表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/23

講師

ハァ??テメー!!


俺を散々待たせた挙句こんだけとか

ぜってー許さねェぞ、ゴルァ!!


すぐさま、リダイヤルを押すも

中々でない。

たった今切って出れねェ訳ないだろ!

クソガキ!


10回コールの後、


『何?用件は?』


「用があるのはお前だろ!?」


あんな用件だったら近衛に電話した時

言えば良い筈。


『もう言ったじゃん。

あと電話メーワクなんだけど』


掛けて欲しくなければ非通知にしとけば

済むくせに表示するって事は

自分の番号、暗に俺に知らせたかった

じゃねーのかよ。


「もっと他にあんだろ、重要な事が」


『うーん……何だろ?思い当たらないな』



すっとぼける気か。



「そんだけなら近衛に言えよ」


『ああ、そうだな!そうすれば良かった!』


何で、お前がキレんだよ、そこで。


「チッ、マジ扱い辛れェな、お前。

聞け、俺はこんなケンカする為に

電話したんじゃねーよ。

……お前だってそうだろ?」



近衛に聞いてから俺に掛けてくるまで

こんなに日数掛かったのだって

悩んでいたからじゃねェのかよ?


「返事だろ、聞くぜ?」


『…………』


「どんな返事でも構わねェよ、

お前が決めたんならそれでいい」


面と言えない返事だから俺に気を使って

かけてきたんだろ?


『俺は……ずっと緑先輩の背中追いかけてた

……急にアンタの事考えろって

言われても……』


戸神の声は消え入りそうに小さい。


「なぁ……前聞いた時も思ったんだが、

お前は近衛のプレイに憧れているだけ

じゃねーのか?

ヤツ個人がどうのという感じがまるで

しねぇんだよな」


『……え?』


「憧れが強すぎていつの間にか

好きだって思い込んでるんじゃね?」


『違う!何で分かるんだよ!そんなこと』


「そんなん、お前の事

誰よりも見てるからだろ」




「俺は近衛やお前みたいにサッカーが

天才的に出来るわけじゃねーし、

主将としても物足りないだろうな。


お前が憧れる要素ないだろうが

唯一勝ってるものとしたら、

お前を一番に思ってる事だ。

近衛はもとより誰よりもな」


『…………』


「俺を好きになれ、大事にすっから」


『……な』


「ん?」


『……なんも思ってなけりゃ

わざわざどうでも良い事で電話なんかするか!

気付けバカ野郎!!!!!』


他人の怒鳴り声がこんなに

心地良いと感じたのは生まれて

初めての経験だ。


「――ばーか。

何で直で言わねェの?お前」


『……どっちでも良いだろ。

言葉は一緒なんだから』


分かってねーな、そういう言葉を

お前がどんな顔して言ってるのかが

見てェんだよ、クソガキ君。












「ヤリてぇ……」



「……日野先輩?な、なんか言いました?」


「あァ?何でもねーよ」


「ぁ、スミマセン」


杠いたのか?全然気が付かなかった。


前から思ってたんだが、コイツ何で

いつもオドオドしてんだ。


俺と目が合うといつも数センチ

飛び上がってね?気のせいか?



そんなことより今はアレだ。



経験値か……


要は上手くできりゃ問題ねェんだよな?


失敗してアイツを落胆させんのは

メンツ立たないし……どうするよ、俺。



問題はその知識を何処から仕入れるかだ。


一番に浮かぶのはネット。

色々検索してそれっぽい動画にたどり着いた。



再生を押して、2秒で停止、履歴削除。


危ねェ……これはあれだ視覚テロだ。

人様が滅多やたらと

見て良いシロモンじゃねェ。



イキナリあんなの……ヤベ思い出しただけで

吐き気が込み上げてきた。



目からじゃなく先ずは耳からだ

誰かから話から聞こう。


そうだ何事にも段階を踏むべきだ、

それから徐々にステップアップしてだな……




で、誰に聞く?


オヤジ……ねェか。


秋一?いや以前に否定したし

絶対理由聞かれるな、

どう考えても後々ウザイ。


紺里は?……一応大人だし。


いやいや、見掛け大人なだけだ。


アイツ何考えてるか分かんねーし、

まともに答えるとも思えない。





――誰か、



誰かいねェかな……





『あの二人付き合ってんだよ』





「………………」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