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王妃様はロマンスをご所望です  作者: ime
第一章 王妃様はお年頃
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王妃様の日常3

メラニーのお小言をそれから四半刻ほど聞いて、ようやく解放された時、本は没収されてしまった。


「もう一回、読み返したかったのに……」


一回目は、さらりと読んで、次はじっくりと読む。

これが私の読書方なのに。

それを知っているメラニーはじっとりとした目つきでこちらを見てから、侍女に本を下げさせる。

後で、返してねー、と目線で訴えてみたけど伝わったかな。


「王妃様。今日の午前さぼった分、午後に頑張ってもらいますから」


ううっ。

メラニー厳しい。



そんなわけで、春の午後の柔らかな日差しを部屋の中から見ながらお勉強。

本日のお勉強内容はエトリア史記のレポートをタルバ皇国の公用語タルバ語で書くというもの。


「ーーという経緯で、エトリア国4代国王リチャード1世、つまり先代国王の御代において法整備が整い犯罪発生率の軽減に繋がったわけです。では、今お話したことを元にお書きください」


白いお髭と丸い眼鏡が特徴の史学先生に促され、ペンを走らせ始める。


外、暖かそうだな。

こんな日はお庭散策とか、乗馬とかしたら楽しそう。

こっそり、木登りなんかもいい。

子供のころよく登っていた。


本を読むのも好きだけど、体を動かすことも好き。


幼い頃は、中庭を駆け回ったものだ。

鬼ごっこに、かくれんぼ。

冬は雪合戦なんかしたり・・・。


学友として集められた子供たちとたくさん遊んだ。

もちろん、勉強もしたけれど。


でも、年をとるごとにそういう遊びは減ってしまった。

貴族の素養のひとつでもある、乗馬も女性には必須なものではないから、月に数回程度。

社交に欠かせないダンスはすでにマスターしているから、最近は授業として組み込まれない。

ダンス得意なのよ。

でも、披露する機会がないのよね。


貴族であれば、本格的社交デビューは16歳からだが、だいたい12歳くらいでサロンや夜会に出るものだ。

私は立場的にまだ未経験だ。

一介の貴族が、王妃を気軽に呼ぶわけにはいかないからね。


エトリアには現在、王妃以上の地位を持つ女性王族がいない。

義母は私が嫁ぐ前に亡くなっている。私に次ぐ王族女性となると、隣国に嫁いだ大叔母様になるけどさすがに隣国に気軽に行けはしない。


私が参加できるのは国の公式行事の夜会だが、未成年は出席出来ないのが慣例で、私は式典以外で公の場に出たことがない。

タルバ皇国では、15歳から成人とみなされるから、1歳ぐらい見逃してくれたら良いのに。



次々と遊び相手が大人になってゆく準備をし始める中、私は1人取り残された。



なんて、かわいそうな私。



「王妃様。そのスペル間違っています」



あ、ごめんなさい。





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