FairyWar《フェアリィウォー》
第一話始まります。2016/9/23改訂していきます。
部屋で1人黙々とテレビとゲームの配線を繋ぐ男の名前は、石田直人と言う。
年齢は、21歳。自衛官である。
身長は、185cm。
体重は、98kg。
学生時代はまだ体重も軽かったのだが、3年の間にガッシリとしている。
そんな自分のあだ名は、「ゴリラ」だ。悪ふざけであるが、ちょっとショックだったのは言うまでもない。
確かに、顔はイケメンでもキモメンでもなく普通の何処にでもいるようなレベルだと思う。
仕事以外は、これと言って特徴は無い。
そんな、自分は今何をしているのかと言うとネットで知り合った友人に勧められたとあるゲームのセッティング中だった。
前々から興味はあったのだが、勧められたのを機に挑戦する事にしたのだった。
ゲーム機とテレビのセッティングは完了した。
某ネット宅配を使用し取り寄せたゲームを開封する。
二次元の美少女が、各国の軍服を身に纏い銃を構えている表紙だった。
大きなタイトルが目立つように描かれている。
FairyWar
『Massivery Multiplayer Online Role Playing Game』
通称、MMORPGである。
世界中のプレイヤーと協力し、時には敵対しながらゲームを楽しむことが出来る。
さらに、このゲームの凄いところはNPC、妖精と呼ばれるプレイヤーでは無いキャラクターを自分の部下として指揮し戦うことが出来る。
また、プレイヤーは階級が設けられており、自分の階級が上がる事で指揮する事が出来る部下が増えていく。
プレイヤー同士は、指揮する妖精と協力し隊を作ることも出来るのだ。
小隊、中隊、大隊と大規模な戦闘も想定されており、さらに師団や旅団の一員として戦う事の出来る大型アップデートも控えているそうだ。
それも、新たに開発されたスーパーコンピューターのお蔭だそうだが、正直、自分には凄さがあまり分からないし、そんなモノなんだなとしか意識していない。
次に、このFairyWarには、特徴がある。
ゲームでプレイヤーを補助する、【副官】の存在である。
部下が増えると言う事は、増えれば管理が難しくなる。指揮管理するのは、1人で頑張れば出来なくはないが、よりスムーズに行えるようにするゲームのサポートだ。
副官の人数も、プレイヤーの階級も増えていく。
現時点では、最大で3人までとなっているそうだ。
部下については、副官を含めて妖精と呼ばれる兵士を指揮していくことになる。
彼女達は、人工知能が搭載されておりプレイヤーの戦闘スタイルによって戦場での戦い方が変わっていくのだ。
MMORPGだが、1人でも出来る安心設計でもある。
恥ずかしながら、コミュニケーションが苦手な自分にとっては大いに助かる仕様だ。
仕事では、上手くコミュニケーション取れていると思うが、プライベートでは苦手なのである。
このゲームの特徴でもある、部下となって指揮する妖精については、プレイヤーの階級に応じて編成ポイントがあり、その編成ポイント内で編成し戦うことになる。
兵士の数や陸海空の兵器によっても必要なポイント数が変わる為、注意が必要だ。
編成ポイントを超過しての編成は出来ない。
また、その使用する武器や陸海空の兵器、消費した弾薬の補給等はCPと呼ばれるこのゲームでの通貨が必要になる。
何でも、すぐに使えると言うわけでは無い。
CPの増やし方は、単純である。ゲーム中で発生する任務をこなしていけば良い。
評価に応じて、CPが手に入ると言うわけだ。
これを、手に入れなければ何も出来ないに等しい。
一通り、ゲームをするのに必要な情報を読み終わりゲームを起動する。
軽快な音共にゲーム機が起動する。
このゲームでは、ヘッドセットとグローブを着用する必要がある。そうする事で、ゲーム内で実際に物を触ったり見たりすることが出来るのだ。
ヘッドセットを付けると、視界いっぱいにメーカーロゴが入りオープニングが始まった。
