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主将の立場


「今はプリンスリーグのシュミレーション

を兼ねた再現か若しくはそれに準じた

ゲームパターン構成をしてるんじゃないッスかね」


「でもあくまで模擬だろ?

試合試合で全然変わるじゃんか」


「ソレ……想定してないと思います?

相手のチームの研究はどこよりも

鷺我はしてるッスよ」


――いま、コイツの表情を見て

一瞬だがゾッとした。



そんな当たり前のこと、

今更聞くなって……か。



「だが、練習でも……やっぱ戸神キツくね?」



「そんなもんッスかね。

ま、出来るから戸神が選ばれたんでしょ」


「…………そうか」


事も無げに言える近衛が

近衛たる所以か。


つまりは、自分も出来きて当たり前だと

思っているからこそ言える発言だ。




自校の生徒に混じって私服の俺達が

いると流石に目立つ。


やはりこちらでも部員が時々視線を

向けてるのが分かるが、だからといって

さっきの連中とは違って特に動揺を見せない。


各自淡々とメニューをこなしている姿は

自分達に自信がある証拠。


――流石は一軍か。



戸神も一度だけこちらを見た。


その時、絶対俺達の存在に気が付いた筈だが、

それっきり二度と俺達を見ようともしなかった。



「さて、そろそろ帰りましょうか?」


「あ……そうだな」


お前の大好きな近衛が来てるんだぜ?

良いのか、話さなくて。


「アイツお前のトコ来るかと思ったのな」


「ここでの戸神は俺達の所に

来ている時のアイツじゃないッスよ」



『アンタ、主将ってどう考えてる?』


『呆れた』



あの言葉が今更ながら、耳に痛い。


凄い責任感。


俺とはえらい違いだ……



ぐぅの音も出ねぇよ、



―――俺、何しにきたんだろうか?




アイツの指示が響く声を背中で聞きながら

俺達は球技場を後にした。







帰りの新幹線に乗り込み、

今日はよく喋ったので喉が乾いたと

強く訴えてくる後輩にイラッとしつつ

お茶を買い与えてやる。



「お前もあそこにいれば一番良かったろうに

なんで、来たんだ?うちに」


「大事なモノ見つけたからッス」


「ふーん」


よく分からんが、コイツがそういうなら

そうなんだろう。

詮索する気もなければ、興味も湧かねぇ。


「鷺我にいなきゃ

優勝出来ない訳じゃねーッスから」



「近衛……!!」



「ふぁぁぁぁ」



何でこの場面で大アクビ出んだよ?


良い事言うじゃねーか、お前!

と少し感動すら入ってったのに。




……俺の感動返せよ、テメェ。





もう何度目かの大あくび。

目も半分閉じかかってるぞ、近衛。



「お前、ずっと眠そうだが、

夕べ遅かったのか?」


「明け方近くまで起きてたッス」


「明け方??今日か?」


「ハイ。つ……杠と……」


「え?あ、ゲ、ゲームしてたんだな?」


「いえ、杠と―――」



何で余計な聞いてんだ?俺は。

墓穴掘り当てっちまったじゃねーか!


「ゲーム・だ・な!?」


ハイと言えと睨みで念を送る。



「…………ハイ……ある意味」



不服そうな顔はよせ。



そして、それはそれは色んなゲームをとか

小声で付け加えんでいいし、


「ゲーム内容の詳細聞きたいッスか?」


最後まで何が何でも言おうとすんな。



「いや、遠慮」



つか、もう黙りやがれ!



「この内容が重要なんッスよ」


「聞きたかねーっつてんだろ!」


なんで食い下がってくんだよ!


寝た子起こした俺が悪いのか?

何で目が覚めたように話し出す?

何で目がそんなに爛々と輝いてるんだ?


――テメェ、サッカーの時ですら

そんなカオしたことねぇだろ!?



イイから!


もうぜってー起さねぇから

永遠に寝とけって!!!!!!!



「束がですね……」



まだ言うか!



「よせ!!!言うな!!」



もう絶対

コイツと出掛けるのは二度と御免だ!!!!



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