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開けれぬ扉

目の前は我サッカー部の部室の扉。




俺は実は少し前から佇んでいる。




部活が終わって一旦帰りかけたんだが、

明日提出しなきゃいけないプリントが

カバンを探っても見当たらず

部室にでも忘れたか?と思って戻って

来たのが運のつき。



「……………………」


俺は入るべきか入らざるべきか

究極の人生の岐路に立たされている。



理由は――



「……ヤダ……近衛」


「嘘つけ……お前もう……」


「………誰か……どうす……」




こんな風に理解不能なすったもんだが

中から漏れ聞こえてくるからだ。



「…………来ないって」



(オイ、コラ!)


近衛、適当な事抜かしてんじゃねぇ。

さっきからずっといんだよ、この俺がよ。



「ダメだ……って、バカっ」


「お前がこんなに……だろ、バーカ」



テメーら、まとめて馬鹿供が!!!!



ったく、中にいるのは近衛と杠か?

クソガキ共が何やってやがる。


「も……やめろって」


まさか……な。


「“もっと”って言えよ、束」



(え…………?)



いや、いーや!ねぇ!


俺の考えすぎだ。


だが、色々なシチュエーションに

置き換えようとしても俺の想像力では

限界がある。



ただ――



どうしてもこの扉を今、開けたくねぇ!!!


俺の神経が全力で扉のノブを捻る行為を

拒否している。


「どうしたの?日野」


「うぉ!びっくりさせんな!マネージャー!」


肩に乗せられた手を引張叩くように払う。


「何、忘れ物?入らないの?」


俺の横をすり抜けてノブに手を

かけるのを慌てて遮った。


「オイ!待て待て!!入るな!」


「え?ってもしかして誰かいるの?」


「――近衛と杠ぽいのが」


「あ……えと、そっか……」


秋は何を思ったか、

コホンと咳払いをし、


「忘れ物したんだけどなぁ。

入ってもいいのかなぁ」


とか大声でふざけた事を言っている。


途端、中が一瞬シーンとした後

ガタガタと盛大な音がしだした。


(…………バカだ、コイツら)


「ど、どうぞ」


杠の声に促されて入ったは良いが

なんかオカシイ雰囲気が充満してる

気がするのは俺だけか?


秋に至ってはフツーに

近衛に話しかけてるけど

杠の様子は明らかに挙動不審だろ?

顔を真っ赤にしてしどろもどろ。


制服を着たかと思えば

ユニホームにまた着替えようとしたり

……早くどっちかにしろ!と

見てる方がイライラしてくるってくらい。



――それって、


挙動不審って言うだろ!!??



言・う・よ・な?




なのに全員がさっきまでの事にも

杠の訳わからない行動にも一切

触れようともしないとか……


何だ?この茶番?


そもそも何で自分の部室入るのに

このガキらに気ィ使って入らなきゃ

いけねーんだよ。


プリントはいくら探しても見つからねぇし

段々怒りが湧いてきた。


俺の方をチラリと見た秋が、


「あ、ヤバいな。日野が事の理不尽さに

気が付いたみたいだ。取り敢えず謝っちゃお」


コソコソ近衛達に耳打ちしてるが、

丸聞こえだっーんだよ、秋の野郎。

人を頭の弱い子みたいに言うんじゃねーよ。


俺が耳、異常に良いの昔っから

知ってんだろ!



「す、すみません!日野先輩」


「マセンっス」



「ああ?謝る様な事やってたのか?テメーら」


「…………」


オイ……なんで黙る?


「日野」


「……今度、何か部室で妙な事やってたら

タダじゃおかねぇからな。

分かってんだろーな」



「ひースミマセン、スミマセン!!」




「以下同文っス」






(なぁ…………仕返しじゃねぇよな?)




――近衛、



お前が踏んでるソレな、

俺がさっきからずっと探してるプリントだって

知ってたか?



ガンガン更新します~

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