ノンビリ眺めていると、画面が一度暗転する。
目の前には、名前を記入する紙とペンが現れた。
ナオト・イシダと記入する。
段々と明るくなってきた。
「良く来た、貴様の着任を歓迎する!私は、アックスマン軍曹だ。まずは、テーブルの上にあるタブレットを確認しろっ!」
目の前に突然、厳つい男が立っていた。
頭は剃り上げて、ツルリとしている。片目には大きな傷跡がある。
身体も身長は高く、ガッシリとしており肌の黒さで黒人かと思われる。
いかにも、教官の様なスタイルだと思った。
実際に、タブレットを持っているわけでは無いのだが、グローブを通して何かを持ったと言う感覚が伝わってくる。
これは、本当に凄い。
チュートリアルだからだろう。タブレットの電源ボタンの場所に矢印が出ている。
ボタンを押すと、早速、タブレットの画面に明かりが灯った。
スマートフォンを使用しているので、操作には問題無さそうである。
タブレットのホーム画面には、全部で9つのアイコンが並んでいた。
【基地《ホーム】
【自分の指揮する部隊が待機する場所。ここでは、妖精や、NPC《ノンプレイヤーキャラクターと交流することが出来る】
【また、フレンドとして登録したプレイヤーを招待する事も出来る】
【階級に応じて、使用出来る施設も増えていく。開発レベルが必要になる施設もある為、注意】
【使用可能施設は、司令室、兵舎】
【編成】
【指揮する部隊を編成する事が出来る】
【最小単位は1人であるが、階級に応じて現在は大隊まで編成出来る】
【部隊数が増える事で、一括編成も使用可能。編成ポイントを超過しての編成は出来ない】
【生産】
【部隊に必要な、武器、弾薬、各種兵器を生産する事が出来る】
【階級及び開発レベルを上げることで既存の兵器から架空の兵器を生産することが出来る】
【生産には、CPが必要である】
【開発】
【武器、弾薬、各種兵器を開発する為に必要】
【陸海空及び宇宙の4つの分類に別れてレベルが設けられている】
【レベルは、CPを消費してレベルを上げられる】
【また、既存の兵器だけでは無く架空の兵器を生産する為にもレベルを上げる必要がある】
【倉庫】
【現時点で保有する各種武器、弾薬、兵器の備蓄状況が分かる】
【ステータス】
【プレイヤー、プレイヤーの率いる部隊の各種ステータスの確認が出来る】
【副官、妖精の作成】
【アプリ】
【FairyWar内で使用出来るアプリをインストール出来る】
【CPが必要】
【メール】
【フレンドからの連絡、運営からのお知らせが届く】
【設定】
【ゲーム内部の各種設定の変更が出来る】
【ログアウトもここから出来る】
タブレットを使いこなすには、一苦労しそうだ。
ゲームを続ければ追々慣れていくだろう。
さて、ステータスの項目がある。
ゲームのプレイヤー、副官、妖精には階級がありそれに応じたステータスが設定されている。
また、ステータスの他に技能と呼ばれるゲームをする上で必要なものだ。
階級が上がると、SPが手に入り、それを技能に振り分けることで効果が上昇する。
1番分かりやすいのは、運転の技能が無いと車両の操縦は出来ないのだ。
運転する為には、車両の技能を最低でも1つ上げねばならない。
技能が上がることで色々と補正もかかる。
また、技能が一定値を超えないと操作出来ない場合もある為、大事なものだ。
プレイヤーステータスを開いて、確認してみる。
【氏名 ナオト・イシダ】
【階級 3等軍曹】
【所属 無し】
【技能】
【開発 1 兵器と開発】
【家事 1 炊事等、家事全般】
【医療 1 医療全般】
【事務 1 事務関係】
【隠密 1 敵に発見されにくい】
【整備 1 各種武器や兵器の整備】
【強運 1 運の強さ】
【射撃 1 5mから500m以内の射撃武器による命中率】
【狙撃 1 501m以上の射撃武器による命中率】
【白兵 1 格闘による攻撃への補正、5m以内の射撃武器による命中率】
【車両 1 車両関係の運転及び操縦】
【航空 1 航空兵器に関する操縦】
