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五星の光(仮)  作者: 黒宮
一章〜異世界編〜
8/15

【7】「模擬戦」

魔法。古代に生み出され、現代まで発展を続けたその技術は、改良や派生を繰り返し、十数の系統まで分かれた。

その発動方法は魔法陣、動作、詠唱、念などがあり、それらを組み合わせる場合もある。

最も古くに作られた物質魔法は、物質の性質や形、質量などを変える魔法だが、使える者が少なく、しかも魔法陣と詠唱が必須となる。

そこから派生した素因魔法は、エレメントと呼ばれる属性を保有する物質を魔力から生成、扱う魔法で、こちらは場合によって詠唱か動作のどちらかが必要となり、詠唱で発動する場合は詠唱も可能だ。

更にそこから派生した精霊魔法は、普段不可視の精霊に魔力を使わせて現象を引き起こす物で、こちらも場合によって詠唱か動作が必要となる。しかし、理論上は可能である筈の無詠唱による発動を達成した者は居ない。これは精霊と完全に心を通じ合わせないと不可能であるとされている。


この様に、三つの違う系統は、発動方法やその性質も全く違う。故に互いの親和性は低いのかと言われれば、そうではない。場合によっては複数の系統の魔法を同時に使うことも出来るし、それらを合成して新しい魔法を作る事も出来る。制御魔法に至っては、他の魔法と組み合わせて初めて効果を発揮するのだ。

それらの組み合わせは多数存在し、また今も増え続けている。系統は同じでも術者によって使用する魔法の威力が違ったり、そもそもの性質が全く違う物になったりもするのだ。やはり、人によって得られる答えは違うのだろう。


ーーー《魔法大全:序》三頁「魔法とその系統」より抜粋


《異世界編【7】「模擬戦」》


「さーて、行こうか?」

「では……お願いします」


昼下がり。

街の外の草原で対峙する二人は、視線を交わし、そしてそれを横へ向けた。


ここは街の外、一面緑に包まれた黄緑色の草原だ。衛兵が交代する隙を見て光学迷彩やら認識偽装やらで抜け出してきた彼らに気付く者は居ない。

街からも道からも相当に離れているし、何よりここは魔獣が居る草原だ。その気になれば普通の魔獣を一対一で蹂躙できる彼らにしてみれば、そこは何よりも都合が良い場所なのである。

広く、人の管理はされておらず、目撃者も居ない。


「……では……」


審判である羽葉がゆっくりと手を上げる。そして一瞬の静寂の後、振り下ろした。


「始めッ!」


ーーーはい、一時停止(ストップ)

何があってこんな格闘ゲームの開始直前の様な状態になっているのか、勘の良い人であれば気付くかもしれない。まぁ、取り敢えず一から説明していこう。


先日、如月から魔法という新しい技術を持ち込まれた四人は、その後から鬼の形相で訓練を始めた。それぞれが、それぞれの方針で、しかも世界大戦やら何やらでも無いのに自分達の能力をフルに使って知識を集め、研究した。

たった五人で一国、それも大国を運営ーーー勿論部下も多数居たがーーー出来る能力を持つ彼らが、全力で(・・・)研究したのだ。


その結果生まれたのは、国のお抱え魔法士も真っ青な技術と、馬鹿げた効率を誇る魔力を使う何かだった。

そうして数日が経って、ある時加賀が言った。


「ねぇ、折角だし皆で勝負しよー!」


その言葉が発せられた瞬間、四人ーーー珍しく如月もーーー目の奥に光を宿した。


そうしてこの個人総当たり戦が始まった訳だ。

禁止事項は一つ「殺害は禁止」、以上だ。殺さなければ何をしても良い。

決着は降伏及び戦闘続行不可能、時間は無制限だ。


ーーーというわけで再生(スタート)

羽葉の合図によって開始された戦闘は、開幕直後数秒で爆音と閃光に彩られた。一般人から見れば訳が分からないだろうその刹那の攻防は、どうやら引き分けに終わったらしい。

二人とも開始地点より大きく後退し、霧崎は胸が凍っていて、対する如月は右肩を切り裂かれていた。

女子三人組は「何をした」と言わんばかりの視線を二人に向けながら顔を引き攣らせていた。

僅か十秒弱で起きた流れは、とても、とても短く要約すると以下の通りだ。

如月が魔法で距離を詰めたところを霧崎が魔法で体に装甲を作りながら迎撃。右肩を切り裂かれながら氷の素因を五つ生み出した如月は、霧崎の上半身に向けて発射。多重発動でもう一つ魔法を発動した霧崎は腕に炎を纏って迎撃するも失敗、二つの氷の素因が霧崎の胸部に命中し、凍らせる。迎撃に失敗した霧崎は攻撃のフェイントをしつつ大きく飛び下がり、対する如月も再び【縮地】によって元の位置よりも後ろへ跳んだ。

馬鹿みたいだが事実である。そしてこんな攻防が試合終了まで続いたのは言うまでもない。


◆□◆□◆


学園、基礎教養と魔法教育を重点としたこの教育機関の一室。


「……何事だ」


ふと呟いた彼の声は、静かに空気に霧散して行く。彼が感じたのは、魔法が使用された感覚。それも、この街の外で、多発的に。


(魔獣か……? いや、連続使用だが、嫌な感覚はしないか……本当に何だ、これは?)


疑問を抱きつつも、再び仕事に戻る。


◆□◆□◆


結局、試合が終わるまでに三時間が掛かった。五人の総当たり戦、計十試合が終了し、今は全員が宿に居た。


「よしよし、中々良いデータが取れたよ♪」


そう述べるのは加賀。今回の一連の流れは互いの実力を測る為に提案した(しくんだ)らしい。

他の四人は当然気付いていたし、自分の実力も測れたので不満は無いらしかったが。


そして、この一連の模擬戦によって、草原の一区画に巨大なクレーターが出現したのは言うまでもない。

もっと言えば、戦闘中の閃光やら爆音やら放射熱やらが酷すぎて十分離れていた筈の街でも噂になっているのは気の所為に違いない。

行商人が街の衛兵に報告した所為で対魔獣の厳戒態勢が敷かれたのも気の所為だ。


こんな災害レベルの事態がたった五人の手によって創り出されているというのは人々は知る由もないのであった。


作「やや短め。そしてここらで漸く前置き終了ですかね」

霧「なげーよ」

如「長いです」

西「……長い」

羽「長いわね」

加「長いっての!」

作「集中砲火ぇ……。さて、次回からは三組に分かれて行きますよー」

如「僕は加賀さんと学園ですね」

霧「俺は西村と冒険者だ」

羽「私は単独行動」

加「何となーく嫌な予感がする♪」

如「何で嬉しそうなんですか」


作「まぁ、取り敢えず次回からが本編的な感じになります。お楽しみください。あと苦情やら早くしろやら文章が酷いやらそういうことはどんどん感想に書いて下さい、多分泣きながら反省やら返信すると思います。誤記訂正も御座いましたらお願いします。というわけでまた次回!」


《ーー訂正ーー》


11/28 表記を修正しました。

《馬鹿みたいだが事実である。こんな攻防が試合終了まで続いたのは言うまでもない。》

《馬鹿みたいだが事実である。そしてこんな攻防が試合終了まで続いたのは言うまでもない。

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