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18お前が決めろ


「俺とのキス、そんなに嫌だったか?」


「……離せ」


「どうなんだよ?」


「……なせっ」


「否定しないんなら、もう一回して良いか?」


腰ごと力づくで引き寄せると戸神は

バランスを崩して俺に倒れ込んできた。


「戸神……今度は舌噛むなよ」


耳元に一言忠告をして唇を合わせた。



「ん……ん……」


離れようとするのを頭ごと抱え込み

何度も角度を変えてキスを繰り返す。


立っているのがキツイのか

崩れそうになった戸神を支えるのに

ヤツの足の間に咄嗟に自分の足を入れた。


戸神の身体がビクっっと固くなったかと

思うや否や物凄い勢いで身体を

引き剥がされた。


「ヤメロ!

冗談でこんなこと!」


「いつ、冗談だといって言った?」


俺はもう一度引き寄せ今度は意識的に

その部分をアイツに擦りつけた。


今、俺がどういう状態か……分かるな?


「…………!!」


戸神は両手で俺の腕を持ったまま

力なく震えているようだ。


「その言い方だとお前には

異存は無さ気に取れるが?」


「ちが……俺は緑先……輩」



―――ここで又その名前を出すかよ。



「ああ、そうだったな、忘れてたぜ。

近衛が良いんだっけ?悪かったな、俺で。

アイツとこういう事したいんだよな?」


「………………」


手を離すと俺が掴んでいた腕を

摩りながら無言で睨んでいる。


その目は何か言いたげだが

俺にはそういうスキルねぇから

分からねーよ。


「どうしたいんだよ、お前」


「俺だって分かんないんだよ!」


は?何ソレ?



「分からないって何がだよ?」


「煩い!煩い!!

所詮、童貞なんかにはわかんないよ!」



混乱しまくってんのか?

童貞だからってそんなの今、関係ねぇだろ。


「お前は経験あんのか?

……相手ダレだよ?女かそれとも……男?」


「そんなの言う訳ないだろ!アンタなんかに」



「おまえこそ童貞童貞ウルセーな。

経験あったら良いのかよ?

誰かテキトーな奴とヤリまくって

慣れた頃にお相手してくれんの?」


「誰かを……抱く?」


戸神は多分無意識だろうが

俺の腕を掴んでる指に力が篭った。


「お前がそうして欲しいんだろ?」


「…………」


「そうじゃないなら、お前が俺の

童貞喪失相手になってくれて良いんだぜ?」


「…………っ」


うつむいて黙ったままの戸神。


「……手、離せよ」


掴んだままの手の先が白い。

震えてるくせに力強ぇーんだよ、

自覚しろよお前。


「なぁ?お前さ、ひょっとして俺のこと……」


「っ!違う!バ、バカじゃないの!?

そんなんある訳ないじゃん!」


「俺は駆け引きとか出来ねーから、

ストレートに言うが、多分お前に惚れてる」


「え?」


「意外か?俺もだ。

だけど生意気なお前を可愛いと

思っちまうんだから、仕方ねェ」


戸神はびっくりした顔をしたまま俺を見ている。


言葉にして自覚してしまった。


ああ、認める。

そんな表情も可愛いと思えるくらいに

お前が気になって仕方がない。



「それでも近衛が良いって言うなら

俺は手を引く、それまでだ」



お前が決めろと言って俺は戸神を残しグランドへ戻った。



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