【航海 1 海上兵器に関する操縦】
【指揮 1 副官、妖精の指揮及び指揮範囲】
技能に関しては、プレイヤーキャラ、副官、妖精毎にも設定されている。
プレイヤーに関しては、レベルは1で統一されている様だ。
そこまで確認すると、一度タブレットの操作を終える。
まだ、チュートリアル中には使えない機能も多い様だ。
「問題は無いなっ!それでは、これより貴様の身体能力のテストを始めるっ!着いて来い!」
アックスマンが声を張り上げる。
くるりと向きを変えて、駆け足で先を進んでいく為、置いていかれない様に自分も慌てて走り出した。
移動の動作等は、ヘッドセットが思考を読み取って反応するとかで凄い技術を使用しているようだ。
どこまで行くのだろうか、しばらく進んで到着したのは浜辺を射撃場にしている様だ。
海に向かって50m程先に的が置いてある。
「まずは、貴様の射撃の腕を見させてもらおうか。目標に向かって撃つ、それだけだ。やってみろっ!」
アックスマンの指差す先には、長テーブルがありその上には2丁の銃が置いてあるのが見えた。
アサルト・ライフル、ハンドガンが1丁ずつだ。
長テーブルへと近付き、銃を確認すると名称と使用する弾薬と射撃モード、有効射程距離、装弾数の5つが表示されていた。
【名称 M4カービン】
【使用弾薬 5.56×45mmNATO弾】
【装弾数 20/30発弾倉使用】
【射撃モード 単射 3発連射】
【有効射程 500m】
【名称 ベレッタM92】
【使用弾薬 9×19mmパラベラム弾、40S&W弾、9×21mmIMI弾】
【装弾数 10/15発弾倉使用】
【射撃モード 単射】
【有効射程 50m】
早速、M4カービンを手に取ってみる。
グローブのお陰で、掴んだ感触がしっかりと伝わってくる。
ただ、ゲームだからか重さまでは分からないような気もする。
銃自体が軽いだけかもしれないのだが、訓練で使った64式小銃を両手で保持したまま延々と走らされたハイポートはキツカッタ。
体力が付いた今では、マシになったから良かったもののあえてまたやりたいとは思えない。
おっと、M4カービンに集中しよう。
弾倉を確認すると、用意されているのは20発入り弾倉である。
傷や凹みがないか確認する。
次に、銃本体も確認する。安全装置はちゃんと掛かっているのを確認し、槓桿を引いて薬室を確認。
槓桿を戻して、安全装置を解除。銃口を空に向けて引き金を引く。
引き金の動作も問題ないようだ。
再度、安全装置を掛け直し、弾倉を装填する。
もう一度、槓桿を引いて弾薬を薬室へと送り込む。
このM4カービンは、アタッチメントなどは何も付いていないまっさらな状態である。
その為、照準を付けるのは銃本体に元々ついている照準器を使う必要があった。
銃床部分を肩と鎖骨の間にある窪みに肩に引き付けるようにして構える。
照準が出来るように、顔の高さまで持ってくる。
照準は、2つのパーツを使用する。
顔の方にあるのは、照門、銃口側には照星gと呼ばれるパーツが標準装備となっている。
照門に空いた穴が空いており、照星と射撃する目標が一直線になる様に狙いを付け、引き金を引く。
風や重力、引力も考慮する必要があるが50m程度であれば当てられると思う。
立ったままでの射撃、立射でもより実戦的なオフ・ハンドと呼ばれる姿勢で的に狙いを付ける。
足のつま先と銃の軸線は同じになる様にする事で姿勢に無理がないように出来る。
利き腕では無い方の手、自分の場合は左手なにだが親指と人差し指でVの字になるように形を作る。
そこに銃を乗せるように保持する。その際、左手には力を込めてはいけない。
銃を支え目標が動くならば銃口をそこへ向ける必要がある為添えているだけである。
また、呼吸でさえも狙撃には影響が出る。
息を吸って吐き出してそこで息を止めた。そうする事で、銃口の振れ幅が小さくなるのだ。
自分のタイミング、照門、照星、目標の的が真っすぐに重なる時が来る。
