表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/23

無敗校鷺我、主将

「一年で主将は流石に軋轢あるだろうけど、

やれると踏んだから、監督が決めたんスよ。


俺も実力も統率力も問題無いと思ってます、

後は本人次第」


ちょっと疑問に思っていたんだが。


「やっぱさ、三年とか一年が主将とか

面白くないじゃねぇのか?

アイツが指揮とってもその通りに

果たして動くかよ?

無視したりとか……その点どうなんだ?」


「無い、と思います」


「ほう。その根拠は?」


「試合は勿論、練習も全て

録画されてるッスよ」


全部???


「本来の目的は指導と各個人の動きを

見ての指導目的なんスけど、

主将にゲームメイクを覚えさせる意味での

役割もあるので、その動きもチェック対象

になっています」


「――つまり、戸神の指示に従わなければ

即、二軍落ちって事か」


「可能性ありッスね」



モロ軍隊……建物やっぱその通りじゃんか。


「フツーそこまでやるか?」


「ここはそういう所ッス」





「お前に愚痴りに来てんだろ?」


「此処では弱音吐けませんから。

弱みを見せるのをよしとしない場所ですし

戸神自身それが出来ないタイプなんで」


よく理解してやがる。

道理であのガキが追っかけてくる筈だ。


それに引き替え、俺とは歪みあう事しか

できないってのにえらい違いようだな。


「愚痴ったとこで俺は

どうしてやることも出来ない。

ましてや、そんな事で状況は何一つ

変わりはしませんから悩むだけ無駄ッス」



「……ドライだな、お前」


「そうッスか?

嫌なら辞めればいい、そんだけッスよ」


「…………鷺我にいると

皆そうなるのか?」


「さぁ、どうでしょう」




ん?なんだ?


グランドにいる数人がこちらを見て

何か言ってるようだ。


しかも段々それが他にも波及したようで

チラチラ見ているヤツもいれば

ガン見してる奴もいる。


“オイ、近衛だ”


“何しに来たんだ?”


ザワザワ漏れ聞こえてきた。


偵察という訳じゃないが、帽子で顔は

結構見えてない筈なのにやっぱ

気が付くんもんだな。


気のせいか奴らの動きが

さっきよりいくらかギクシャクしてるように

見えるんだが、コイツが見てるってだけで

動揺するとか……お前どんだけだよ。


だが、横の近衛は顔色一つ変えていない。




……と、思ったら


「…………オイ、起きろ」



立ったまま寝てやがった。



「え?ハイ。

じゃ、一軍見に行きましょうか?」


「お……おう」



グランドより少しだけ離れた

所にそれはあった。


観客席まであんのかよ、

もうイチイチ驚くの疲れたぜ。





「須賀谷先輩F1C、津月先輩は

NCでお願いします」


「加地先輩、3で行きましょう」


戸神は自分も動きながら周りに

声と手振りを使い小刻み指示出しをしている。


恐らくはピンマイクを付けているらしく

その声はスタジアムに響き渡っていた。


時々聞こえる意味不明な言葉は

このチームにおけるサイン、

つまりは隠語なのだろう。


他人より余分に動いて、だからといって

自身のプレイ自体も疎かにしていない上、

チーム全体と敵の動きも把握している

ように見える。


「なぁ?何で主将がこうも指示するわけ?

本人達に任せないのか?」


自主性とかねぇの?

これじゃあまりに戸神にとって負担過ぎだ。


「試合中は無論しないッスよ。

この間の試合も殆ど戸神は

言ってなかったと思います」


ああ……そう言えば確かに。


アレはお前とのお喋りに夢中で

そんなヒマなかったんじゃねーの?

と言いたいとこだが、目の当たりで

こんなの見せられると易々とは口に

出来なくなってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