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手ェ出すなよ?

それから完全に戸神は来なくなった。


当然といえば当然か。


『お前に惚れてる』


あの時言った言葉に嘘偽りはねェし、

ちゃんとアイツに言っておきたかった。

……後悔してねェ。


俺より近衛が良いってんなら、

こればかりはしゃーない。



「日野先輩」


「……なんだ?近衛。

パス練終わったんだろうな?」


今、テメーの面みたくねぇんだが。



「昨日、鷺我の主将から先輩の

番号とメアド知りたいって言われたんで

教えました、問題無いッスね」


――肯定文かよ。



「近衛、戸神は俺が貰う。

間違っても手を出すなよ、良いな」




「ウッス」






三日も四日も経つのに連絡が来ねェ。


近衛の野郎間違って教えてんじゃねーのか?

だからってこっちからは連絡先知らねェし

近衛に大見得切った手前、連絡来ないから

教えろとは沽券に関わる。


クソあのガキ、ホント俺をイライラさせる

ツボ心得てやがんな。


そもそも、

どういう了見で近衛に聞いたんだ?

用件があるからじゃねーのかよ。


最初は内容が気になって仕方がなかったが

今の時点ではかかってこない事に対しての

怒りへと完全にシフトチエンジしていた。



あんのガキ!!!



どんだけこの俺を振り回したら

気が済むんだ、クソ!!!


その上、いつも放り投げている携帯を

俺が持ち回ってるもんだがら

姉貴達が俺を取り囲んで、


「ねぇねぇトシ君、

もしかして彼女できたの?

見たーい!家に連れてきて!」


「奥手のトシ君が?まぁ、おめでとう!

今日は赤飯ね!」


「我が家のアイドル冬君のお相手

どんな子?いやーん、可愛いんでしょうね、

で?いつ来るって?会うの楽しみ」



「………………」



違うとか、もうそういう反応は

コイツらを喜ばせるだけだから

一切無視することにしてる。


「「「「「もう、照れちゃって!!

トシ君、可愛いぃぃ~~!!」」」」」




頼む……お前ら早く嫁にいってくれ。





十日過ぎて痺れを切らしきった頃

漸くその電話が来た。


風呂から上がってBSのサッカー中継を

ぼんやり見てる時だったから油断してた。


「あー?誰?秋一か?TV見てんだけど

用事ならさっさと話せ」


携帯を耳に当てたままディスプレイを

確認すらしてなかった。


「チッ。喋んねーなら切るぞ」


『この間のウチとの試合、ムービー

あるけど、参考の為に観る?

と、言ってもきっと参考すらならないと

思うけどな、アンタんとこのレベルじゃ』


その声、そのムカつく言い方……


携帯を耳から外しその表示を見ると

見覚えの無い番号。


『――聞いてんの?アホ』


間違いない、戸神だ。


「録画してたのか?あの試合」


わざわざこんな事で連絡してきたとは

思ってない。


『そうだよ、いるの?いらないの?』


それなら機会は山のようにあった筈。


「折角だから貰っとくか」


『……ふーん。分かった、じゃぁ』


プッ。



――野郎、切りやがった!!



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