そのタイミングに合わせて引き金を引くのだが、その時も気を付けないといけない。
慌てて指に力を入れて引き金を引くと、そのせいで銃口がブレて目標に命中させる事が出来ない。
ガク引きと言うのだが、訓練では散々注意された事だった。
安全装置を解除し、狙いを付ける。1度、2度、3度と引き金を引いて行く。
「ほぅ、やるじゃないか」
アックスマンに褒められて悪い気はしなかった。
M4カービンを長テーブルに戻して、ベレッタM92を手に取る。
職務では実際には、触った事のない銃の種類である。
ただ、知識では知っているし映画やゲームでは使った事もあるせいか、難しいとは思えなかった。
アイソセレス・スタイルと呼ばれる射撃の姿勢を取る。
構えた身体を正面、そして上から見ると二等辺三角形に見える事からそう名付けられた姿勢だ。
両足は肩幅よりやや広く開き、両膝を軽く曲げて反動を吸収する。
また、左右に銃を振りやすく、狙いを変更しやすい事もこの姿勢の利点である。
両腕は、肘を軽く曲げて銃の反動を抑える様にしなければいけない。
特に、ベレッタM92の様な自動拳銃になると反動を抑えてやらないと動作不良になる為、注意が必要になる。
後は、安全装置を外し狙いを付けて撃つ。
装填されていた9mm×19mmパラベラム弾を撃ち尽くして、的をアックスマンが確認する。
的の中央付近には弾痕は集中していたが、アックスマンは鼻で笑う。
「まだまだだな、このまま精進する様に。次に場所に行くぞ、着いて来い!」
銃を戻し、駆け足で進むアックスマンを追いかける。
次に到着したのは、被服室となっていた。
「ここでは、貴様の被服を支給する。とっとと受け取って来い」
中に入ると、名前の無い兵士から被服の入った袋を渡される。
更衣室があり、そこで着替えるように指示された。
戦闘服に着替えるのには慣れていたが、米軍使用の戦闘服の為に少し戸惑ってしまった。
服に入っていたのは、都市型迷彩の戦闘服上下と戦闘ブーツだ。
自衛隊の物とは違い、ボディーアーマーを着る事を想定してか胸や腹の部分はメッシュ生地で作られていた。
確かに、着ていると分かるが蒸すのだ。時間が経てば経つほど気持ちの良い物では無い。
また、戦闘服の合わせ目の部分はボタンでは無くマジックテープ式になっており着脱も楽になっている様だ。
防刃加工されたグローブも用意されていた。手の動作にも邪魔な物は無さそうである。
着替えて出ると、アックスマンが待ちくたびれていたようだ。
「遅いぞっ!駆け足!」
新品のブーツだからか、走る際に少し違和感がある気がする。
こんなところまでリアルを追及しているのだろうか。
そういうところも、評判に繋がっているのかもしれない。
次の到着したのは、武器庫だ。
中に入ると、先程使った銃が用意されていた。
M4カービンと5.56×45mmNATO弾20発入り弾倉が4本。
ベレッタM92と9×19mmパラベラム弾10発入り弾倉が4本準備されていた。
「これが貴様の銃だ!大事にしてやれっ」
銃には分解結合まで整備にあるようで一通りの作業をアックスマンに習う。
パーツごとに分解、油を付けた布で拭いたりする。
自分の命を預けるのだから自分で整備するのは当たり前だ。
それが終わると、ボディーアーマーなどの装備が用意された。
【名称 インターセプターボディーアーマー】
【PALSウェビングが縫い付けられており、運用する武器や任務によってポーチ類や各種オプションの着脱を可能としている】
【各種オプション M4カービン弾倉入れ、ベレッタM92ホルスター、ベレッタM92弾倉入れ】
【迷彩パターン ウッドランド、3Cデザート、UCP、コヨーテブラウンの4種類】
【名称 戦闘ヘルメット】
【破片や銃弾から頭部を守る。暗視装置等の各種オプションを着脱出来る】
【迷彩パターン ウッドランド、3Cデザート、UCP、コヨーテブラウンの4種類】
始めたばかりのプレイヤーへの初回特典と言うのが貰えるそうで多分、これの事なのだろう。
