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秋一と影


「受験メンドくせ、いっそ就職すれば

あの家出れんのになぁ」


最終進路希望書類をあの小僧が踏んで

ボロボロにされていた所為で、

もう一度、担任の所に取りに行ったら

お前やる気あんのか?と説教された。


くそ――とんだヤブヘビだ。


近衛の野郎、ペナで部活前の周回

5周追加してやる。


部活に遅れそうになって、

普段滅多に通らない校舎裏手にある雑木林

に向かって歩き出した。


「……だから庇ったんだ?」


ん?


「何度違うって言ったら分かるの?

そんなに俺の事、信用出来ない?」


校舎の窓辺りで誰かの声。


――秋一?


秋一は外から校舎側の窓に向かって

誰かと話してるようだった。


いつもぽわーんとしているイメージの

コイツがこんな風に声を落として

話してるの見たの初めてで、

何だか見てはいけない気がした。


なんとかその場を気が付かれないように

離れようとした……が、こいう時に限って

お約束の様に小枝とか踏むんだよ。


それが又、良い具合に乾燥してて

“ポキッ!”って凄い音高になる訳。


分かる?そういうの。



(ヤベっ!)


「……冬至!?」


「あ……やぁ、秋」


こんだけの音、鳴ればそりゃ気付くわな。


「今から部活?遅かったね」


「ああ、ちょっと職員室いっててさ」


「そう、じゃ一緒に行こう」


「良いのか?お前……誰かと」


おずおずと視線を向けたけど、

さっきまで誰かと話していたらしき場所には、

既に人影はなくて、ただカーテンだけが

はためいていた。


秋一はその窓をじーっと暫く見ていたが

溜息と共に肩を落として、

別に大したことじゃないから良いんだと

俺の腕を取ってグラントへ歩き出した。


俺がもう一度振り向いた時、カーテン越しに

誰かいたような気がしたけど、それが

誰だったが分かる由もなかった。




「へぇ。殴らないんだ?」


部活に遅れてきたのは俺達二人だけの様で

部室にはもう誰もいない。


話題は目下、あの鷺我のガキの話。


さっき見た光景について、秋一が

話題を逸らすようにしてるのだと

分かっていたから、俺も気の乗らない

話ではあったが一応合わせる事にした。



「俺を無節操な暴力男みたいに言うな」


「えー当たらずとも遠からずでしょ?」


「天下無敵の日野冬至もあの子には

形無しだね。何?気に入ってて

もしかして殴れないとか?」



「あぁ?気に入る要素、何処あんだよ?

こっちが教えて欲しいくらいだぜ。

いつかまとめて殴るんだよ」


「まとめてねぇ」



「あ!そうだ!近衛!!

アイツ柔軟してるかもしんねぇけど

もう5周構内走らせろ」


「もしかして昨日のこと根に持ってる?」


「大体昨日何やってたんだ!?ムカツク!

プリントぐちゃぐちゃにしやがって。

そのお陰で今まで担任に嫌味言われてたぞ。

あの野郎、確信犯じゃねーのか?」


「まぁまぁ落ち着いて、冬至。

お前なら言いふらしたりしないから

言うけど……あの二人付き合ってんだよ」


は?


「だから多分、昨日その……」


はぁぁぁ???


「付き合うたって、アイツら

どっちも男だぜ?」


「……だね」



マジ、か。



「つまり……ナニしてたって事かよ?」


秋一は無言で頷いた。





――理解不能。






「どいつもこいつも同じ男が良いんだか

俺には分からん」



「…………冬至はそういう人、やっぱ

嫌悪感ある?」


「フツーそうだろ。

俺的にはねぇーって感じ」


「許せない?」


「さぁな、考えるのもタルい」


「そっか……だよね」



「という訳で、近衛と杠周回10周追加な」



「…………え?」




此処での更新が終了とイラストが

上がった時点で自サイトで裏を上げます。

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