!」

 「4体倒しました」


 コトネとカガリが競うようにキラービーを倒していく。

 ミィとミケは、同じ猫又だからか動きは機敏でベレッタM92を持たせておりキラービーを翻弄しながら戦闘を続けていた。

 今回は、キラービーの魔石マナストーンも残した素材の針や、羽を回収しながら進んでいくと目的地としていたサァヤ達を救出した場所に到着した。

 道の広さが程よく、開けているからここを拠点にしようと思ったのだ。


 「コトネはここを任せます。 カガリとミィ、ミケはコトネの指示に従ってください」

 「しかし! イシダ分隊長はどうなさるのですか?」

 「自分は、妖精フェアリィを連れてもう少し先へと進んでみます。 前回も、ここより先には行けませんでしたから」


 何か有れば無線を使ってくださいと伝え、73式装甲車《APC》に積載していた弾薬箱から弾薬を補充する。

 妖精フェアリィの1人は、衛生キットを使用出来る為、念には念をと持って行く事にした。


 「ここを仮の拠点にして迷宮ダンジョンの調査を続けます。 コトネ、頼みますね」

 「はいっ!」


 コトネだけでは他のメンバーに嫌な思いをさせるかと考え、ミィ、カガリ、ミケにも同じように頼む。

 嫌な顔をしなかったので、大丈夫だろう。


 「状況によっては、ここは放棄して麓へ撤退してください。 M2の使用は判断に任せます」

 「了解」


 M4カービンに弾倉を装填しなおし、必要になりそうな物を持って先へと進む。

 後方、73式装甲車《APC》のある拠点からは散発的ではあるがM4カービンから放たれる射撃音が響いてくる。

 今のところ、ブローニングM2重機関銃を使うような大物が出現はしていないようだ。

 妖精フェアリィは2人が自分に続いている。

 襲い掛かってくるキラービーの魔石マナストーンだけは回収し、嵩張る素材は置いておく。

 帰りに拾えるなら拾って帰ろう。

 岩肌の多い山で背の低い藪はあるが木は植生していないようだ。

 地図マップを開き、行き止まりの道や洞窟など記録していく。

 そろそろ、中腹あたりに差し掛かる。 ここまでは報告されているようだ。

 この先が問題だろう。 73式装甲車《APC》ではこの先上ってはいけなさそうだ。

 道幅が狭くなっている。 冒険者も戦いづらいだろう。


 「!」


 妖精フェアリィの警戒が強くなった。

 何事かと妖精フェアリィの視線の先を見ると、キラービーが何かと戦闘しているようだ。

 しかし、相手は人でも無い。 また1体のキラービーが真っ二つになる。

 数体で囲んで襲い掛かっているようだが、腕に当たる部分を振るとまた1体が地面へと落ちて動かなくなる。

 勝ち目が無いと分かったのか、キラービーは向きを変えて逃げようとするが、その腕の届く距離から離れる前に捕まってしまった。

 逃げようともがくキラービーを両の手で掴み、そのまま頭から齧り付いている。

 その姿がはっきりと見えてしまった。

 身体は前後に長く、6本の脚のうち前肢が鎌状になっている。

 その鎌は棘があって掴んだ獲物を離さない。

 頭部は逆三角形で大きな2つの複眼と大きく開く大顎。 さらには、頭部を支える部分が柔らかいからか首の稼動範囲が広い。


 「蟷螂カマキリだなんて最悪だ。 こっちに気が付く前に一度拠点に戻ろう」


 しかし、妖精フェアリィが動かなかった。

 すぐにM4カービンを構えると、射撃できる位置に付く。

 それもそのはずだった。 あの2つの眼がこちらを捉えている。

 距離は15m程度だろうか。 この距離なら外さない。


 「うてっ!」


 5.56mm×45mm NATO弾が3人のM4カービンから放たれる。

 少しでも命中率を上げる為、自分は膝撃ちの姿勢を取っていた。

 蟷螂カマキリの動きはキラービーよりは機敏のようだ。

 すぐに元いた位置を変えると、右側の岩壁へと張り付いてそのままこちらへと進んでくる。


 「鎌は硬いのか!?」


 5.56mm×45mm NATO弾では通らないのか。

 鎌を振りかぶった際にがら空きになった頭部に1発の弾丸が通った。

 効果があったようで、一度大きく仰け反る。

 動きが止まった蟷螂カマキリにこれでもかと、銃弾を浴びせやっと動きが止まった。

 鎌を避けて攻撃しなければならないようだ。 魔石マナストーンもキラービーよりも大きく、ビッグボアの魔石マナストーンと同じくらいの大きさだ。

 ミィにもこの蟷螂カマキリの事を確認しておこう。

 弾倉を入れ替え、先へ進もうとしたがその足が止まった。

 また別の個体が道の向こうから現れたのだ。

 一度、後退してあれの情報を手に入れてから戻ってこよう。

 また別の個体が現れるかもしれない、周囲の警戒を続けながらコトネ達のいる拠点へと戻るのだった。

 いつもありがとうございます。

 少しずつブックマークも増えて読んでくれる方が増えていると感じています。

 やはり嬉しい物です。

 ご意見ご感想お待ち致しております。

 また次回も楽しみにしていてくださると嬉しいです。

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