他に欲しい物があれば、開発レベルを上げてCPを貯め、生産するば手に入る。
そこも、楽しさの1つだと思う。
「様になってきたな、お待ちかねだったろう。貴様の隊に配属される隊員とのご対面だ」
基地前広場へと駆け足で移動する。
そこには、8名の姿が見て取れた。
「よし、それではタブレット開け。副官を紹介しよう」
タブレットを取り出す。
このゲームではタブレットが必要な時に現れる不思議なアイテムだと思う。
ホーム画面を確認すると、【各種ステータス】のアイコンに【NEW】と言う文字が表れている。
操作をすると、【副官】の項目が他の文字やアイコンより明るく表示されている気がする。
タップすると、副官作成画面が現れた。
名前と性別、年齢や体格が選べるようになっていた。年齢イコール彼女いない歴の持ち主である自分は気持ちに正直に性別を女性に決める。
良いじゃないか、気持ちに正直でも。
顔のパーツも選べるようだ。
髪は肩で切り揃えたショートカット。
目は切れ長で鼻は高くした。
黒髪と黒い瞳で日本人の様なキャラになる。
眼鏡も選べるようで、戦闘要員のはずだがフレームの赤い眼鏡を選んでしまった。
眼鏡っ娘が好きで、何が悪い。
全体的に、少し大人っぽいイメージをして作り上げた。
ただ、変更できない部分はあった。身長や体重、体格までは変更で出来ない。
妖精は、身長が140cm程度しかないのだ。
体格もスレンダーなイメージがある。
小さい妖精だが自分と並ぶと余計に低く見えてしまうだろう。
残念だが、仕方ない。
後は、名前なのだが学生だった頃に意中の相手の名前を入れて手痛い失敗をした苦い記憶がある。
結局、しばらく悩んで決めた。
「よしっ、君の名前はコトネだ。よろしくお願いしますね、コトネ」
エンターキーをタップし決定する。すると、自分から見て1番左の妖精の姿が設定したコトネの姿になる。
コトネ以下8名の妖精が、自分と同じ装備に変わった。
8名の姿は、妖精で似た様な格好になっているが、よくよく見ると糸目の娘やクリクリッとした目の娘もいる。
全てが皆同じでは無いようだ。
ただ、髪の色や瞳の色はコトネと同じ黒色に統一されている。
妖精1体1体の設定をする必要は無いようである。
「敬礼っ!コトネ以下8名、イシダ3等軍曹指揮下に入ります」
「宜しくお願いします」
コトネの号令で、妖精8人が自分に向けて敬礼をする。
答礼を返すのだが、自分が指揮官と言うのは何だかくすぐったい様な変な気分だ。
これで、自分の分隊が揃ったようだ。
次に何をするのだろうか。そう思っていると、基地内に設置されているスピーカーからけたたましいサイレンを鳴らす。
『空襲警報発令、空襲警報発令。これは訓練では無い。繰り返す、空襲警報発令』
スピーカーを通して聞こえる機会の声は、空襲警報を告げている。
高射砲だろうか、上空へ向かって対空砲火を上げている。
ミサイルが、白い尾を引いて空高く上がっていくのも見えた。
続いて、戦闘機の爆音が響く。攻撃機も居るのか、地面が揺れる程の攻撃が行われている様だ。
分隊への指示する方法を確認すると、首に巻いたチョーカーの様な無線機で指示を出すだけだと分かった。
「よしっ、3等軍曹は分隊を指揮し南部の海岸線の守備につけ。他の守備隊と合流し、敵の上陸を阻止しろっ、行け」
分隊には、後に続けと指示を出す。
コトネ以下8名は自分の後に付いて走り出す。
ここに、爆弾の1発でも落ちて着たら全滅だなぁと下らない事を考えている。
海岸へ移動しながら、移動しながらタブレットを開き地図を確認。
妖精の方に振り返ると何か言おうか迷った。
「これより、我が隊は基地守備隊と合流し敵上陸部隊の海岸への上陸を阻止します。各員の奮闘を期待しています。頼みますね」
「了解!」と、コトネ以下8名の意思を確認する。
基地内部を通過しながら、これから起きる戦闘に想像を膨らませるのだった。
小心者の作者ですが励みになりますので、どんな事でも良いのでご意見ご感想お待ちしております。